コマツヨイグサとは?
ボタニ子
浜辺でよく出会う植物です。
でも、咲くのは夕方から。
コマツヨイグサの基本情報
名称 | コマツヨイグサ(小待宵草) |
学名 | Oenothera laciniata |
英名 | Cutleaf eveveningprimerose |
分類 | アカバナ科 マツヨイグサ属 |
形態 | 越年草または二年草 |
原産地 | 北アメリカ |
草丈 | 50cm前後 |
花色 | 黄色 |
花期 | 4~11月 |
生息地 | 海岸、浜辺、河原、住宅地など |
コマツヨイグサの形状
花の特徴
コマツヨイグサの開花の季節は春~秋。夕方から夜の間に黄色い花を開きます。直径は3~4cm、4枚の花びらはハート型です。雌しべを囲む8本の雄しべの先には、葯(やく:雄しべ先端の花粉がある部分)がT字になるようについています。朝になると花びらは萎み赤変します。
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夜が明けて赤く変わった姿。
葉と茎の特徴
コマツヨイグサの茎葉にはよく見ると細かいうぶ毛が生えています。茎は直立せず地面を覆い広がるのが一般的です。葉には切れ込みがあり、その形状は個体によってさまざまですが、他のマツヨイグサ属との区別するときの手がかりになります。
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切れ葉待宵草という別名もあります。
マツヨイグサとの関連は?
マツヨイグサ属
マツヨイグサ属に所属する植物は多く、その中の一つがコマツヨイグサです。コマツヨイグサ以外に、花が黄色い種類のマツヨイグサ、オオマツヨイグサ、メマツヨイグサが、総称で「マツヨイグサ」とされているのです。
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上の写真はオオマツヨイグサ(学名:Oenothera glazioviana)。こちらは萎んでも赤く変色しません。
月見草はマツヨイグサとは違う!
月見草もマツヨイグサ属の一種ですが、マツヨイグサの仲間とは別の花として区別されています。古くからマツヨイグサのことを月見草と呼ぶ習慣があり、それが定着しているのですが、本来の月見草は白い花で、朝になるにつれ花びらはピンク色に変わっていきます。
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ちょっとまとめてみますね。
◎コマツヨイグサ、マツヨイグサ、オオマツヨイグサ、メマツヨイグサ→マツヨイグサ(総称)
◎マツヨイグサ(総称)→月見草と呼ばれてきたが、実は間違い
コマツヨイグサという名前の由来
夜を待つように開く花
マツヨイグサ(待宵草)の仲間全体の名前の由来は、宵を待って花開くことに由来しています。その中でとりわけ花が小さい品種であることから、コマツヨイグサの名前がつけられています。ただ、単にマツヨイグサの縮小版ということではなく、茎や葉の特徴は異なっています。
コマツヨイグサはどのように増えるの?
コマツヨイグサの生息地
コマツヨイグサは日本中の海岸、浜辺、砂丘のような場所、水はけのよい草地などで増殖する植物です。乾燥に強くアスファルトの隙間などにも根を張っていることがありますので、目にする機会は多いのではないでしょうか。可憐な姿とは裏腹な実にたくましい野草ですね。
受粉の担い手は虫
コマツヨイグサはススメガなどの虫が受粉を担う虫媒花です。受粉によりできた種が秋にこぼれ落ち発芽することで、コマツヨイグサは個体を増やしていきます。冬はロゼッタという葉だけの状態で過ごし、春先に茎や葉を伸ばします。
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夜に咲くから、受粉を助ける虫は、蝶ではなく蛾なんです!
コマツヨイグサは駆除対象の外来種!
コマツヨイグサは明治時代に確認された外来種で、環境省・農林水産省の「生態系被害防止外来種リスト」(正式名称:我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト)に指定されている植物です。その中でも重点対策外来種に分類されています。
コマツヨイグサの駆除
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例えばコマツヨイグサが増えると鳥取砂丘の緑化が進んでしまうなど、深刻な問題になっています。
上記の理由で、コマツヨイグサは日本全国で駆除されています。除草剤も使われますが、効果が十分でないケースもあるようです。本来の生態系を守るため、自治体やボランティアグループが浜辺に集い、手作業で根を掘り起こして駆除する活動が行われています。
マツヨイグサ(総称)の利用事例
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健康食品、お茶、食用油、アロマオイルなど、いろいろ使われてはいますが…。
食べていいの?
野草好きの間では、コマツヨイグサをはじめマツヨイグサ(総称)の花、根、葉を料理して食べることがあるようです。ただし、胃の不調や吐き気の報告も皆無ではありません。体質や摂取量の関係もありますので、食用は慎重にしたほうがよさそうです。
薬効は?
マツヨイグサの仲間の中で、特にメマツヨイグサには民間薬や漢方としての歴史があり、その成分由来のサプリメントや美容液が販売されています。しかし、薬効について科学的に十分な根拠がないという報告もありますので、利用する場合は専門家に相談したほうがよいでしょう。
まとめ
花期が長いコマツヨイグサは、さまざまな季節をとおして風景を彩る身近な野草。その姿に癒やされることも多いのではないでしょうか?しかし、一方では駆除対象ですので、複雑な気持ちにもなりますね。外来種問題を考えさせられる植物の一つです。
出典:写真AC