ヒスイカズラの育て方⑦苗の販売と価格相場
ヒスイカズラにはいろいろと珍しい特徴がある植物なので、実際に自宅で育ててみたいという人も多く、園芸店やインターネットでも苗や種子が販売されています。ただし販売先や販売方法によって価格は異なります。
普通の花屋では販売していない
ヒスイカズラは藤の花のように花が房状になってぶら下がるのが特徴なので、街の花屋で販売されていることはまずありません。そもそもヒスイカズラは高温多湿を好む植物なので、花屋の店頭に並べる植物としては不向きです。また開花期間がとても短いので、一般的な花屋でヒスイカズラの花を販売することはまずないでしょう。
店頭販売の価格相場は?
ヒスイカズラの店頭販売価格は、苗の大きさによって変わります。ある程度高さがある方が初心者でも安心して育てられるのですが、販売価格が5000円以上のものが多く、中には店頭販売価格が10000円を超えるものもあります。なお小さな苗の場合、店頭での販売価格相場が1000円~2000円なので、費用を抑えて栽培したい人に人気です。
ネットでの販売価格の相場は?
ネットでの販売価格は、店頭販売の価格相場よりも安い傾向があります。ただし送料が別途かかりますし、配達の途中で葉が数枚落ちてしまうこともよくあります。それでも全国各地の産地から苗を選ぶことができるので、価格を抑えつつ探す手間を省きたい人におすすめです。
ヒスイカズラを上手に育てるコツ
ヒスイカズラの上手な育て方のコツがあります。ここでは、初心者でもすぐに試すことができる育て方のコツをまとめました。
乾燥対策は土の状態を見て判断
日本で原産地と同じ環境を作り出すことはとても難しいですし、乾燥対策をするにしても、乾燥具合の目安を判断するのが難しいです。そのため育て方のNG例としてよくいわれるのが、「乾燥対策で水やりをし過ぎたために根腐れしてしまった」というケースです。水やりをし過ぎてしまうと土の中が水分で飽和状態になるため、根がうまく呼吸できなくなり、枯れてしまいます。ですから乾燥対策をする際には、土の状態をよく見て行うことがポイントです。
植え付け前の用土に元肥を入れるのがコツ
ヒスイカズラの用土は、植え付け前にしっかりと栄養を含ませておくことがポイントです。一般的な植物では植え付けの際に元肥を入れる方法がポピュラーですが、根が傷つくとすぐに枯れてしまうヒスイカズラは、元肥が原因で根を傷つけてしまうことがあります。それを避けるためにもヒスイカズラの用土は、植え付け前の段階で元肥を混ぜて土づくりをすることがポイントです。
種子を採取したいなら人工授粉にチャレンジ
ヒスイカズラの種子をとるには、実を育てなければいけません。受粉に成功したヒスイカズラはこぶし大ほどの大きな実をつけ、その中に種子ができます。日本では自然受粉はできませんが、人工授粉をすれば種子を採取することも可能です。ただし人工授粉は必ずしも成功するとは限りません。それでも成功すれば1つの実から4~5個の種子が採れるので、種子を採取したいのであれば人工授粉にチャレンジしてみるのもよいでしょう。
ヒスイカズラが見られるおすすめの植物園
ヒスイカズラは、日本全国の植物園で栽培されています。ただし温度管理がとても難しいので、植物園の中でもヒスイカズラを栽培している施設は限られています。
東京都内でヒスイカズラが見られる植物園
都内でヒスイカズラを栽培しているのは、「夢の島熱帯植物園」「都立神代植物公園」「板橋区立熱帯環境博物館」です。比較的早い時期に開花時期を迎えるため、例年どの植物園も3月中旬~3月下旬が開花のピークです。
千葉県でヒスイカズラが見られる植物園
千葉県の植物園では、「三洋メディアフラワーミュージアム 千葉市花の美術館」で見ることができます。巨大な温室の中では、ヒスイカズラをはじめとする様々な熱帯・亜熱帯植物が栽培されています。
茨城県でヒスイカズラが見られる植物園
茨城県の植物園では、「茨城県植物園」「筑波実験植物園」でヒスイカズラを見ることができます。茨城県植物園では熱帯植物館でヒスイカズラを見ることができますが、園内には全国でも珍しい「きのこ博士館」があるので、熱帯植物館とセットで見学するのがおすすめです。
神奈川県でヒスイカズラが見られる植物園
神奈川県の植物園では、「神奈川県立相模原公園グリーンハウス」「小田原フラワーガーデン」でヒスイカズラを見ることができます。なお小田原フラワーガーデンは、ヒスイカズラが見られるトロピカルドーム温室のみ有料(その他施設は駐車場も含めてすべて無料)なので料金に注意してください。
その他の地域でヒスイカズラが見られる植物園
その他の地域では、「新潟県立植物園(新潟県)」「熱川バナナワニ園(静岡県)」「咲くやこの花館(大阪府)」「兵庫県立淡路夢舞台温室・奇跡の星の植物館(兵庫県)」「宇治市植物公園(京都府)」「ときわミュージアム世界を旅する植物館(山口県)」で見ることができます。
日本では沖縄のヒスイカズラが有名
沖縄はヒスイカズラの原産地であるフィリピンの気候によく似ているため、個人でもヒスイカズラを育てている人が多いです。また沖縄の植物館では毎年見事なヒスイカズラの花が見られるため、この期間に併せてイベントも行われています。
沖縄では自宅の庭で育てる人もいる
ヒスイカズラが好む高温多湿の環境を人工的に作り出すことは難しいため、国内では露地栽培のヒスイカズラを見ることがほとんどありません。でも沖縄の自然はほぼ原産地の環境と同じなので、露地栽培でヒスイカズラを育てている人もいます。しかも土は水はけがよく、一年を通して気温の差もあまりないため、自宅の庭でヒスイカズラを育てている人もいます。
沖縄海洋博公園熱帯ドリームセンターのヒスイカズラがすごい
沖縄海洋博熱帯ドリームセンターは、沖縄の人気スポットでもある「沖縄美ら海水族館」が同じ公園内にあるので、人気スポットとヒスイカズラを一緒に楽しむことができます。なお沖縄海洋博公園熱帯ドリームセンターには3つの温室があり、そのうちの1つであるラン温室には常時2000株以上のランが展示されているため、県内のラン愛好者の間では有名な植物園です。
沖縄の東南植物楽園でも見られる
東南植物楽園は、沖縄本島中部にある亜熱帯植物をメインにしたテーマパークです。たくさんのヒスイカズラの株が植えられているため、長い期間ヒスイカズラを楽しむことができます。早い時期に咲くヒスイカズラは2月中旬にはつぼみをつけ初め、3月には見頃を迎えます。なお施設内のヒスイカズラは随時つぼみをつけていくので、見頃のピークは3月~5月の約3か月間続きます。
終わりに
エメラルドグリーンの美しい花を咲かせるヒスイカズラは、一度目にすると忘れられないインパクトの強さがあります。日本で育てるには温度管理が難しいのですが、どんな土でも育つ強い生命力を持っているので、育て方のコツさえ分かれば初心者でも育てられる植物です。またヒスイカズラを栽培している植物園が全国各地にあるので、まだ花を見たことがない人はぜひ足を運んでその美しさを体験してください。