緑茶とは
基本情報
園芸部類 | 常緑樹 |
形態 | 常緑低木または小高木 |
樹高・草丈 | 約7m |
花の色 | 白 |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 耐陰性が強く、半日陰で育つ |
栽培の可否 | 可 |
緑茶の種類
緑茶とはチャノキ(茶の木)の葉を加工し、水や湯で抽出したものを飲用する嗜好品です。葉を乾燥して石臼で引くと抹茶、日光を遮って育てた葉を加工したものが玉露です。新葉を蒸しして揉みながら乾かせば煎茶、煎茶を深く蒸したものが深蒸煎茶になります。成葉を利用すれば番茶、その番茶に、炒った玄米を加えたものが玄米茶です。
緑茶の品種
緑茶には「やぶきた」「ゆたかみどり」「べにふうき」など多くの種類があります。やぶきたは生産量が多い緑茶の代表格、ゆたかみどりはやぶきたに次いで多く栽培される品種です。アレルギーに対する作用が期待されるべにふうきは、健康飲料などにも加工されます。市販の緑茶の多くがいくつかの品種をブレンドしたものです。
緑茶の健康効果
緑茶には健康の維持に有効な成分が豊富であるといわれます。テオフェリンという苦み成分は気管支炎拡張剤などに薬用として利用されています。また、緑茶には強い抗酸化作用が認められるビタミンCも豊富です。ビタミンCは高温でこわれやすい性質をもっています。その他、緑茶に含まれる健康成分を見ていきましょう。
カテキン
緑茶にはコレステロール値や体脂肪の低下、抗酸化作用が認められるカテキンが豊富なことでも有名です。カテキンにはいくつかの種類があり、それぞれに異なる薬効をもちます。カテキンはポリフェノールの一種で、緑茶の苦みや渋みをつくりだだす栄養素でもあります。
カフェイン
緑茶に含まれるカフェインは苦みに関連する成分で、利尿や覚醒作用があるといわれ、眠気を覚ます作用が認められています。カフェインは高温に溶けやすい性質をもつため、使用する湯の温度でカフェイン量を調整できます。抹茶や玉露には多くのカフェインを含みます。先天的にカフェインが体質にあわないという人もいます。
テアニン
テアニンは緑茶のうま味に関連する成分です。テアニンはカフェインの覚醒作用をおさえる働きがあるため、カフェインによる興奮をおだやかにするといわれています。また、テアニンには脳の神経細胞を保護する働きが認められています。
緑茶のおいしいいれ方
緑茶のいれ方には水出し、湯出しのほか氷を使って水出しする方法もあります。水出し、氷出しは3時間以上かけてじっくり低温で抽出、湯出しなら数分でできあがります。目的に応じた味や効能によっていれ方を使い分けてみてください。
お茶に向く水
緑茶の抽出には、軟水が適しています。市販の日本産飲用ウォーターならほぼ問題ないでしょう。外国産などに多いカルシウムやマグネシウムを含む硬水のミネラルウォーターは、苦みや渋みが増すため適しません。
水道水でも大丈夫
おいしい緑茶を入れるためにはおいしい水が欠かせません。日本の水道水は軟水なので緑茶への利用ができます。カルキ臭が気になるなら浄水器の使用しましょう。水道水を1晩くみおいて上澄みを使う方法もおすすめです。水は必ず1度沸騰させ、できれば5分程度煮立たせてから、冷まして使いましょう。
水出しにむく緑茶
水出しに向く緑茶は、煎茶や深蒸し煎茶、玉露などです。味が濃厚で、茶葉が細かい緑茶なら、水に栄養成分が溶け出しやすく水出しにおすすめです。水出しに向くお茶は湯出しにする場合も温度が低めの湯を利用します。番茶や玄米茶は高温での湯出しに向きます。
いれ方①水出し
用意するもの
- 緑茶(煎茶、深蒸し茶、玉露など):10~15g
- 水:1L
- 冷茶用ポット:容量1L以上のもの
いれ方
- お好みの煎茶をお茶パックにいれる
- ポットにお茶の袋と水をいれる
- 水は浄水器を通したもの、沸騰して冷ましたもの、市販の飲料水などを使用する
- 冷蔵庫で3時間程度冷やして抽出するポットごとふるか、箸やスプーンなどでかき混ぜる
- カップに注ぎ分ける
いれ方②氷水出し
用意するもの
- 緑茶(煎茶、深蒸し茶、玉露など):10g
- 氷:適量
- 冷茶用ポット:容量500~750mLのもの
いれ方
- ポットに茶葉をいれる
- 氷をポットいっぱいに詰める
- 常温で約3~4時間おく
- 水色が均一になるよう混ぜる
- 器に注ぎ分ける
いれ方③湯出し
緑茶を湯でおいしくいれるには、茶葉に適した温度の湯を使用することが重要なポイントです。玉露なら50℃程度の低温で、煎茶は70~80℃の湯を使うとうま味がしっかり引き出され渋みをおさえられます。玄米茶やほうじ茶など香りを楽しむお茶はさらに高温の湯を使いましょう。
用意するもの
- 緑茶:約2g/1人分
- 水(一度沸騰させたもの):約60mL/1人分
- 急須
- 湯のみ(人数分)
入れ方
- 湯のみに沸騰させた湯を注ぎ分ける
- 急須に茶葉をいれる
- 湯のみの湯が適温に冷めたら急須に注ぎいれる
- 急須にふたをして約1分間おく
- お茶の葉がしっかり開いたら、湯のみに少量ずつ均等に注ぎいれる
- 味や色が均等になるよう何回かに分けて注ぎまわす
- 急須に湯が残らないよう最後の1滴まで注ぎきる
2煎目以降の入れ方
湯出し緑茶は湯を足して2~3煎目までおいしく飲めます。2煎目以降は1煎目より湯の温度を高くするのがおいしく飲むポイントです。
緑茶のいれ方による味と効能の違い
味の違い
水出しと湯出しの緑茶には味の違いがあります。これは水の温度で溶け出す栄養成分が異なるためです。水出し緑茶は苦み成分、渋み成分溶けださないため、甘みとうま味をしっかりと感じ、湯出しはうま味に加えて、適度な渋みと苦みを楽しめます。
うま味の違い
緑茶のうま味に関連するのはテアニンです。テアニンがもっとも多く抽出されるのは湯出し緑茶で、水出しでは長時間浸出させることにより、湯出しとほぼ同じ量のテアニンが溶け出します。氷水出しではテアニンの浸出量はさらに少なくなります。
味の違い
- 水出し緑茶:甘みとうま味が強く、苦みと渋みはひかえめ
- 湯出し緑茶:苦み、渋み、甘み、うま味のバランスがよく味わい深い
水出し緑茶の栄養と効能
緑茶をじっくり時間をかけて水で抽出すると、湯出しよりカフェイン量が少なくなるので、睡眠を妨げることが少なくなります。水出し緑茶で多く抽出されるカテキンはエピガロカテキン(EGC)です。エピガロカテキンは免疫力アップの効果が認められています。高温で壊れやすいビタミンCやテアニンは低温の水に溶けだし、甘みのあるまろやかな味になります。
水出し緑茶のメリット
- カフェイン量が少なく睡眠を妨げないといわれる
- エピガロカテキン(EGC)量が豊富で免疫力アップが期待できる
湯出しの緑茶の栄養と効能
60℃以上の湯で緑茶をいれると苦み成分カフェインと渋み成分カテキンが多く溶け出します。そのため苦みと渋みがしっかりと感じるお茶になり、湯出し緑茶で多く抽出される抗エピガロカテキンガレート(EGCG)にはアレルギー作用が期待できます。
湯出し緑茶のメリット
- カフェインの作用で眠気覚ましの効果が期待できる
- エピガロカテキンガレート(EGCG)が豊富で抗アレルギー作用が期待できる
水出しと湯出しの栄養成分の違いと飲み方
水出し緑茶はあたたかくして、湯出し緑茶は冷ませば冷茶として飲めます。ただ、栄養成分は湯出しと水出し出は異なりますので、正しく使い分けましょう。湯出しで抽出した緑茶を冷やせば抽出される成分は湯出しのものと同じです。また、水出し緑茶はあたためると水出しの成分が摂取できます。
まとめ
緑茶の水出し湯出しには味にも体に対する効能も明らかに異なります。この違いを利用して、水出し、湯出しを使い分けてみましょう。甘くまろやかな水出し、うま味と渋み、苦みのバランスがよい湯出しを上手に楽しんでください。
出典:写真AC