鈴蘭の毒性とは
ユリ科の鈴蘭は、水仙と同じように毒成分があるといわれています。一般的に鈴蘭の名前で出回っているのはドイツスズランですが、スノーフレークの名前で呼ばれるヒガンバナ科の鈴蘭水仙も毒成分がある植物です。鈴蘭の毒のある部位や、誤食したときの症状や作用など知っておくと安心です。鈴蘭と鈴蘭水仙の毒成分は違いますが、花の形がよく似ています。
鈴蘭は全草に猛毒がある
鈴蘭は花、花粉、茎、葉、球根、実と全てに猛毒をもつ毒植物です。鈴蘭の実は直径1cmくらいで、秋には赤く熟します。美味しそうに見えますが、花や球根と並んで葉よりも毒成分が多く含まれます。鈴蘭の毒の初期中毒症状は吐き気、嘔吐、腹痛、頭痛などです。誤食すると約1時間以内、遅くても2時間~3時間以内に、症状があらわれます。
ボタニ子
ボタ爺
鈴蘭の赤い実は苦くての、すぐ吐き出すんだが、毒が体に入ってしまうんだの。子どものいる人は注意が必要だよ。
鈴蘭の毒の成分
鈴蘭のおもな毒成分は、コンバラトキシン、コンバロシド、コンバラマリンという強心配糖体と呼ばれる、心臓に作用が大きいものです。そのほかにも、イソロデアサポゲニン、ケイオシド、ケリドン酸、コンバラサポニン、デグルコケイロトキシンなど、30種類以上の毒成分を含んでいます。葉よりも花や実の場所に毒成分が多く、約3倍~4倍あります。
ボタニ子
強心配糖体って、薬にも使われるの。でも、鈴蘭は副作用が強すぎるんですって。
ボタ爺
薬と毒は紙一重だけど、鈴蘭の場合、本当に紙一重くらいに量の差が少ないんだそうだよ。だから、薬には使えないんだそうだ。
鈴蘭の中毒症状
鈴蘭は非常に多くの毒成分を持っている植物です。全草に毒があり、花や実、根に多いといわれてはいますが、どの部位をどれだけ食べれば中毒症状が出るかは個人差があります。鈴蘭の毒は心臓や腎臓に強く作用するものが多いため、中毒症状も心臓や腎臓に与えるダメージは大きいです。
誤食した場合
初期
子どもが鈴蘭の実を誤食した際、苦いためすぐに吐き出すことが多いです。山菜と間違えて誤食した場合、山菜にも苦味があるため気が付かず、多量摂取につながる可能性が考えられます。鈴蘭の中毒症状は流涎、腹部内臓の痛み、吐き気、嘔吐、下痢、頭痛などで、最初に消化器官に障害があらわれるといわれています。そのほかに腎臓障害、多尿、頻尿、蛋白尿、視覚障害などの症状があるようです。
ボタニ子
鈴蘭を誤食したとわかったら、すぐに救急車を呼んでね。そのときに誤食した鈴蘭と吐き出したものも持っていきましょう。
ボタ爺
鈴蘭中毒の応急処置は吐かせてから、牛乳や緑茶などを飲ませて毒を薄めよう。塩を少し入れると、下痢で失ったナトリウムを補えるぞ。
重症
鈴蘭の大量摂取や、鈴蘭をいけていた花瓶の水の誤飲で死亡するケースがあります。鈴蘭の誤食による重篤な症状では、心臓がゆっくり強く鼓動したのち、心筋が興奮状態になり脈拍が速く不規則で弱くなり、呼吸も浅く弱くなる呼吸困難が起こります。手足が冷たくなったり、痙攣したりしたのち力が抜け最終的に呼吸麻痺で死亡してしまうため注意が必要です。
ボタニ子
心臓だけでなく、腎臓にも影響が出るのは、鈴蘭の毒成分の強心利尿作用の強さからなのよ。コンバラトキシンやコンバラマリンなどの作用ね。
ボタ爺
心臓麻痺や心不全を起こすこともあるそうだぞ。
触る場合
鈴蘭を観賞用植物として庭で育てている人もいるでしょう。鈴蘭の世話で植え替えたり株分けしたりして触る場合、肌の弱い人は手袋をおすすめします。とくにかぶれなどの症状はないようですが、全ての部位に毒の成分があるため、鈴蘭を触ったら必ず手を洗うか、鈴蘭を扱う前に使い捨てのゴム手袋をするとよいでしょう。
鈴蘭毒の致死量
鈴蘭の毒の致死量は諸説ありますが、体重1kgにたいして0.3mgといわれています。体重50kgの成人の場合15mg、体重4kgの小型犬であれば1.2mgが致死量になります。これはおもに鈴蘭に含まれるコンバラトキシンの致死量で、強さは青酸カリの10倍~15倍の猛毒です。花や実に毒が多いといわれていますが、どこの部分をどれだけ食べれば死に至るかはわかっていません。
ボタニ子
誤食したときの体調とか体質、体重によるし、計算通りにはいかないの。
ボタ爺
間違えて天ぷらにしてお酒と一緒になんてケースもあるが、酔いで味がはっきりせず、多く食べてしまったそうだよ。
鈴蘭の赤い実は美味しそうに見えるので、鈴蘭が自生する世界中の子どもの被害が絶えないんですって。