真柏盆栽の育て方
ボタニ子
真柏盆栽は丈夫で形を作りやすく、初心者が育てるおすすめの樹種です。ミニ盆栽としても楽しめて、長く育てると、いつも傍らにいる物言わぬパートナーのように思えてきます。病気・害虫もほとんどありません。初心者でもできる1年間のお手入れの基本をご説明します。
基本の育て方
- 置き場 屋外、風通しが良く、2〜3時間は直射日光が当たる場所
- 用土 赤玉土
- 水やり 1日1回
- 肥料 固形肥料を年2回
- 病気・害虫対策 春から秋
- 植え替え 1〜2年に1回
剪定の基本
木のアウトラインを不等辺三角形にするように枝を剪定します。円錐形でソフトクリームのように伸びた枝先も切るようにします。アウトラインから出ている葉先は手で摘みとるようにします。ハサミで葉先全体を切ると水分が一気に抜けて樹勢が落ちるので、手で繰り返し摘みます。
真柏盆栽の置き場
ボタニ子
違う感じの葉が出てきました…。このトゲトゲの葉は病気でしょうか?
病気ではありません。日当たりが悪い枝は葉が杉の葉のようにトゲトゲになります。日が当たるようにするとトゲトゲの葉の先から元のような葉が伸びてきます。1週間に1度は鉢を回転させて、360度まんべんなく日に当てるようにしましょう。
真柏の落葉
真柏や松といった常緑樹も新陳代謝があります。真柏は4月〜5月ごろに古い枝元の葉が黄色くなって落葉します。かなりの量が落ちることがありますが、病気でも枯れ始めたわけでもないので慌てず、落ちた葉は取り去り、いつものお手入れを続けてください。
①春の手入れ
4月ごろに新芽が伸びできます。伸びた芽を剪定します。盆栽では円錐形の枝を出さないように剪定を繰り返します。水やりのときに水が入らなくなったり、土が盛り上がってきたら植え替えします。植え替えが必要になるのは1〜2年に1度です。植え替える時期は2〜4月です。5月の末に固形肥料を鉢の端に与えます。
②夏の手入れ
暑さにも強い真柏ですが、西日が強く当たるようでしたら、ヨシズや寒冷紗で日陰を作ります。水切れに注意して、夕方には葉に直接、水をかけて木の温度を下げるようにします。ハダニがつくことがあるので、週に1回、殺虫剤を散布します。春に置いた固形肥料が残っていれば取り去ります。
夏越しのポイント
真夏は植物も暑さに耐えて疲れ気味になります。この時期、剪定や植え替え、肥料を与えることは控えます。夏の間は1日に2回は水やりをしてください。2回目の水は土が乾いているのを確認して与えるようにします。直射日光が当たっている時は葉やけを防ぐため、葉に水がかからないように気をつけます。
③秋の手入れ
夏の間に徒長した枝や葉があれば、剪定をします。11月に固形肥料を鉢の端に与えます。
④冬の手入れ
真冬になると葉の先が茶色になりますが、病気でも枯れているわけでもありません。そのままにしておきましょう。春になるとまた緑の葉に戻ります。水やりは土の乾き具合を見て行います。秋に置いた固形肥料が残っていれば取り去ります。寒い地方では、土が凍らないように軒下に入れるか、夜間のみ、屋内に入れるようにします。
ボタニ子
ミニ盆栽から育てて、数年後には…!名木目指してお世話を続けるぞ!
真柏盆栽は変化を楽しめる!
小さなミニ盆栽の鉢で年を重ね、葉先の剪定を繰り返すと真柏の葉がだんだん小さくなり、枝先でぎゅっと詰まった印象になります。それが遠くから見るとブロッコリーのような印象に見えるのです。病気、害虫に強い真柏なら初心者でも手入れを続けて、その変化を楽しめるでしょう。
真柏が見られる場所
さいたま市大宮盆栽美術館
さいたま市北区盆栽町に世界で初めての作られた公立の盆栽美術館です。ここには樹齢何百年にもなる立派な真柏盆栽が展示されています。盆栽の展示だけではなく、盆栽の歴史や鑑賞の仕方など知ることができます。真柏だけでなく、松やそのほかの種類も季節にあわせて展示されています。
国営昭和記念公園
東京都立川市の国営昭和記念公園は、広い園内でさまざまな植物を見ることができます。園内にある国営盆栽展示施設には、(社)日本盆栽協会の協力で寄贈された五葉松やそのほか数多くの種類の名品が展示されています。真柏盆栽も伝統ある国風盆栽展クラスの名品を見ることができます。学習ゾーンでは初心者にもわかりやすく盆栽の鑑賞の仕方や作り方が解説されています。
ビャクシンの巨木
深山柏槇は公園や植木として身近に存在する植物です。しかし、真柏と検索しても盆栽しかでてきません。ビャクシンと検索すると日本各地に名木、ご神木として存在することがわかります。真柏盆栽を拡大したような姿は迫力があります。
市木のイブキ(ビャクシン)
三重県南牟婁郡にある市木のイブキ(ビャクシン)は根周り6.25m、樹齢推定約600年の巨木です。三重県の指定天然記念物に指定されています。枝先が円錐形になり動きが感じられ、樹勢があります。
建長寺の柏槇(ビャクシン)
神奈川県鎌倉市、臨済宗建長寺派の大本山建長寺境内の「柏槇の庭」にある柏槇。蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)が中国から持ってきた種子を建長寺創建の際にまいたといわれています。大きなもので胸高周囲6.5m、樹齢推定約760年です。
大瀬崎のビャクシン樹林
伊豆半島の大瀬崎はダイビングでも有名なところです。細い半島の先に引手力命神社があり、神社の敷地、幅が100m足らずのところに大瀬崎のビャクシン樹林があります。御神木の根周りは約7m、樹齢は推定700年です。大瀬崎のビャクシン樹林は国の天然記念物に指定されています。
ボタニ子
ジンやシャリのある自然木を見ていると、神様が作った盆栽なのでは?と思ってしまうほど神々しさを覚えます。
まとめ
真柏は盆栽であったり、公園の植木や御神木であったり、古くから私たち日本人にとても身近な植物です。機会があれば、盆栽園に出かけて真柏の名木を鑑賞したり、ミニ盆栽作りに挑戦したりしてみてくださいね。
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真柏盆栽はプロの盆栽家でないと育てるのが難しそうだなぁ。ミニ盆栽としても育てられるかな?