リョウブとは?特徴や利用方法、サルスベリとの違い&見分け方を紹介!

リョウブとは?特徴や利用方法、サルスベリとの違い&見分け方を紹介!

リョウブは日本全国に広く分布する落葉樹です。リョウブは美しい花を咲かせ、庭木としても注目を集めています。この記事では、リョウブの特徴や利用方法、見た目がよく似ているサルスベリとの見分け方を解説します。リョウブの特徴を知って、庭木以外にも利用してみましょう。

記事の目次

  1. 1.リョウブってどんな植物?
  2. 2.リョウブの特徴
  3. 3.リョウブの利用法
  4. 4.リョウブとサルスベリの違い
  5. 5.まとめ

リョウブってどんな植物?

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リョウブは、九州~北海道まで幅広い地域の山林に生息する落葉樹です。夏の季節に開花時期を迎えるリョウブは、白く美しい花を咲かせるため、庭木としても人気があります。しかも食用にもなり、飢饉の際に貴重な食糧となった歴史があるため、名前の由来や利用法にも一般的な落葉樹では見られない特徴があります。

世界に64種類ある

リョウブ属の植物は世界中に64種類あります。伐採にも強く厳しい環境にも耐えられるリョウブは、山林を構成する代表種類です。ところが日本に生息するリョウブは1科1属1種類しかなく、仲間の種類もありません。そのため世界では種類豊富で仲間も多いリョウブですが、日本のリョウブは孤独な植物なのです。

名前の由来

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リョウブという名前は、法律を意味する言葉がなまったのが由来です。リョウブの和名は「令法」ですが、本来の読み方は「令法=リョウホ」で昔の法律を意味します。リョウブの葉は保存食になるため、飢饉がひんぱんにおこった時代に政府が法律で栽培を命じていました。その後、令法とよばれていたのがなまりリョウブになりました。

別名「ハタツモリ」

リョウブは、別名が多い木としても有名です。なかでも特に有名なのが「ハタツモリ」で、漢字表記も「畑つ守」「畑守」「畠積り」とさまざまな種類があります。ハタツモリという呼び方は平安時代には定着しており、当時の歌人・能因法師の歌にもハタツモリが登場しています。ただしハタツモリの由来はよくわかっていません。

地域によって別名がたくさんある

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リョウブは飢饉の際の食用植物として全国各地で栽培されたため、地域によってたくさんの別名があります。比較的よく知られているのはギョウブナ・リョウボク・サルバキですが、関東以北ではリョウブとは種類がまったく違う「サルスベリ」と呼ぶことが多いです。

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花言葉

リョウブは「あふれる想い」という花言葉があります。誕生日などの記念日に存在感のある美しいリョウブの花束を、花言葉を添えてパートナーにプレゼントするのもおすすめです。なおリョウブには「寛ぎ」という落ち着いた花言葉もあります。

リョウブの特徴

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リョウブは日本全国でみられ、日本人にとっては比較的身近な樹です。ただしリョウブには種類が違っても見た目がよく似た樹が存在するため、リョウブの特徴はあまり知られていません。そこでよく似た種類とリョウブの見分け方を説明する前に、特徴や魅力について見ていきましょう。

特徴①樹丈

リョウブは山林に自生する落葉樹で、生育環境がよければ樹高が10mに達することもあります。平均樹高は5m~8mです。庭木として人気のリョウブですが、耐暑性・耐寒性があり、樹高の管理をしないと成長しすぎてしまいます。そのため庭木にする場合は、管理しやすい樹高をキープしましょう。

コンパクトに育てるなら鉢植えがおすすめ

庭木として人気があるリョウブは、こまめに管理をしないとすぐに大きくなってしまいます。庭木のリョウブを手入れがしやすい樹高でキープしたいなら、地植えではなく鉢植えがおすすめです。またリョウブは挿し木で簡単に増やせるため、小さめの鉢に挿し木すれば室内でも栽培できます。

特徴②幹

リョウブは樹高が10mになることもある高木ですが、樹皮の内部が非常に硬く幹も太いため木材としても人気があります。古木は、木肌を生かした床柱などに使われます。リョウブの樹皮は自然に剥がれ落ちますが、古木になるほど剥がれる樹皮が薄くなり、木肌も美しいです。

特徴③葉

リョウブの葉は、枝の先端に集まって生えます。葉の大きさは平均10cm前後で、ふちはのこぎり歯のようにとがっています。リョウブの葉は美味しい山菜としても有名ですが、食用にできるのは若葉だけで、大きく成長した葉は食用にはなりません。

紅葉が美しい

落葉樹のリョウブは、秋になると葉が鮮やかな赤い色に紅葉します。紅葉の季節のリョウブは、透明感のある白い花とみずみずしい緑の葉が見どころの夏とは違う趣きがあります。葉は紅葉が終わるとすべて落ちますが、若芽がでる頃には季節が冬~春へと移り変わるため「四季を感じる庭木」として観賞するのがおすすめです。

特徴④花

耐暑性も強いリョウブは、気温が高い7月~9月に花の季節を迎えます。リョウブの花は、枝の先に10cm~20cmの総状花序(そうじょうかじょ)をつけます。1輪の大きさはとても小さいですが無数に花がつくため、満開の季節になると大きな花穂が枝の先端にぶらさがっているように見えます。

特徴的な花の形が名前の由来という説も

リョウブの花は、1本のめしべを中心に10本のおしべが大きく外側に広がります。そのため「竜の尾のように見える花→竜尾→リョウブ」になったという説があります。一般的な名前の由来は「令法(法律)→リョウブ」ですが、花の咲き方が珍しいため「竜尾→リョウブ」を有力とする説もあります。

特徴⑤実

リョウブは、直径3mm~4mmの小さな丸い実をたくさんつけるのが特徴です。実の色は熟すと褐色になり、実の中に1粒の種子を含みます。リョウブの実を人間が食べることはありませんが、冬眠前の野鳥たちにとってリョウブの実は貴重な食糧です。

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リョウブの利用法

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