キウイは剪定で実付きが変わる!
キウイは病気や害虫が発生しにくく、家庭でも比較的育てやすい果物として知られています。ただしつる性植物で枝がよく伸び乱れやすいこともあり、よい果実を育てたり実付きをよくしたりするためには剪定作業が重要です。キウイの剪定にはいくつかやり方があり、もちろんそれぞれきちんと意味があります。意味とやり方をセットで覚えて、おいしいキウイを収穫しましょう。
ボタニ子
結実には雌株と雄株が必要
キウイ栽培で注意しなくてはいけないのが、キウイは「雌雄異株(しゆういしゅ)」であるということです。雌雄異株とは雌花と雄花を別々の株につける植物のことで、結実には雌株と雄株の2種類が必要であることを覚えておきましょう。どんなに丁寧に育てても、雌花と雄花が受粉を済ませないと実はなりません。
キウイの剪定時期
キウイは丈夫な植物で、基本的には強い剪定にも耐えられます。ただし、剪定時期を間違えるとさまざまなトラブルを引き起こすこともあり注意が必要です。キウイの剪定時期は基本的には「冬」ですが、「夏」の剪定も大切な意味を持っています。キウイの成長を促し実付きをよくするためにも、適切な剪定時期を把握しておきましょう。
ボタニ子
キウイの剪定のコツは「時期」といってもいいほど、剪定時期を守るのことが大切なんだって!
冬の剪定時期
冬の剪定の目的は主に樹形を整えスッキリさせることです。12月~3月が冬の剪定時期にあたりますが、中でも落葉して休眠期に入っている1月~2月をめどに済ませましょう。休眠期は木が活動せず体力を温存している時期であり、強めに剪定してもダメージが少なくて済むからです。この時期にするのは「間引き剪定」と「切り戻し」です。
ボタ爺
冬枝の剪定はなかなか大仕事なんじゃ。じゃが、切り落とした枝に巻き付いている「つる」はリースなんかにも使えるぞ!ファイトじゃ!
夏の剪定時期
夏の剪定時期は成長が盛んである春が過ぎた5月~7月頃です。この時期に行うのは「摘心」「芽かき」「間引き」「摘果」です。夏の剪定の目的は秋の収穫時期に向けて果実に栄養が効率よく届くようにすることにあり、枝数を大幅に減らすような剪定はしません。「摘果」は実が付き始めたタイミングで始めます。品種にもよりますが、基本的には6月~7月頃が摘果の適期です。
ボタニ子
夏に剪定をしないと徒長枝が伸びちゃうよ!冬は冬枝だけでも剪定が大変になるから、面倒でも夏もしっかり剪定したほうがよいかも!
剪定時期を間違えると
実付きが悪くなる
夏に切り戻しなどの強い剪定をしてしまうと、キウイは枝を伸ばそうとして枝にばかり栄養を送り実付きが悪くなることがあります。実がついたとしても小ぶりなものや変形したものなどが多くなりやすいため夏の強剪定は避けてください。また、花芽が付く頃に剪定を繰り返すと花が咲かず実がつかなくなる危険性が高まるので気をつけましょう。
樹液があふれ出す
キウイは3月頃から成長期を迎え、養分をたっぷり含んだ樹液を枝先まで届けるようになります。この時期に剪定をすると切り口から樹液があふれ出す可能性が高く、大量に流れ出ると木が弱るだけでなく最悪の場合枯れる場合があり注意が必要です。また、あちこちから樹液が流れ出ていると見栄えが悪くなる上に「虫が集まる」「病気になる」などトラブルを引き起こすので気をつけましょう。
ボタ爺
キウイは早いと緑色系と黄色系は5月、赤色系は4月に開花時期を迎えるぞ。その前には花芽がつくわけじゃから、剪定時期は考えるんじゃぞ!
成長が悪くなる
7月頃になるとキウイは花や実をつけることに体力を消耗しており、この時期に強い剪定をすると木が弱り成長が悪くなる場合があります。また養分を作り出したり体力を温存したりするためには光合成が必要であり、葉が茂っていても極端に減らすと成長が鈍くなる場合があるので気をつけましょう。
キウイの剪定のやり方【図解で解説】
キウイの剪定には「摘心」「芽かき」「摘果」「間引き」「切り戻し」があります。一つひとつのやり方は難しくなく手順や作業は比較的簡単です。枝が硬く鋭い箇所もあるので、枝も切れるタイプの剪定ばさみと軍手を用意しましょう。棚仕立てにしている方は脚立があると作業がしやすいです。
ボタニ子
剪定のコツは「切る場所を見極めること」だよ!5つの剪定のやり方をさっそく図解で見て行こう!
①摘心
摘心とは十分に伸びた枝先を切り落とすことで、先端を切ることによってその枝の成長を止めて脇の枝の伸びをよくするのが目的です。基本的には去年伸びた枝を切り落とすだけで十分ですが、その枝から今年実をつけた枝が伸びている場合は残すような位置でカットしましょう(図解でいうと赤の×印)。
②芽かき
手順①小さな芽を摘み取る
芽かきは不要な芽を取り除いて育てたい芽に栄養を集中させ成長を促すための大切な作業です。キウイの蕾・花芽は葉の付け根部分に2~3個つきます。まずは、ひとつの葉に対して芽を1つ残して残りを摘み取りましょう(図解でいうと赤の×印)。手で軽くひねるとぽろっと取れます。残す芽は大きくてぷっくりと膨らんでいるものを選んでください。
手順②さらに芽の数を減らす
さらに実の成長を促すために、ひとつの枝についている芽の数を減らします(図解でいうと青の線)。残す芽の数は枝の長さや成長具合にもよりますが、5つの芽がついているのなら3つを残すようなイメージで調整してください。手でも簡単に摘み取れますが、硬いようであればハサミやカッターを使いましょう。
③摘果
摘果とは果実が未成熟の段階で不必要な実を切り落とすことをいいます。キウイは実付きがよいですが実りすぎると栄養が全体に行き渡らくなり、小ぶりな果実ばかりができてしまうため摘果作業が大切です。変形しているもの、横に長いもの、明らかに小さく成長が見込めないもの、つぶれているものなどを摘み取っていきましょう。
④間引き
間引き剪定とは、日当たりをよくしたり栄養を行き渡らせたりするために行う剪定作業のことです。特にキウイは枝が伸びやすく暴れやすい植物なこともあり、間引き剪定は成長促進のためにとても大切です。根元近くにある主幹から出た枝、大きくはみ出る枝、ほかの枝と重なる枝、下向きや上向きに暴れる枝などをばっさりと切り落としましょう(図解でいうと赤の×印)。
ボタニ子
キウイの枝は横に均等に広がるのが理想だよ!伸びる姿を想像しながら間引き剪定してみよう!
⑤切り戻し
キウイの枝は夏の間にとてもよく伸びるので、樹形を整え実付きをよくするためにも伸びすぎた枝を切る「切り戻し」をします。切り戻しには何パターンかやり方がありますが代表的なのは次の2つです。
去年実が付いた枝を残す場合
去年実がついた箇所から主枝の間には翌年実をつけることはありません。枝先にばかり実がつくとバランスも悪くなるので、枝先に芽が3~5つ程度残る箇所でばっさりと切り落としましょう(図解でいうと左側の赤の×印)。栄養を実に集中させるためにも、主枝から細く伸びた側枝があれば切り落としてください。
数年かけて伸びた枝が長すぎる場合
キウイは去年実がついた枝から主枝にかけては実をつけず、枝の先に先にと実をつけていく性質を持っています。数年であれば特に問題はありませんがバランスも実付きも悪くなってくるので、4~5年が経過する頃には短く切り戻すことをおすすめします。枝をよく観察し、数年かけて伸びた枝から新たに伸びてきている側枝を1つ残した位置で切り落としましょう(図解でいうと赤の×印)。
剪定と同時に誘引したほうがよいですか?
キウイは枝が暴れやすく枝が多い状態では誘引がしにくいこともあり、剪定のタイミングで一緒に済ませると手間がかからずやりやすいです。棚仕立てがおすすめですが、コンパクトに育てたいのならトマトのようにあんどん仕立てにしても構いません。つる性なのでフェンス仕立てにしてもおしゃれにまとまります。
上手に剪定してキウイをたくさん収穫しよう!
キウイは剪定をきちんとすることで実付きがグンとよくなる植物です。剪定に難しい作業はありませんが、切る場所や手順などコツを押さえておくと失敗しにくいです。冬と夏にしっかりと剪定して、収穫量アップを目指しましょう。
ちなみにキウイの旬は10月~11月で、12月頃まで盛んに出回るんだって!