【ヒノキ・スギ・ヒバ】木材の原料となる針葉樹の特徴・違いを解説!

【ヒノキ・スギ・ヒバ】木材の原料となる針葉樹の特徴・違いを解説!

スギ・ヒノキ・ヒバは、日本でよく使われる木材です。この3つはそれぞれ特徴に違いがありますが、普段は意識することはあまりないでしょう。スギ・ヒノキ・ヒバのそれぞれの特徴や用途について解説します。3つの違いがわかれば、DIYの幅が広がりますよ。

記事の目次

  1. 1.スギの概要
  2. 2.ヒノキの概要
  3. 3.ヒバの概要
  4. 4.木材の材質の違いを知ろう!

スギの概要

Photo by harum.koh

スギは、スギ科スギ属の常緑針葉樹です。日本で植林されている樹木の大半がスギで、木材としては安価で取り扱いやすいのが特徴です。Cryptomeria japonicaという学名がある日本固有種の樹木で、本州北部から屋久島に分布しています。

スギの特徴

スギは年輪がはっきりしていて、日本人好みのよい香りがするのが特徴です。また材質が柔らかく、繊維が直線的で割りやすいため加工が簡単です。そのため幅広い用途に使われ、日本では昔から桶や樽などに加工されてきました。

スギの種類

種類①ヨシノスギ(吉野杉)

奈良県の吉野地方で植林されているものを、ヨシノスギ(吉野杉)といいます。ヨシノスギは、年輪を均一で細かいものにするため、あえて密植で栽培し成長を遅らせています。この細かな年輪のおかげで、ほかのスギと比べて強度が高いのが特徴です。淡い紅色の木肌は経年劣化しても色あいが残りやすく、造作材や柱材としてよく使われています。

種類②アキタスギ(秋田杉)

日本三大美林のひとつであるアキタスギ(秋田杉)は、木目が美しく爽やかな香りが特徴です。ほとんどのアキタスギは直射日光があまり当たらない環境で成長するため、耐陰性が強く腐りにくいという特徴もあります。比較的柔らかく加工しやすい木材で、構造材や建具のほかに、まげわっぱなどの工芸品の材料としても使われています。

種類③サツマスギ(薩摩杉)

サツマスギ(薩摩杉)は、ヤクスギ(屋久杉)ともいわれる希少なスギです。鹿児島県屋久島に自生する天然のもので、樹齢が1000年未満のものは正式にはヤクスギとはいわず「小杉」といわれます。木目が細かく緻密で木肌の色が濃いため、天井板や落とし掛けなどの用途として使われることの多い木材です。サツマスギの樹脂は独特の香りで防腐効果や虫を寄せ付けない効果を持ちます。

スギとヒノキの違い

それぞれの種類によって多少は変わりますが、ヒノキはスギより密度や強度も高いとされています。一方、スギはヒノキに比べて成長が速く、植林されている数も多いため、ヒノキよりも安価で取引されます。一般住宅では高価で耐久性が高いヒノキを水回りや床下部分に使い、そのほかの建築材にスギを使うなど、場所によって木材を使い分ける方が多いでしょう。

スギとヒバの違い

ヒバはヒノキと同じヒノキ科の針葉樹で、スギに比べて耐水性が高いのが特徴です。価格は、スギよりもヒバのほうが比較的高価で取引されます。ヒバはヒノキよりも安価なので、建物の水回り部分にヒバを使い、そのほかの部分にスギを使うケースもあります。

スギのおもな用途

スギはさまざまな用途に使用される木材ですが、ポピュラーなのは一般の木造住宅の建築材です。土台・梁(はり)といった構造材や、天井板や床材などの装飾材に使われることもあります。ほかには、障子の枠や襖の骨といった建具の材料としても重宝されています。

ヒノキの概要

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ヒノキはヒノキ科・ヒノキ属の常緑針葉樹で、日本最古の木造建築・法隆寺にも使われています。おもに日本や台湾に生息し、日本国内では本州の中部から九州に分布します。淡黄白色から淡黄褐色の木肌は清潔感があると人気で、日本だけでなく海外からも注目されている木材です。

ヒノキの特徴

特徴①耐久性・保存性が高い

ヒノキは、耐水性が高いのが特徴です。耐水性の高さは針葉樹のなかでもトップクラスで、ヒノキを使った建築物は1000年以上の寿命を保っているものがいくつもあります。その耐水性の高さから、日本では最高品質の建材として知られています。

特徴②香りがよい

爽やかで清々しい特有のよい香りも、ヒノキの特徴の一つです。ヒノキの香りにはリラックスやリフレッシュの効果があるといわれており、エッセンシャルオイルとしても親しまれています。ヒノキの耐水性の高さと香りのよさを活かして、浴槽や浴室の材料にもよく使われます。

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みなさんはヒノキのアロマをご存知ですか?今回はヒノキを使った人気アロマの効果や効能を詳しくご紹介します。エッセンシャルオイルやアロマオイル、そしてヒノキグッズのおすすめもご案内していきます。昔から日本でも大切に育てられてきたヒノキの魅力に驚くかもしれません。

特徴③光沢があってなめらか

ヒノキの木目は均一で美しく、触り心地がなめらかです。また適度な樹脂の量のおかげで表面に自然なつや感があり、年月が経つとその色や光沢がさらに深まっていくことから、建築材としては最高品質といわれています。建築材だけでなく、高級装飾品の材料としても使われます。

ヒノキとヒバの違い

違い①色の見た目

ヒバはヒノキと同じヒノキ科の針葉樹ですが、木肌はヒノキよりも黄みがかった色です。いっぽうヒノキは、高級感を感じられる上品な淡紅色をしています。このことから、一般的にはヒバよりもヒノキのほうが見た目が優れているとされています。

違い②木肌の見た目

ヒバは、ヒノキより耐久性が高く腐りにくいのが特徴です。しかし、ヒノキはヒバよりも高価で取引され、ブランドとしての価値が高いとされています。それは、やはりヒノキのほうがヒバよりも見た目が美しいからでしょう。ヒバは成長するときにややねじれながら育つ特性があり、年輪が不明瞭で装飾材には向きません。一方のヒノキは年輪の幅が均一で、見た目の美しさにも優れています。

違い③ヒノキチオール

ヒノキチオールとは、ヒバに含まれている抗菌性の高い物質です。ヒノキチオールはもともと台湾に生息するヒノキから発見されましたが、日本に分布しているヒノキにはヒノキチオールは含まれず、ヒバ特有の成分といえます。ヒノキチオールはカビやダニを防いでくれる作用があります。

違い④耐久性

ヒバはヒノキよりも防虫性が高く、木造建築に甚大な被害を与えるシロアリや蚊などといった虫を寄せ付けにくい性質を持っています。耐久性の高さから、建築物の土台としても重宝される木材です。ヒバを使った建築物は腐食にも強く、多くの歴史的建造物にも使われています。

ヒノキのおもな用途

ヒノキは住宅などの建築材に使用されますが、木材のなかでも高価で取引されるため、ヒノキ造りの住宅は「特に高価な木造住宅」といわれています。建築材のほかに装飾材として、柱材や天井、浴室周りに使われることが多いでしょう。

ヒバの概要

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ヒバは、ヒノキ科アスナロ属の樹木です。北海道から関東北部に分布し、そのほとんどが青森県内に生息しています。耐陰性が強く丈夫で、岩手県の中尊寺金色堂はヒバを使って作られた建築物として有名です。

別名「アスナロ」「ヒノキアスナロ」

ヒバは、アスナロやヒノキアスナロといわれることもあります。アスナロという名は、ヒノキに似ているヒバを「明日は檜(のような高級木材)になろう」という言葉で表現したことが由来だといわれています。

ヒバの特徴

ヒバは耐久性・抗菌性ともに優れ、建築材以外にまな板や風呂用具にも使われることも多い木材です。抗菌・防虫効果が高いため、ヒバを使った建築物はシロアリなどの被害を受けにくいとされています。

ヒバのおもな用途

ヒバの見た目は一般的にはヒノキより劣るといわれているため、装飾材に使われることはまれでした。しかし、日本三大美林のひとつである青森ヒバはヒノキに劣らず美しく、近年その耐水性を活かして浴槽などの水回りなどに使用されています。

木材の材質の違いを知ろう!

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スギ・ヒノキ・ヒバは、日本国内で使われるメジャーな木材です。それぞれの特性を理解すれば、価格を重視するならスギを使い、見た目を重視するならヒノキを使うなど、適切に木材を選べますよ。木材の材質の違いがわかれば、建築物を見る視点も変わるでしょう。

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ライター

apple.

ターシャ・テューダーが好きな食いしん坊ライター。ゴーヤでグリーンカーテンを作るのが夢。フラワーアレンジメント歴5年で好きな花はミモザとユーカリ。

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