クレマチスの概要
クレマチスは品種が多い人気の植物で、育てやすく失敗が少ないため初心者でも気軽に育てられます。花数が多くよい香りのする品種もあるので、庭に植えると豊かな印象になります。クレマチスは大きく分けると強剪定に適した品種と、弱剪定がよい品種があり、初心者には強剪定ができる四季咲きの品種がおすすめです。
ボタニ子
基本情報
学名 | Clematis L. |
科属 | キンポウゲ科センニンソウ属(クレマチス属) |
形態 | 半つる性・木立ち性 |
種類 | 耐寒性常緑種多年草 |
原産地 | 北半球 |
草丈 | 20cm~300cm |
花色 | 白・ピンク・赤・黄・黒・青・紫・複色・グラデーション |
別名 | テッセン(鉄線) |
特徴
クレマチスはつる性の植物ですが、ヒゲを出してまきつくのではなく葉が直接絡みつくタイプです。花色は多岐にわたり形も、一重咲き、八重咲き、ポンポン型、壺型とバラティに富んでいて人気があります。クレマチスの花弁に見えるのは咢(がく)で、花弁がありません。品種は約300種以上あり1年に何度も花が咲く「四季咲き」と、1つの季節に1回咲く「一季咲き」があります。
【超初心者向け】クレマチスの育て方①時期
栽培カレンダー
栽培適期
クレマチスは耐寒性の強い多年性宿根草なので、ほぼ一年中が栽培適期です。冬に花が終わったら地上部が枯れるものや、葉が緑色のままの常緑種で冬に咲くものなどがあります。四季咲きで冬に休眠に入る品種は、冬が剪定や植え替えに向いています。四季咲きのクレマチスは花が終わったらいつでも剪定でき、新しい花芽が出てくるので失敗が少なく一年中楽しめるでしょう。
【超初心者向け】クレマチスの育て方②栽培環境
栽培方法
クレマチスは鉢植えでも地植えでもよく育ちます。つる性の品種が多いので地植えしてグランドカバーにしたり、フェンスに絡めたりして生垣にすると華やかな庭がつくれます。鉢植えの場合は支柱をたてて上へ伸ばして花を楽しんだり、鉢植えから垂れ下がるように花を咲かせてハンギングバスケットにするのもよいでしょう。
育てる場所・日当たり
クレマチスは日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。半日陰でも花は咲きますが枝が徒長気味になったり、花付きや花色、花数が鈍ったりすることがあります。なるべく半日以上は日光が当たる、風通しのよい場所で栽培しましょう。クレマチスは地植えでも鉢植えでも繁茂する品種が多いので、蒸れは禁物です。
【超初心者向け】クレマチスの育て方③詳しい栽培方法
苗の選び方
クレマチスの苗が出回る時期は、2月~3月にかけてです。新芽の色が濃くポットの下から根がのぞきはじめているものを買うと、失敗が少ないのでおすすめです。枝や新芽のみの形で出回るため、苗ポットのネームプレートに印刷されている、花の形や色を参考に購入しましょう。初心者には四季咲きの品種が向いているので、「強剪定」と書かれているものを選びます。
ボタニ子
出回りはじめの時期は高いから、安くなるのを待ちたい気持ちもわかるわ。でもよい苗は早くなくなるよ。
ボタ爺
安くなるのを待っていたら、人気のある品種や欲しい品種が出回る時期をのがすかもしれんな。
用土
クレマチスは水はけのよい用土を好みます。配合の必要がない、クレマチス専用の用土を買うのがおすすめです。市販の草花用の用土に、赤玉土を配合してもよいでしょう。自作する場合は、バーミキュライト:腐葉土:赤玉土を2:3:5の割合で配合したものや、腐葉土:鹿沼土:赤玉土を3:3:4の割合で配合したものなどもおすすめです。
ボタニ子
地植えの場合は水はけをよくするために、掘り返した土に腐葉土や軽石を配合するとよいわね。
ボタ爺
腐葉土を配合する場合は、しっかりと熟成したものがおすすめだの。
植え付け
用意するもの
- 手袋
- 用土
- プラスチック製のスリット鉢(ない場合は鉢底ネットと鉢底石)
- クレマチスの苗
- スコップ
- 水
植え方
- 鉢の底に少量の用土を入れる(普通の鉢の場合は鉢底ネットと鉢底石を敷く)
- クレマチスの苗を根をいじらずにそのまま入れる
- 隙間と上に用土をかける
- 二節くらいある状態の苗が多いのでほぼすっぽり用土をかける
- 水をたっぷり与え、用土が凹むようであればさらに足して水やりする
ボタニ子
クレマチスの植え付けや植え替えは深植えなので、鉢植えする際は深さのある鉢を選びましょう。
ボタ爺
苗は一節か二節枝がある状態で出回るものを買うので、用土をかけたとき二節目の頭が見えてもかまわんよ。
ボタニ子
植え付けの適期は、2月~3月ね。色々な種類の苗が出回る時期だからよ。
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クレマチスの根は直根性で下に伸びる性質があるため、鉢植えの場合高さ、深さのある鉢を選びましょう。スリット鉢は鉢底ネットや鉢底石を必要としないため、初心者でも簡単に扱えます。
植え替え
クレマチスは根があまり強くないので、植え替える場合は優しく扱います。地植えの場合は植え替えはできないと考えて、植える場所を慎重に決めるのがおすすめです。鉢植えの植え替えの際も根は崩さず、表面の劣化した土を取りのぞくくらいでそのまま一回り大きな植木鉢へ植え替えましょう。植え替えは猛暑の時期を除けば、ほぼ一年中どの時期でも行えます。
ボタニ子
鉢植えの植え替えはいつでもできるわ。四季咲きクレマチスは地上部が枯れ、枝を剪定できる冬がおすすめよ。
剪定(四季咲きの場合)
四季咲きのクレマチスは、春~秋の間は花の盛りが終わったらすぐに1/3~半分まで強剪定します。すぐに次の花芽が育ち、1ヵ月~2ヵ月後には新しい花を楽しめるでしょう。花が終わったら冬に地上部が枯れるので、1月~2月に地面の際に新しい芽が出ているのを確認して強剪定します。新芽を傷つけないように注意して、よく切れる清潔なナイフや剪定はさみで剪定してください。
ボタニ子
旧枝咲き(一季咲き)のクレマチスとは剪定の方法が違うので、注意してね。栽培を失敗しないコツよ。
クレマチスは有毒です
- クレマチスは有毒で有名なトリカブトと同じキンポウゲ科の植物で、クレマチスの樹液にはプロトアネモニンという毒素が含まれています。肌につくとかぶれたり水泡ができたりすることがあるので、剪定の際は必ず手袋をしましょう。
増やし方
クレマチスは挿し木で増やします。5月~8月にかけて剪定した新しい枝を使用して、挿し穂を作りましょう。必ず新しく生えた枝を使うのが、失敗しないコツです。10cm~15cmにカットしたら先端の葉を2枚~3枚残して取りのぞき、30分~1時間発根剤入りの水で水揚げします。その後、さらに発根剤をつけて新しい用土に挿してください。
ボタニ子
挿し木する用土は水で湿らせておきましょうね。水を切らさないようにして、明るい日陰で管理すると失敗が少ないわ。
【超初心者向け】クレマチスの育て方④管理のポイント
水やり
地植えしたクレマチスは定植の際に水やりをすれば降雨でしのげますが、日照りの場合は水やりしてください。鉢植えの場合は春と秋は蒸れないように風通しよくし、水切れを起こさないようにします。特に夏は水切れしやすいので様子をみて、乾燥しそうであれば早朝と夕方に水やりします。冬の水やりは忘れがちですが春と秋と同じで、乾燥させないようにしましょう。
肥料
クレマチスに肥料を与える場合、成長期の早春~晩秋にかけて水やりの代わりに1ヵ月に2回~3回液肥を与えるか、1ヵ月~2ヵ月に1回緩効性肥料を与えてください。花をたくさん咲かせる植物なので、肥料切れすると花つきが鈍くなります。冬は鉢植えの縁に緩効性肥料を置き肥(寒肥)すると、翌春の芽吹きを助けるでしょう。
害虫対策
クレマチスにはハダニやアブラムシ、アザミウマなど樹液を吸う害虫がつきやすいです。ヨトウムシやネキリムシなどのアオムシ系やナメクジやカタツムリなど、葉や茎を食害する虫もつきます。目視で発見できた場合は、それぞれに効く薬剤を散布しましょう。
病気対策
クレマチスは比較的病気に強い植物ですが、風通しが悪い場所での栽培や梅雨時期などの過湿で、うどんこ病やさび病、灰色カビ病などにかかる場合があります。植え替えや植え付けの際に配合した腐葉土が熟成していなかった場合は、立枯病や白絹病にかかりやすくなります。毎日よく観察することが、病害虫で失敗しないコツです。
花後の処理
四季咲きのクレマチスは花の盛りがおわると剪定しますが、その前に花が終わったらこまめに花柄摘みをしましょう。クレマチスの花が終わったら、受粉していれば種を作ろうとします。種を作ると栄養をとられるため、株が弱くなることがあります。採種しない場合は、花が終わったらすぐに摘んでください。
バラにない花色があるので、バラのパートナープランツとしても人気があるのよ。