ゼラニウムの増やし方【挿し木】
ゼラニウムの挿し木には、成長点の茎を使う「天芽挿し」、葉を挿す「葉挿し」、茎部分を使う「管(くだ)挿し」の3つのやり方があります。挿し穂の作り方は異なりますが、用土や植え方、管理方法はそれぞれ同じです。中でも失敗しにくく簡単でおすすめなのは、「天芽挿し」です。初心者の方はまずは天芽挿しにチャレンジしてみましょう。
ボタニ子
①挿し穂をカットする
天芽挿しの場合
その年に成長した緑色の部分の枝を使います。頂芽がついている箇所を選んで、10cm~15cmほどの長さにカットしてください。土に挿す部分に「節」がくるように、切り取る場所を調整しましょう。葉は上部に2~3枚残して全て切り落とし、花が咲いていれば取り除きます。
管挿しの場合
管挿しするときも、その年に伸びた緑色部分の枝を使います。天芽挿しのときと同じく10cm~15cmほどの長さでカットしましょう。土に挿す部分に「節」がくる位置で切ってください。頂芽も含めて全ての葉や花をカットし、茎のみの状態にしましょう。
葉挿しの場合
枝ではなく、その年に生えた葉を使います。葉が「大きすぎる」「小さすぎる」「黄色に変色している」と根が出ないなどの失敗を引き起こすことがあるので、適度な大きさで鮮やかな緑色のものを選びましょう。茎が短すぎると葉が土につきやすく病害虫の被害にあうケースが考えられるため、5cm以上の長さを残し、切り口は広く斜めに切ってください。
葉挿しに使う挿し穂を斜めにカットするのはなぜですか?
葉挿しの場合、挿し穂の切り口から根が生えてきます。切り口を広く斜めにカットしておくことで、養分を吸収しやすく発根促進につながります。ゼラニウムの挿し木の中でも特に葉挿しは難しいといわれており、失敗を防ぐためにも「切り口を斜めに切る」というひと手間を加えるのがおすすめです。
②挿し穂を乾燥させる
ゼラニウムの挿し穂作りの中でも大事なポイントが「挿し穂の切り口を乾燥させる」ことです。やり方は簡単で、日陰にザルや新聞紙などを置き、その上で半日~2日ほど乾かすだけです。挿し穂を乾燥させるのは「天芽挿し」と「管挿し」のみという点だけ注意してください。葉挿しの場合には必要のない作業のため、この工程は飛ばして大丈夫です。
ボタ爺
切り口を乾燥させる日数はその都度調整するんじゃよ。じめじめした時期は長めに、空気が乾燥しているときは短めにするといいぞ!
葉挿しの挿し穂を乾燥させてはいけない理由
葉挿しの挿し穂の切り口を乾燥させてはいけないのは、発根部位に理由があります。葉挿しの発根部位は「切り口」です。ここで注意すべきなのは「乾燥させた部分からは根が出ない」ということです。葉挿しに使う挿し穂には切り口以外に根が出る部分がないため、乾燥させてしまうと根がでません。
ボタ爺
天芽挿しや管挿しは茎の切り口ではなく節部分が発根部分なんじゃ。つまり切り口を乾燥させても節から発根するから問題ないんじゃな。
③用土の準備
育苗ポットを使う場合は、直接用土を入れて上から水をたっぷりかけて完了です。植木鉢やプランターを使う場合は、鉢底ネットと鉢底石を敷き、その上から用土を入れてください。ウォータースペースが2~3cmほど確保できる量を目安にしましょう。土を入れたら、鉢底から水が出てくるほどたっぷりと水を与えて湿らせておきます。
④挿し穂を植える
用土を用意したら、割りばしや指を使って挿し穂を植え付けたい場所に穴を開けましょう。天芽挿しや管挿しの場合は「節が土に埋まる程度」、葉挿しなら「挿し穂がぐらつかない程度」を目安に深さを調整してください。穴を開けたら準備した挿し穂を植えていきます。いずれもあまり深く挿し過ぎると、根が出ない、腐る、枯れるなどの原因になるため注意しましょう。
ボタ爺
挿し穂を使って土に穴を開けると、傷ができて菌が入り込むことがあるんじゃ。失敗しないためにも、前もって穴は開けておくんじゃよ!
植木鉢に対する挿し穂の数
育苗ポットを使う場合は、ひとつのポットに挿し穂を1本植えましょう。植木鉢やプランターであれば、数本まとめて植え付けられます。発根だけが目的でいずれ鉢上げする予定なら、10cm~15cmほどあれば十分です。挿し木後そのままの場所で育てたい場合は、5~6号鉢に1本、65cmプランターに2~3本を目安にしてください。
ボタニ子
たくさんの挿し穂をひとつの容器に植えちゃうと、根が絡まってうまく育たないことがあるよ。気をつけてね!
ボタ爺
植木鉢やプランターでたくさん挿し木したいなら、容器の縁に沿って植えるといいぞ!根が絡まりにくくなって失敗が減るんじゃ!
⑤管理
ゼラニウムは多湿を嫌い乾燥を好む植物のため、挿し木後は水を与え過ぎないように注意が必要です。風通しのよい日陰に置いて、土が適度に湿った状態が保てるように観察しながら水やりしてください。うまくいけば2週間~3週間ほどで発根し、1カ月~1.5カ月で根が定着します。鉢上げする場合は、根が定着して以降にしましょう。
ボタニ子
水を与え過ぎると、土中部分が腐ったり根腐れしたり失敗につながるよ!やり方に気をつけてね!
ゼラニウムの増やし方【失敗しないコツ】
①挿し穂を乾燥させる
ゼラニウムの挿し木で多い「根が出ない」という失敗の原因のひとつは、「挿し穂の切り口を乾燥させていない」ことです。ゼラニウムはもともと水分が多く、さらに多湿状態を苦手とするため、水揚げしたりそのまま植えたりすると、腐りやすくなりうまく発根しません。また、乾燥させることで切り口からの雑菌や細菌の侵入を防ぎ、挿し木の成功率がアップします。
②元肥は与えない
養分が多いと土中に雑菌が繁殖しやすくなるため、挿し木時には元肥を与える必要はありません。菌が増殖すると発根部分や切り口から菌が入り込みやすくなり、「根が出ない」「根腐れする」「うまく成長しない」などの不調を引き起こします。挿し木時は清潔な土を使うのはもちろん、肥料が含まれていない土を選び、元肥は施さないでください。
③時期を選ぶ
挿し木は一年を通していつでもできるわけではありません。いつが適期かというと、株に負担がかからない春~初夏と秋です。暖かく成長しやすい時期に挿し木をすることで、発根しやすく効率よく成長を促せます。ゼラニウムの挿し木は真夏や真冬にも可能ですが、猛暑や寒さには弱い植物のため「根が出ない」「枯れる」など失敗につながることから避けたほうが安心です。
ボタ爺
ゼラニウムの挿し木は、具体的にいつが適した時期なんじゃろうか?
ボタニ子
ゼラニウムの発芽適温は20℃~25℃なの。具体的にいつ挿し木をすればいいかっていうと、暖かくなる5月~6月と暑さが和らぐ9月頃だよ!
ゼラニウムを増やして楽しもう!
ゼラニウムの挿し木は難しくなく、苗がひとつ手に入れば簡単にたくさん増やせます。「いつが挿し木の適期なのか」「挿し穂はどう作るのか」「土は何を使うのか」など基本情報を抑えておけば、「根が出ない」などの大きな失敗はあまり起こりません。お気に入りのゼラニウムが見つかったら挿し木で増やして、ぜひ庭やベランダを華やかに飾ってみてくださいね。
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天芽挿しがおすすめだけど、剪定時に葉や茎がたくさん余ったら、管挿しや葉挿しも一緒にやってみると楽しいよ!