イチジクの特徴と種類
イチジクという果実ですが、庭木としてよく植えられていました。おやつとしてそのまま食すほか、チーズなどと共にサンドイッチの具にしても美味しい果実です。完熟させると非常に甘くねっとりとした食感が特徴的といえます。そんなイチジクは育て方も簡単なので、今回は、イチジクの増やし方を中心にご紹介します。
イチジクの特徴
イチジクは漢字で表わすと「無花果」と書きます。読んで字のごとくイチジクは隠頭花序(いんとうかじょ)といって花の部分は果実の内部に隠れていて、実を二つに割った時小さな粒々がありますが、これら一つ一つが花になります。
イチジクの種類
イチジクの品種にはカプリ系・スミルナ系・サンペドロ系、それに普通系があります。サンペドロ系の品種には果実が300グラムと大きく育つものや豊産性という果実が沢山なるもの、そして甘味が非常に強いものなどが揃っています。
日本で栽培できる品種
日本で栽培できる品種はサンペドロ系(夏果・夏秋兼用種)と普通系(秋果)の2種類です。
普通系のおもな品種
- 蓬莱柿
- 桝井ドーフィン
- とよみつひめ
- ホワイトゼノア
- ヨルダン
- ロイヤルビンヤード
- コナドリア
- バローネ
- ビオレドーフィン
- キング
イチジクの増やし方(概要)
イチジクの増やし方としては、挿し木と接木という2つの方法があります。イチジクは強い植物なので、どちらの増やし方でも用土や気候など条件さえ整えてやれば発根する成功率は高いです。なお、タネを植えて芽を出させる栽培方法は取れません。なぜなら、日本のイチジクは品種改良され受粉せずに結実しますが、外国産の種を入手しても「イチジクコバチ」という受粉に必要な虫が生息していないため、結実しないからです。
イチジクの増やし方①(挿し木)
増やし方の方法として挿し木を選んだ場合、剪定したイチジクの枝を利用できます。その枝を鉢植えに用土を使って挿すか、庭の土に直接挿しても大丈夫です。
挿し木の準備
挿し木の時期
剪定に適した時期は12月から2月です。挿し木に適している時期は2月から3月ですので、秋果など早く切った枝は保管しておく必要があります。
挿し穂の保管方法
挿し木に使う枝は昨年伸びた元気な部分を、25センチくらいの長さで切ります。この時、切り口からポタポタと流れ出る白い液体は、できるだけ流します。その後の保管の仕方は水で濡らした新聞紙に包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で時期が来るまで保管しておきましょう。植えるときも、上下を間違えないように注意します。
挿し木のやり方(2種)
イチジクの挿し方には「垂直挿し」と「斜め挿し」があります。「垂直挿し」は挿し穂を用土に直角に挿し、「斜め挿し」は枝を寝かせるように挿す方法を示します。垂直挿しは発根する部分以外の芽は枝として育てられ、果樹は小さくても実の生る枝を沢山持てます。一方で、斜め挿しは細い枝でも丈夫そうな1つの芽を選び、1本仕立てとして栽培できます。
挿し木に使う用土
イチジクの挿し木に使う用土は、赤玉の中粒と小粒を用意します。植木鉢の底に中粒を3分の1ほど入れてつぎに小粒の赤玉で鉢植え8割分を満たし、挿し穂は枝の3分の2が用土に埋まるように挿しましょう。もしも霜が降りる心配があるなら植木鉢全体をビニールなどで覆います。
挿し木の仕方
挿し木の枝は上部の芽から2センチくらいの場所で水平に枝を切り、土に挿す部分は下部の芽から1センチ下で斜めに切るかまたは2センチくらいで水平に切り落とします。斜めに切る理由は、切断面積が広いと発根が促されるためです。
直に挿す場合
植木鉢を使わずに地面に直接挿し木をする場合、忘れて踏み荒らさないように杭などを立てます。また、現在あるイチジクの近くに挿し木をすると「いや地」といってネマトーダ寄生によって発根しないことがあるので、注意して見守りましょう。
挿し木の管理
イチジクは強い植物ですが、管理は半日陰で行ないます。挿し木の状態は乾燥させると弱わるため挿し木は日陰で管理し、用土が乾かないように水やりにも注意しましょう。枝の上部の切り口には病気予防のために、薬剤や墨汁を塗っておくと安心です。
挿し木の芽が伸びてきたとき
挿し木をしたイチジクの枝から葉が大きくなってきても、植え替えはまだ我慢しましょう。なぜなら、まだ発根していないためです。この状態で触ると出始めた根を傷めて仕舞う可能性があるので、植え替えせずにそっとしておきます。葉が出ているので水の蒸発が多くなるため、水遣りはさらに注意する必要があります。
イチジクの増やし方②(接木)
イチジクを接木するには、切り継ぎという栽培方法があります。必要となるものは接木テープと癒合剤です。接木テープは接ぐ木と台木をくっ付けておく包帯のような役目で、切り口に雨水や雑菌が入らないよう保護します。癒合剤は台木と補木の切り口に塗る薬で、傷口を早く塞ぎ互いに着き易くします。
接木の時期
イチジクの接木に適している時期は、3月から4月と7月から8月です。接木は挿し木に比べると相性の問題もあるため、接木の仕方によって成功率が多少低くなります。接木をした枝の台木部分に芽ができたら取り除き、穂木に栄養が届くようにしましょう。
接木の枝の切り方
イチジクの枝はよく切れる刃物で斜めに切り取り(三角の楔形)、台木も同じ形に切り取ります。接木の仕方は互いに切り口を密着させて、接木テープをしっかりと水などが入り込まないように巻きつけます。固定できたら動かないことを確認の上で、台木と補木の切り口が乾燥しないようにさらに上からビニールなどで覆いましょう。
台木の選び方
イチジクを接木する場合、土台にする台木には市販されている専用のイチジクの品種を購入します。もしも家に樹勢の強い桝井ドーフィン種があればこの枝の一本を台木として利用し、1本のイチジクから違う品種の接木をする育て方も可能です。
イチジクの接木の仕方
イチジクの接木の仕方には三角接ぎや剝ぎ接ぎ、芽接ぎという3つの方法があります。初心者でも比較的成功する確立が高いのは三角接ぎという方法です。この接木の仕方は台木と穂木の接する部分を細長い三角形に切り、お互いに触れ合う部分を広くして、癒着する成功率をあげます。
出典:写真AC