作り方③土作り
土作りも盆栽の作り方のポイントです。盆栽には市販の土を使用しましょう。育てる木の種類に適合したものをチョイスし、気候や環境に配慮した土が理想です。間違っても、近所の空き地や庭の土を使ってはいけません。有害物質が混入していることもあり、木が枯れてしまう恐れがあります。
初心者向けの土①赤玉土
初心者の基本としては、赤玉土から始めてみるとよいでしょう。粒が大きければ大きいほど通気性と排水性、保水性が優れている園芸用の土です。一度焼かれて粒が壊れにくい「硬質タイプ」がおすすめです。壊れにくいため、初心者でも扱いやすいでしょう。
初心者向けの土②桐生砂
桐生土も使用頻度が高い土として知られています。大きな特徴は、赤玉土よりも通気性と排水性が優れている点です。そのため、松柏盆栽を育てる場合の必須アイテムとしても広く利用されています。
初心者向けの土③鹿沼土
鹿沼土は、栃木県鹿沼地方で産出される土です。盆栽の定番品種のサツキには欠かせない土として知られています。水やりをすると、湿った状態なら黄褐色に変化し、乾燥した状態なら淡黄色になるのが特徴です。水やりのタイミングなどを目視できるので便利な土です。
初心者向けの土④ケト土
ケト土は黒褐色で粘着力を持った土です。主に挿木や石付け盆栽をする場合に用いられます。注意としては、乾燥させないように保管する必要がある点です。未使用時にはビニール袋に入れて、保湿できる状態で管理しましょう。
作り方④植え付け・植え替え
植え付けや植え替えの適期は、3月の彼岸~4月にかけてです。盆栽の種類や鉢の大きさにより多少の差はありますが、植え替えの場合は購入後2~3年経過した頃に、土の水はけや色の変化(酸化すると黒ずみ出す)を確かめつつ、新しい鉢などへ移します。
手順(1)苗木の根をほぐしておく
植え付けるときは、まず鉢底にネットを置き、針金で固定します。土もれや虫を防止するための役目です。また苗木の古い土を落としておきましょう。根を傷めないよう、箸などで優しく絡んだ根をほぐすように行うのがコツです。
手順(2)用土を入れて水やりする
鉢の底に水はけ用のゴロ土を入れます。次に用土を入れましょう。鉢の半分以下から1/3くらいが目安です。苗木の根を置き、根と根の間へしっかり用土を入れていきます。箸などを使って少しずつ土を入れましょう。土が十分入ったらゆっくり水を与えます。底から水が出るくらいまで水やりしてください。
作り方⑤苔の貼り付け
盆栽を育てる際には、主役の苗木だけではなく苔の存在も重要です。盆栽の美しさを保つだけでなく、土の乾燥を防止し、樹木そのものの健康を守ってくれる役割を担うからです。盆栽初心者でも、苔の貼り付け方法の基本をマスターしておくことをおすすめします。
基本的な苔の貼り付け方
まずは苔を水に浸し馴染ませます。次に盆栽鉢へ用土、ケト土の順に敷き詰めましょう。その上へ苔を全体に敷き詰めます。軽く押し付ける程度の力加減で構いません。あらかじめはさみで苔を切っておき、形を整えながら乗せていきます。最後に、隙間があいた箇所へさらに苔を貼っていく作業で仕上げます。
盆栽の日常の手入れ
盆栽を理想的な形に仕上げるには、毎日の手入れの習慣が左右します。盆栽も草花なので、細やかな手入れが必要です。
置き場所
盆栽は屋外での管理が基本です。室内にも置けますが、定期的に屋外に移動し日光を浴びさせましょう。また、夏場は西日を避けて置きます。できるだけ高い位置で風通しをよくしましょう。
水やり
盆栽を育てるうえで、水やりは重要です。土の乾きを判断することは初心者には難しく、最適な水やりのタイミングを見極めるには、ある程度の経験値が必要です。盆栽初心者の場合は、季節ごとに回数と時間を決めて与える方法が望ましいでしょう。春秋なら1日1回、夏は1日2回、冬は2日に1回を目安にします。
肥料
肥料は、盆栽を効率よく仕上げるためにも必要です。しかし、肥料を与え過ぎると枯らしてしまうことがあります。そのため、肥料の種類や時期、注意点を理解しながら使いましょう。一般的に、盆栽へ肥料を与える時期は、新芽が伸び出す春~秋の彼岸頃までが理想とされています。木によっても肥料の種類が異なるので、事前に苗木を購入した店舗などで確認しておくとよいでしょう。
剪定
剪定は、幹を見ながら醜い枝である「忌み枝(いたみえだ)」を切る作業です。剪定の注意点は、切り口を余計な力で潰さないように、必ず剪定用ハサミを使用することです。
剪定の種類①間引き剪定
間引き剪定とは、忌み枝を枝元から切る方法です。剪定後に残った枝に力がついていきます。やがて盆栽が自然と枝数を増やそうと育っていくので、生育期や冬場の剪定として効果的です。最初に忌み枝や不要な枝を剪定し、樹全体のバランスを見ながら、枝が混んでいる部分で不要な枝を切ります。
剪定の種類②切り返し剪定
切り返し剪定(切り戻し剪定)とは、枝を途中から切る剪定方法です。骨格となる枝を育てたるため、また先端の弱ってきた枝を回復させるために行います。切り返し剪定をすると、残った枝の芽吹きがよくなり、枝数を増やせます。
剪定の種類③切り込み剪定
大きな枝を剪定し、矯正するのが切り込み剪定です。一度大きく太った枝を切り戻し、幹を太く樹高を徐々に低くしながら、全体的に詰まった形状に整える方法です。また通常の剪定を繰り返すなかで、枝の肉が異常に太くなった場合、肥大部分を切り詰めて形を整えるときにも用います。
初心者向け盆栽の種類
盆栽には松やもみじなど、美しい姿ながらも初心者でも扱いやすい種類がいろいろあります。
種類①松伯盆栽
盆栽作りの基本ともされているのが松です。松伯盆栽が、盆栽を始めるのに最適な種類とされています。松にもいろいろな分類があり、初心者なら黒松、五葉松なら育て方も手軽です。松の場合、剪定方法を工夫することで外形も変えやすい特徴もあります。
種類②もみじ盆栽
花をつけない樹木の「葉物盆栽」も人気があります。なかでも、もみじは紅葉の時期におすすめです。もみじを盆栽にする場合、葉が彩られやがて落ちる秋ごろを見計らって、計画的に育てつつ理想の形状に作り上げる楽しみ方ができます。
種類③梅盆栽
花がきれいに咲く種類を希望する方におすすめなのが「花物盆栽」です。代表的なものが梅です。一般的な鉢植えで育てる方法とは趣が違い、芸術的に見せるための手入れをすることで、梅への向きあい方も深くなっていきます。
種類④苔盆栽
苔を育てる盆栽も人気です。特に苔玉は、独特な風合いとかわいらしさが相まって女性を中心に注目されています。100均などで苔玉盆栽の関連商品も販売されているほどです。手ごろで簡単に着手できるため、初心者にはぴったりです。
盆栽の作り方をマスターしよう!
盆栽作りは格式があり、敷居が高いという印象を持たれがちです。しかし盆栽も、普通の植物の種や苗木の1本からスタートしています。初心者が盆栽作りをする際は、手頃な価格で管理しやすい小品タイプがおすすめです。樹種も単体か数鉢程度に厳選して始めてみましょう。
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