斑入りゼラニウムとはどのような植物?
斑入りゼラニウムは、葉に模様のあるゼラニウムの一種です。江戸時代後期に輸入され、昭和初期まで「花」よりも「葉」が好まれ高値で取引きされるほど人気がありましたが、日本の高温多湿の気候に弱く、しだいに栽培が少なくなっていました。近年アメリカで品種改良されたものが多く販売されるようになり、日本の気候にあった斑入りゼラニウムの人気が高まっています。
ボタニ子
基本情報
学名 | Pelargonium Zonal Group |
科名・属名 | フウロソウ科・テンジクアオイ属 |
原産地 | 南アフリカ・ケープ地方 |
分類 | 常緑性多年草 |
別名 | テンジクアオイ・モンテジクアオイ |
草丈 | 20~100cm |
開花時期 | 3~12月上旬 |
花色 | 白・赤・ピンク・オレンジ・紫・褐色 |
普通のゼラニウムとの違い
斑入りゼラニウムと普通のゼラニウムの違いは、葉の色模様の有無です。斑入りゼラニウムは「葉」の色と模様を楽しむのに対し、普通のゼラニウムは模様のない濃い緑の葉で、賑やかに咲く「花」を楽しむという違いがあります。
斑入りゼラニウムの特徴
斑入りゼラニウムは「カラーリーフ」としてほかの花々との寄せ植えで人気があります。花よりも葉を楽しむ種類のため一重咲きの花が多く、それほど花つきがよくありません。しかし、近年は品種改良が進み八重咲きで美しい品種が登場しています。
葉の特徴
おはようございます。
— てんカラ🐤 (@tenkaratto) March 4, 2019
斑入りゼラニウムが真っ赤です🍁 pic.twitter.com/mT67Gw28pB
斑入りゼラニウムは、葉にさまざまな模様が入っているのが特徴です。葉色や模様によって白覆輪葉、中斑葉、輪紋葉、五色葉、絞り葉、黄葉、黒葉、銅葉などに分けられます。ほかのゼラニウムがシーズンオフとなる冬の低温期に葉色が鮮やかになるため、夏よりも秋から冬に見ごろとなるメリットがあります。
斑入りゼラニウムの育て方
模様のある葉が特徴の斑入りゼラニウムは、花が少なくなる冬に活き活きとした存在感を放ちます。育てやすい植物のため、ガーデニング初心者の方におすすめです。花つきが悪いと感じても心配はいりません。育て方のコツをつかみ、元気に育てましょう。
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苗の植え付けは、真夏と冬を避け3~5月と9~10月に行います。
育て方①置き場所
斑入りゼラニウムは、風通しと日当たりのよい場所に植え付けましょう。日当たりが悪いと葉の模様が薄くなるため、半日以上は日に当てるのが理想です。鉢植えの場合は、部屋の奥や日当たりの悪い場所に置くのは避けましょう。
夏と冬の置き場所
夏は遮光ネットで日差しを遮るか、西日が当たらないよう半日陰に移動します。斑入りゼラニウムはゼラニウムの中でも特に高温多湿に弱い品種です。冬は、温暖地は屋外で冬越しできますが、寒冷地では凍結すると枯れてしまうため室内に移動して管理しましょう。室内の置き場所は、窓際などガラス越しに日が当たる場所がおすすめです。
育て方②用土
用土は、できるだけ過湿にならないように水はけのよい土を選びましょう。小粒赤玉土7割に腐葉土3割を混ぜた土がおすすめです。弱酸性の土を好むため、地植えにする場合は苦土石灰(くどせっかい)を混ぜて中和させる必要があります。園芸によく使われる鹿沼土は酸性が強いため不向きです。
苦土石灰とは?
苦土石灰は、炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムが主成分の石灰です。酸性雨の影響で酸性に傾いている土をアルカリ性にする効果があります。石灰は植物の根を強くし、葉の葉緑素を形成するときに必要な要素で、石灰が欠けると下葉が黄色くなり枯れてしまいます。
育て方③水やり
土の表面が乾き始めたころ、たっぷり水を与えましょう。斑入りゼラニウムは加湿を嫌い乾燥を好む植物です。地植えの場合は、真夏は水やりを行いますが、ほかの季節は降雨のみで育ちます。あまり乾燥し過ぎると成長が悪くなるため、土の様子に注意して水やりをしましょう。茎や葉が濡れると腐りやすくなるため株元に水をかけます。
育て方④肥料
肥料は、花つきがよくなるリン酸を40%含む顆粒状の緩効性肥料がおすすめです。油カスのような窒素成分の多い肥料は花つきが悪くなるため、斑入りゼラニウムには不向きです。植え付けや植え替えのときは元肥として混ぜ込み、生育が旺盛な早春から秋は毎月置き肥しましょう。開花時期に肥料が多過ぎると花茎が柔らかくなり倒れやすくなるため、液体肥料を与えるときは注意が必要です。
育て方④剪定
切り戻し剪定は、春と秋に行います。枝の下部から新芽が出ている場合は、新芽を1~2個残して芽の上を切りましょう。新芽が無い場合は、枝に葉を2~3枚残して切ります。全く葉を残さず切ると枝が枯れてしまうため、必ず葉を少し残して切りましょう。また、きれいに樹形を整えるためには「花がら摘み」も大切です。咲き終わった花や黄色くなった葉はすぐに取り除きます。
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切り戻しをした後の枝は、挿し木にして増やせますよ!挿し木の方法は「斑入りゼラニウムの増やし方」で解説します。
育て方⑤植え替え
鉢植えの場合は、1~2年に1回は植え替えましょう。根が鉢いっぱいに成長すると根詰まりを起し枯れてしまうため、鉢替えが必要です。取り出した根についている古い土を落とし、根を1/3ほどハサミで切り、一回り大きい鉢に植え替えます。新しい培養土を使って植え替えたほうが土質がよくなり元気に育ちます。
斑入りゼラニウムを育てるコツ
- 日当たりのよい場所で育てる
- 風通しをよくし過湿に気をつける
- 発育旺盛なため、1~2年に1回は植え替える
- 花期が長いため、こまめに花がら摘みをする
斑入りゼラニウムの増やし方
斑入りゼラニウム、挿し木成功したぽい pic.twitter.com/7qlTjcMwIa
— てんカラ🐤 (@tenkaratto) July 10, 2019
斑入りゼラニウムは、挿し木で増やします。挿し木は9月下旬~10月中旬が適期です。挿し穂は、花後に数多く伸びてきた新芽から取りましょう。乾燥させないように水やりを行い、日が当たらない場所で管理するのがポイントです。2~3週間ほど経つと発根します。
挿し木の手順
- 堅くがっちりした茎を選び、茎頂部から10cm程度下を切る
- 土に挿す部分の葉を取り除き、3~4枚葉をつけ挿し穂をつくる
- 挿し穂の切り口に発根促進剤をつける
- 指や箸で用土に穴をあけ、挿し穂の節を深く埋める
- 発根まで日の当たらない場所に置いて管理する
斑入りゼラニウムの注意する病気と害虫
ゼラニウムは、どの品種も株元の茎が黒く変色し枯れてしまう「ブラックレッグ(茎腐病)」や、茎や葉が溶けたようになる「灰カビ病」にかかりやすいです。どちらも低温多湿で発生するため、水やりを控え風通しをよくしましょう。またウイルス性の「モザイク病」にかかった場合は特に注意が必要です。アブラムシやヨトウムシなど害虫には、発生初期に殺虫剤を散布し駆除しましょう。
モザイク病
モザイク病は、ウイルスが原因で花びらや葉にモザイク状の模様ができる病気です。発生すると葉が縮れ、芽の先が萎縮してきれいな花が咲かなくなります。発病した株を切ったハサミで健康な株を切ると伝染する恐れがあるため、ハサミを消毒して使いましょう。発病した枝は焼却処分します。
ヨトウムシ
斑入りゼラニウムは、ヨトウムシの幼虫に葉を食べられてしまうことがあります。ヨトウムシは大きくなると殺虫剤が効かなくなるため、幼虫のうちに薬剤を散布して退治しましょう。オルトラン薬剤などを早めに散布すると予防にもなります。
まとめ
ボタニ子
八重咲きの白い花と白い輪葉が美しい品種「ホワイトウエディング」です。
斑入りゼラニウムは、かつて人気のあった古典ゼラニウムが品種改良されたものです。美しい花を咲かせる品種が次々に販売されています。葉の色と模様を楽しむだけではなく花も一緒に楽しみませんか?きっと花が少なくなった冬の庭に彩りを与えてくれるでしょう。
1920年代には「変わり葉番付表」もあるほど斑入りゼラニウムは人気があったそうです!「変わり葉ゼラニウム」や「古典ゼラニウム」とも呼ばれています。