ナギの育て方
ここからは、ナギの育て方のポイントについて紹介します。本来のナギは樹高20m以上に成長する高木種です。しかし小さい若木なら、観葉植物として栽培することが可能なので、家庭でも育てられます。古くから日本に存在している木なので、育て方もそれほど難しくはありません。しかし、健やかに育てるために注意すべきポイントは複数あります。ポイントをしっかりおさえて、健やかに美しく育てましょう。
育て方のポイント①栽培環境
暖地を原産とするナギが好むのは、とにかく日当たりがよい場所です。耐陰性はありますが、1日中日当たりが悪い場所にいると、光合成がうまくいかず、生育に悪影響をおよぼす恐れがあります。室内栽培の場合も、日当たりのよい場所に置きましょう。暖かい時期なら、屋外で栽培するのもおすすめですよ。
ナギは日当たりさえよければ、土質は特に選びません。鉢植えなら、観葉植物用の培養土でOKですよ。
寒さには要注意
ナギは寒さに弱いため、冬には要注意です。寒冷地の場合は室内栽培に徹したほうがよいでしょう。特に発芽してから1年~2年の若い木は寒さに非常に弱く、冷たい風に当たるだけで衰弱してしまう恐れがあります。防寒対策をしっかり準備しておきましょう。特に観葉植物として販売されているナギは、耐寒性が低い若木が多いので注意が必要です。
寒さはナギが枯れる大きな原因の1つといわれているんだ。室内栽培でも油断せずに、防寒対策をしっかり行おうね。
暖地の場合は地植えも可能です。とはいえ、冬に入ったら強い霜に当たる可能性もあり得ます。防寒対策を忘れないでくださいね。
育て方のポイント②植え付け
ナギの植え付けの適期は4月~5月です。鉢植えの場合は、6号鉢に1株を目安にして植え付けます。地植えの場合は、日当たりのよい場所に、苗よりも1回り~2回りほど大きな植穴を掘って植え付けましょう。ナギは土質を選びませんが、堆肥や腐葉土を混ぜて水はけをよくしておくと、生育がよくなるのでおすすめですよ。
地植えの注意点①周囲に他の植物を植えない
ナギを地植えにするときは、周囲に他の植物を植えないようにしましょう。前にも触れたように、ナギは成長抑制効果を持つ化学物質を分泌して、周囲の植物を排除してしまう性質を持っています。このため、ナギの周囲に植物を植えても育ちません。
地植えの注意点②植え替えはNG
ナギは移植を嫌います。別の場所に植え替えても、根付くことはほぼありません。最悪枯れる原因になってしまいます。ずっとその場所に植栽することを想定して、植える場所を選んでくださいね。鉢植えの場合は、根が回ってきたら鉢増しを行いましょう。適期は植え付け時と同じ4月~5月です。ナギは根詰まりしやすいので、1年~2年に1回のペースで鉢増しするのがおすすめですよ。
根詰まりも枯れる原因になることがあるんだ。ナギは根詰まりしやすいから、根の状態もしっかり観察しようね。
育て方のポイント③水やり・肥料
水やり
ナギの鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら、鉢底から水がしみ出すくらい与えるのが基本となります。ただし、生育が鈍る冬の時期は、数日に1回程度にとどめましょう。一方、地植えの場合は水やりの必要はありません。水のやり過ぎによる根腐れは、枯れる原因に直結します。ナギは乾燥に強い木です。水切れよりも水のやり過ぎに注意しましょう。
ナギが枯れる原因の多くは、寒さと不適切な水やりです。鉢植えの場合は、株や土の状態をよく観察しましょうね。
肥料
ナギはあまり肥料を必要としません。肥料なしでも十分に育ちます。ただし生育状態がよくない場合は、3月~6月の生育が盛んな時期だけ、薄く希釈した液体肥料を少量施すとよいですよ。
育て方のポイント④剪定
ナギは枝数が少なく、樹形も自然に整う木なので、剪定もあまり必要ありません。樹形を乱す枝を取り除く弱剪定で十分です。ナギの剪定は4月に行います。伸び過ぎた枝や混み入った枝を切り戻し、樹形を整えましょう。
育て方のポイント⑤病気・害虫対策
ナギは非常に丈夫な木なので、病気や害虫の心配もほとんどありません。ただし、テッポウムシの幼虫にだけは注意が必要です。テッポウムシの幼虫が幹に入り込むと、内部を食害して枯れる原因になります。株元にオガクズのような木屑があったなら、テッポウムシの幼虫が入り込んでいる証拠です。ただちに駆除しましょう。
ナギは基本的に病気や害虫に強いんだ。だから予防対策なども、それほど神経を尖らせなくて大丈夫だよ。
しいて病気・害虫対策をあげるなら、普段からナギの木の様子をよく観察することです。些細な変化も見逃さないようにしましょう。
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出典:写真AC