ドイツスズランの概要
ドイツスズランは、スズランの中でも特に栽培が盛んな種類です。名前に「ドイツ」とあるとおり、ヨーロッパを中心に自生しています。花色は白がポピュラーですが、種類によってはピンク色も存在します。日本に自生するニホンスズランが暑さに弱いのに比較して、ドイツスズランは一定の耐暑性があり栽培も容易です。はじめてスズランを栽培する人や、ガーデニングに不慣れな人は、ドイツスズランから挑戦するのがおすすめですよ。
基本情報
名前 | ドイツスズラン |
別名 | キミカゲソウ(君影草) |
園芸分類・形態 | 山野草・多年草 |
原産地 | ヨーロッパ、東アジア、北アジア |
開花期 | 4月~5月 |
花の色 | 白、ピンク |
特徴 | 落葉性、香りがある |
名前の由来
スズラン(鈴蘭)は花の形が鈴、葉の形が蘭に似ていることから「鈴蘭」と名付けられました。ただしラン科の植物ではなく、分類上はユリ科です。また、別名の「キミカゲソウ(君影草)」は、思いを寄せる相手をうつむき加減に見つめる女性の姿に、控えめなスズランの花姿が似ていることにちなみます。清楚なスズランにぴったりの、ロマンティックな別名ですね。英語では「Lily of the valley:谷間のヒメユリ」とも呼ばれます。
花や葉の特徴
ドイツスズランは草丈30cm程度で、約5mmのベル状の花を鈴なりに咲かせます。草丈15cm~20cmのニホンスズランに比べ花が大きく、観賞用として人気があります。花茎と葉が同じくらいの長さ(20cm前後)になることも特徴です。葉は楕円形で、地上茎の基部に3枚ほどついています。またニホンスズランと比べても、強い芳香を持ちます。香水やシャンプー、ハンドクリームなどの香料としても人気ですよ。
開花期と花言葉
ドイツスズランの開花期は、4月~5月にかけてです。あたたかな春の陽射しに、純白の花はよく似合いますね。清楚な花姿から花嫁姿をイメージするという理由で、ドイツスズランはウェディングにも人気があります。「純粋」「純潔」「幸福の再来」といった花言葉も、しあわせいっぱいの結婚式にぴったりです。またフランスでは5月1日に、愛する人へスズランを贈る風習があります。受け取った相手には、幸運が訪れるといわれていますよ。
毒性
ドイツスズランはとても可憐でかわいらしい花ですが、根や花に強い毒性がある植物です。誤って食べてしまわないように、くれぐれも注意してくださいね。特に小さな子どもやペットなどが、誤食する危険性が高いです。観賞用に花を飾るときは、子どもの手が届かない高いところに飾りましょう。食卓の近くも避けたほうが安心ですよ。また、植え替えや剪定などで長時間ドイツスズランに触れる場合も、手袋をするのがおすすめです。
ドイツスズランの育て方
栽培スケジュール
育て方①栽培環境
ドイツスズランは水はけのよい土壌を好む植物です。植え付け場所には、腐葉土やたい肥といった有機物をたっぷりとすき込んでおきましょう。日照量が不足すると、花が咲かないことがあります。春と秋のあたたかい時期には、たっぷりと日光に当てて育てるのがポイントです。ただし夏の直射日光は苦手のため、暑い時期には半日陰となる、落葉樹の下が適しています。すのこを利用して、コンクリートから離して置くのも効果的です。
育て方②水やり・肥料
ドイツスズランを鉢植えで育てる場合、表土が乾いたらその都度しっかりと水やりをします。冬に室内に取り込むなら、暖房の風による乾燥を防ぐために霧吹きで葉水をするとよいでしょう。庭植えは湿り気がある場所であれば、自然に降る雨に任せても構いません。肥料は植え付けのとき、元肥として緩効性化成肥料を土壌に混ぜるのが一般的です。開花期を終えたあと、追肥として緩効性化成肥料もしくは液体肥料を施しましょう。
育て方③植え付け
ドイツスズランの栽培には、水はけと通気性・保水性のある土が適しています。市販されている草花用培養土を用いると、初心者でも簡単ですよ。赤玉土と腐葉土、軽石を配合したものでも構いません。10月上旬~12月上旬、もしくは4月上旬~5月上旬に、株元の芽が土に隠れる程度の浅植えにしましょう。植え付けたあとは根付くまで、たっぷりと水を与えてください。庭植えは骨粉や牛糞など、有機質の肥料を施しておくと効果的です。
育て方④植え替え
ドイツスズランを鉢植えで育てる場合、根詰まりを解消する目的で2年に1回は植え替えます。庭植えでも次第に株が拡大するため、3年~5年に1回は植え替えるのがおすすめですよ。作業には休眠期の10月~12月か、開花が始まる4月~5月が適しています。掘り上げた同じタイミングで、株分けをすると効率的です。春に株分けをする場合には、せっかくできた花芽を切り取らないように気をつけましょう。
育て方⑤株分け
ドイツスズランは種まきでも増やせますが、花が咲くまでに時間がかかります。そのため、株分けで増やすのが一般的です。土から地下茎を掘り起こしたら、古い土を軽く落としましょう。4個~5個ずつ花芽がつくように、ナイフやハサミで切り分けます。根から出ている突起の中で、大きく膨らんでいるものが花芽、細長いものが葉芽です。切り分けた根は元の鉢や花壇と同じ内容の土に植え付けて育てましょう。
育て方種⑥種まき
ドイツスズランは開花期が終わったあと、赤茶色の実をつけます。その中に種が入っているため、皮をむいて種を取り出し、よく水で洗って果肉を落としましょう。スズランは草花全体に毒を持つ植物です。直接触れるとかぶれる恐れがあるため、作業は手袋をつけると安心です。種まきのあとは水を切らさないように日陰で管理していれば、翌年の春に新芽が出てきます。苗がある程度まで育ったら、あらためて鉢や花壇に植え替えます。
出典:写真AC