野牡丹(ノボタン)の育て方
ここからは、野牡丹の育て方を紹介します。花が少ない季節に咲く野牡丹は、ガーデニングでは貴重な植物です。一方で、野牡丹には丈夫な品種が多く、園芸植物の中では育てやすいとされていますが、実際は「つぼみが落ちる」「葉が枯れる」「花が咲かない」といった声がよく聞かれます。これら障害を防ぎ、健やかに育てられる管理方法やお手入れの仕方、育て方のポイントを紹介しましょう。
野牡丹の育て方:一年間の管理の基本スケジュール
主な管理・手入れ作業 | 管理・手入れ作業の適期 |
開花時期 | 7月~11月 |
植え付け・植え替え | 4月~6月 |
肥料(鉢植え) | 4月~10月 |
肥料(地植え) | 4月中旬~10月 |
切り戻し | 4月 |
剪定 | 4月~6月 |
上記の管理スケジュール表は、一年間の主な管理や手入れの作業と適期を大まかにまとめたものです。ただし、栽培環境やその年の気候条件などによって、各管理・手入れ作業に適した時期にはズレが生じます。あくまでも参考程度にとどめましょう。手入れ作業は水やりや病気・害虫対策などがありますし、季節ごとの管理方法も、室内栽培か戸外栽培かで内容が異なります。詳細は下記をご覧くださいね。
育て方のポイントその①:栽培環境
育て方のポイントとして真っ先にあげられるのは、野牡丹好みの環境を用意することです。日当たりや風通し、土の質など、野牡丹に合った環境を整えれば、後の管理もグンと楽になりますよ。
栽培環境①:光
日当たりのよい場所であることが絶対条件です。日当たりが悪いと、たちまち「花つきが悪い」「つぼみが落ちる」「花が咲かない」といった生育障害に見舞われます。室内栽培の場合も、窓辺など日当たりのよい場所を選びましょう。ただし乾燥が苦手なので、西日が当たる場所はNGです。夏の強い直射日光も葉焼けする恐れがあるので注意しましょう。
栽培環境②:風
野牡丹は枝が折れやすいので、強い風に当たりやすい場所は避けましょう。寒さに弱いので北風が当たる場所もNGです。また、植え付けた直後の枝は弱々しいので、特に地植えの場合は支柱を立てて補強することをおすすめします。
栽培環境③:土
水はけがよい弱酸性の土が理想
野牡丹が好むのは、水はけがよくて肥沃な弱酸性の土です。鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)4:鹿沼土3:腐葉土3、もしくは赤玉土(小粒)5:腐葉土3:ピートモス2の割合で作った土を用意しましょう。地植えの場合は、植穴を掘った土に腐葉土を2~3割ほど混ぜ込んでおけばOKです。
育て方のポイントその②:植え付け・植え替え
植え付け・植え替えに適した時期は4月~6月
野牡丹の植え付け・植え替えの適期は4月~6月です。生育旺盛な野牡丹は、すぐに根が伸びるので鉢植えする場合は、苗よりも1~2回り大きなサイズを用意しましょう。地植えの場合も、苗よりも1~2回り大きい植穴を掘っておきます。野牡丹は移植に弱いので、根鉢を崩さないようにして植え付けましょう。
鉢の植え替えの周期は?
野牡丹は根が張るのが早いので、鉢植えの植え替えは1年に1回のペースで行います。植え付けと同じ時期が適期です。元の鉢よりも1~2回り大きい鉢に新しい土を使って植え替えましょう。根の土を落とすと株に負担がかかるので、できるだけ根鉢を崩さないようにするのが望ましいです。ただし、元の鉢と同じ大きさの鉢に植え替える場合は、根と土を半分ほど落とし、枝葉を半分ほど剪定してから植え替えます。
枝葉を剪定して整理することで、根にかかる負担が軽くなります。
育て方のポイントその③:水やり
生育期は水切れに注意
野牡丹は非常に水あげがよい植物です。土が乾いたら水をたっぷりと与えましょう。特に生育期は水をどんどん吸収するので、株や土の様子をこまめに観察して、水切れしないように注意してくださいね。というのも、野牡丹のつぼみや葉が落ちる原因の1つが生育期の水切れなのです。最悪の場合枯れてしまうこともあります。特に鉢植えは水切れを起こしやすいので注意しましょう。
鉢植えの根詰まりも水切れの原因になるから、根の張り具合もチェックしておこうね。
野牡丹の場合、地植えでも生育期は水切れを起こすことがあります。乾燥する時期が続いたら、必ず水やりしましょうね。
冬場は水のやり過ぎに注意
一方、冬は水やりを控えめにします。寒い季節は生長が鈍るので、それほど水を必要としなくなるからです。鉢植えの場合は、土の表面が乾いてから数日経過したときに水やりしましょう。地植えの場合は、基本的に冬場は水やりしなくても大丈夫です。生育期のときを考えると、つい水切れを心配してしまうでしょうが、水のやり過ぎは根腐れを起こして枯れる原因になってしまうので注意しましょう。
育て方のポイントその④:肥料
生育期は肥料切れに注意
多花性品種が多い野牡丹は、肥料もよく消費します。特に生育期に肥料切れを起こすと「葉色が悪くなる」「つぼみがついても花が咲かない」といった障害が発生してしまいます。春から秋の季節は、月に1回のペースで緩効性化成肥料を与えましょう。根に触れないように株元の周囲に施すのがコツです。また、夏の季節は夏バテ防止として、週に1回薄めの液肥を施しましょう。
肥料の与え過ぎにも注意
ガーデニングの失敗例として、水や肥料を多く必要とするからと、逆に与え過ぎてしまうことがあげられます。野牡丹も水や肥料を多く必要とする植物ですが、だからといって与え過ぎると、今度は「根腐れで枯れてしまう」「枝葉ばかりが育って花が咲かない」などの生育障害が起こる可能性が高いです。この場合は、肥料の内容を見直したり、活力剤を併用したりすることで、肥料のやり過ぎをセーブしましょう。
出典:写真AC