猫にとって危険な植物はたくさんある
猫は頻繁に毛づくろいをして、お腹の中で毛玉をつくります。それを吐き出す手助けとするため、植物をよく口に含むのも特徴ですね。しかしながら、猫が食べると危険な植物も多く存在しています。猫のいる家庭で植物を育てたり花を飾ったりするときには、万が一猫が誤食しても大丈夫な植物なのかどうか、あらかじめ確認することが重要ですよ。
猫が食べたら危険な植物一覧【①~⑤】
①チューリップ
ガーデニングの定番であるチューリップは、赤や白、ピンクに黄色など、カラフルな花色が魅力です。学校の授業で育てることもありますね。秋に球根を植えれば、春には満開の花が咲きます。水やりや肥料の手間も少なく、初心者でも育てやすいおすすめの春の花ですよ。
毒性と症状
チューリップをはじめとしたユリ科の植物はとても美しいですが、猫にとっては猛毒です。花弁や花粉、葉などあらゆる部位に注意が必要で、少量摂取しただけでも急性腎障害を引き起こします。世界各地で死亡例も報告されています。チューリップを生けてある花瓶の水にもその毒性は溶けだしているため、猫が口に含まないように気をつけてください。
②アサガオ
アサガオは古くから日本で親しまれている花で、奈良時代に中国から渡来したといわれています。つる性の植物のため、あんどん仕立てにしたり、グリーンカーテンにしたりするのがおすすめです。花の大きさや色、模様などが種類によって異なり、バリエーションが豊富です。
毒性と症状
アサガオは、花や葉には毒性がありません。注意するべきは種に含まれている「コンボルブリン」や「ファルビチン」といった成分です。誤食すると下痢や血便、激しい嘔吐などの症状が見られ、血圧が急低下します。黒い種は土の上に落ちると見分け方が難しいため、種がつくられる時期には猫が近寄らないように対策しましょう。
③キキョウ
キキョウは東アジアを中心に分布する多年草です。品のある紫や白の花が可憐で、万葉集の時代から観賞されていたといわれます。6月~10月と開花期も長く、耐寒性も強いので、初心者ガーデナーにもおすすめですよ。蕾が風船のように膨らんでいるため、英名は「バルーンフラワー(Balloon flower)」です。
毒性と症状
キキョウ科の植物を猫が誤食すると、嘔吐や下痢といった症状が出ます。ひどい場合には呼吸困難や心臓麻痺などを引き起こす、命に関わる毒性です。キキョウは特に根の部分に注意して、猫が掘り起こさないような飾り方をすると安心ですよ。同じキキョウ科のロベリアは、花を食べても同様の症状が現れます。
④ジンチョウゲ
早春に花を咲かせるジンチョウゲは、夏のクチナシ・秋のキンモクセイと並ぶ「三大香木」として親しまれる花木です。華やかで凛とした香りで、街路樹や公園木としても人気があります。枝がよく分岐するため、剪定をしなくてもこんもりと整った樹形を保ちます。半日陰でも育てられる丈夫さも魅力ですよ。
毒性と症状
ジンチョウゲは猫に限らず、犬や人間にも症例があります。樹液に「ダフネチン」という有毒成分が含まれており、誤食すれば口唇炎や水泡が、皮膚に触れれば皮膚炎が起きます。毒性自体はそれほど強くないため大量に摂取しなければ大丈夫ですが、猫は犬や人間に比べても体が小さいことから、避けたほうが安心ですよ。
⑤パンジー
パンジーは10月下旬~6月ごろまでと開花期が非常に長いことから、花の少ない冬の花壇に欠かせない存在です。色も黄色や赤、紫に青などさまざまで、顔のように見える模様も人気があります。品種改良もさかんで、毎年のように柄や咲き方の新しい種類のパンジーが生まれていますよ。
毒性と症状
パンジーは「ビオリン」をはじめとした数種類の毒素を持っています。特に種と根茎が、問題で、花は多少であれば食べても大丈夫でしょう。症例としては嘔吐や下痢、呼吸困難、ひどい場合には心臓麻痺を起こしたケースもあります。冬場の花壇の彩りとして人気の高いパンジーですが、猫の手が届く場所には植えないほうが安心ですね。
出典:写真AC