アデニウムとは
「砂漠のバラ」と呼ばれるアデニウムは、太くて複雑な塊根部を持ち、濃いピンク色の花を咲かせる塊根植物です。現在では品種改良によって、さまざまな色や形の花が作出され、コレクション性があり人気があります。また、盆栽の素材としても利用され、多肉植物ファンから盆栽ファンまで幅広く栽培されています。まずはそんなアデニウムの特徴をご紹介をしていきましょう。
アデニウムの基本情報
科名 | キョクチトウ科 |
属名 | アデニウム属 |
流通名 | アデニウム、アデニューム |
別名 | 砂漠のバラ |
原産地 | アラビア半島~アフリカ大陸 |
耐暑性 | 強い |
耐寒性 | 弱い |
生育期 | 春~秋 |
砂漠のバラの由来
アデニウムは、乾燥した砂漠地帯に自生しています。雨が非常に少ない地域ですが、太くて独特な形状の塊根分に多くの水分を蓄えています。そんな過酷な環境にもかかわらず、バラのような鮮やかな花を咲かせることから、「砂漠のバラ」と呼ばれるようになりました。
アデニウムの種類
アデニウムは15種類ほどが知られていますが、一般的に流通している種類はそれほどありません。最近では、タイを中心に品種改良が盛んで、新しい種類が次々と作出されています。今回は、代表的なオベスムやアラビカムなど、4つの種類の特徴を紹介していきます。どの種類も流通時は、「アデニューム」と呼ばれることもあります。
アデニウム・オベスム
一番ポピュラーな種類で、アラビア半島からアフリカまで幅広く分布しています。光沢のある濃い緑の葉っぱと、赤茶色の表皮が特徴です。アデニウムの中では栽培が簡単で、流通量も多く、単に「砂漠のバラ」と言うと本種のことを指すことが多いです。価格も安く、入門種としてオベスムをおすすめします。
アデニウム・アラビカム
アラビカムの名前の通り、アラビア半島周辺が原産地です。研究者によってはアラビカムとオベスムは亜種同士とすることもあり、オベスム同様、栽培が簡単で入門種の一つです。薄緑色の表皮が特徴で、オベスムに比べて幹が太くなり、どっしりとした印象を受けます。春に、ピンクに縁どられた花を咲かせます。
アデニウム・ソマレンセ
アラビカムが「アラビア半島産」を意味するのに対して、ソマレンセは「ソマリア産」を意味しています。太く育った塊根部から細長い主幹を何本も伸ばすのが特徴です。葉っぱもオベスムやアラビカムに比べると細くてスマートな形をし、葉脈がはっきりとしています。春になると濃いピンクの花を咲かせます。
ソコトラナム
中東の国、イエメンのソコトラ島のみで見られる種類です。現地で厳重に保護されているため、流通する量は非常に少なくマニア垂涎の品種となっています。若い個体はオベスムに非常に似ていますが、成長すると、とても太く成長し、現地では樹齢数百年の4mを超す個体が確認されています。高額ですが、いつかはチャレンジしてみたい品種です。
アデニウムの育て方
塊根植物と聞くと、育てるのが難しい印象を受ける方も多いかもしれません。しかし、基本的なことを守って育てれば、それほど難しくはなく、誰でも育てることができます。特に、オベスムやアラビカムは丈夫で流通量も多く、初心者の方でも育てられますので、まずはその2種類から始めるのがおすすめです。ここでは、育て方のポイントをご紹介していきます。
アデニウムの育て方①用土
アデニウムは適度に水はけのよい用土を好みます。初心者の方におすすめなのは、市販の草花用土やサボテン用土に赤玉土を配合して使用することです。草花用土は水持ちがよいため、同量の赤玉土を配合することで水はけがよくなります。反対にサボテン用土は水はけがよすぎますが、赤玉土を配合することで、水持ちがよくなります。
自分で配合する場合
市販の用土は予め配合されているため、手軽な反面、排水性や保水性を微調整しづらいデメリットがあります。しかし、自分で配合すれば、ご自身の栽培環境や栽培スタイルに合わせた配合をすることができます。その場合は、赤玉土:鹿沼土:軽石:ゼオライトを4:4:1:1で配合したものをベースにそれぞれ微調整するといいでしょう。
アデニウムの育て方②植え替え
アデニウムを購入したらお気に入りの鉢にすぐ植え替えをしたくなるかもしれませんが、まずはそのままご自宅の環境に慣らすようにしましょう。環境が変わるだけでもアデニウムに負荷がかかりますが、さらに植え替えをするとより大きな負荷となります。最低限1か月、可能であれば、次の休眠明けまではそのまま育ててましょう。
鉢の大きさ
植え替えをする場合、植え替えをするアデニウムの一回り大きいサイズの鉢を用意しましょう。アデニウムは成長が遅いため、一気に大きな鉢を用意する必要はありません。むしろ、大きすぎる鉢は、鉢内に水分が多くなりすぎて、多湿な環境となり、アデニウムを弱らせる原因となるため注意しましょう。
植え替えの方法
まず、鉢から丁寧にアデニウムを抜き出し、根をほぐして、傷んだり変色した根は切り取ります。そして、鉢の深さに合わせて根を切り詰めましょう。鉢に鉢底石を入れ、半分程度用土を入れ、アデニウムを仮置きします。位置を決めたら周りに少しずつ用土を足し、鉢の側面をたたいて中の用土をならして完成です。
出典:写真AC