ヒマラヤの青いケシは育てられる?
ヒマラヤの青いケシは、暑さに非常に弱いため、日本では北海道や高原などの寒冷な土地でのみ栽培できます。ヒマラヤの標高3000m以上の寒冷な高地に自生しているだけあり、寒さには大変強いですが、日本の暑い夏を乗り越えられません。夏に30℃以上になるような気候では、何も対策をとらなければ腐って枯れてしまいます。
ヒマラヤの青いケシのライフサイクル
ヒマラヤの青いケシは、春に発芽、夏に成長、冬に休眠、翌年の春に開花というライフサイクルを送っています。これは自生しているヒマラヤの山岳地帯でのライフサイクルで、日本での栽培では、夏の暑さに苗が耐えられなくなり枯れてしまいます。
日本で栽培可能なライフサイクル
日本では10月下旬ごろに種を撒き、夏を迎える前にある程度丈夫な苗に育てる栽培方法が生み出されています。しかし、この方法でも育てられるのは北海道や高冷地のみで、それ以外の土地での栽培には温度管理設備などを整える必要があります。
種や苗はどこで販売している?
種は園芸店やインターネットサイトで入手できます。苗は秋頃、稀に園芸店で販売されているようですが、なかなか入手が困難です。
ヒマラヤの青いケシの育て方
日本の気候ではなかなか栽培が難しい植物ですが、北海道や高冷地などでは、温度管理を工夫すれば見事な花を咲かせられます。
育て方➀栽培環境
標高3000m~5000mの草原や岩場の斜面などで生育している青いケシの栽培は、その環境に少しでも近づけるために、寒冷地で風通しと日当たりがよいところが適しています。しかし、北海道の気候でも栽培は難しく、何も手を施さないと夏の暑さには耐えられません。夏は遮光し、涼しい環境を整えましょう。
育て方②種まき
日本で青いケシを栽培するのなら、10月下旬頃に種をまきましょう。室内に置き、気温は10~15℃くらいが目安です。1カ月ほどで発芽が確認できます。
育て方③温度管理
耐寒性のある青いケシですが、発芽から幼苗の時期に凍結すると枯れてしまいます。発芽から半年くらいは室内で育て、春の芽吹きの頃に外に出しましょう。その後は15~20℃を保てるように、置く場所を移動させたり、遮光したりしながら夏を越します。冬になってすべての葉が落ちてしまっても、株は根を張り成長しているので、そのままじっと見守りましょう。翌春には芽が動き出し、5~6月に花が咲きます。
育て方④栽培用土
種まき用土には、細かい山野草用の土が適しています。苗を栽培するときは、山野草用土に腐葉土などの有機質を混ぜて使いましょう。水はけをよくすることがポイントです。
育て方⑤水やり
排水性の高い用土で栽培するので、夏は毎日たっぷりと水を与えましょう。春と秋は2~3日に1回与えますが、休眠している冬期は控えめにします。
育て方⑥肥料
肥料として、春先の芽が出るころに一握りの骨粉を与えましょう。比較的、肥料を好む植物なので、生育期は適宜液肥を与えると葉や茎がいきいきと成長します。
育て方⑦増やし方
ヒマラヤの青いケシは、開花後の種を採種して増やせるほか、株分けによっても増やせます。しかし種の発芽率を高めることが難しく、また、株分けできても育てることが難しいため、初心者にはハードルの高い植物でしょう。
育て方のポイント
- とにかく暑さに弱いので、夏でも25℃以下を保持し、直射日光はさけること
- 雨に当たると葉が痛むため、できれば雨除けをすること
- 冬期に葉が黒ずんだり葉がすべて落ちたりすることがあるが、病気ではないのでそのまま見守ること
- うどんこ病が発生した場合は、病変のある葉を摘むこと
幻の花・ヒマラヤの青いケシを咲かせてみよう
ヒマラヤの高地という秘境で咲く孤高の花だからこそ、青いケシの栽培は簡単ではありません。しかし、青空と氷河を彷彿させる透明感のある青い花を咲かせることができたら、その喜びは計り知れないほど大きなものとなるでしょう。標高3000m以上の美しい山岳地帯を思い浮かべながら、青いケシの栽培に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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出典:写真AC