オカトラノオはこんな植物
オカトラノオは、旅先の豊かな自然の中でも、近所の公園でも出会える植物です。枝垂れた花序が美しいオカトラノオの性質と魅力をご紹介します。
基本情報
学名 | Lysimachia clethroides |
和名 | オカトラノオ |
科名 | サクラソウ科 |
属名 | オカトラノオ属 |
園芸分類 | 草花・山野草 |
形態 | 多年草 |
原産地 | 朝鮮半島・中国・日本 |
草丈 | 40〜100cm |
開花時期 | 7〜8月 |
花色 | 白 |
耐寒性 | 強 |
耐暑性 | 強 |
日本の北海道から九州まで自生している
東アジア原産のオカトラノオは、日本では北海道から九州の平地や低めの野山に自生し、夏に白く美しい花を咲かせる植物です。日当たりのよい草地や道端で群生している姿が見られますが、これは地下茎を伸ばして繁殖する性質によるものです。耐寒性・耐暑性が強く繁殖力の旺盛な植物で、やや湿り気のある土地を好む傾向があります。
和にも洋にも合う
いかにも日本的な風情のオカトラノオですが、欧米のナチュラルガーデンでも、優雅さと野性味を感じさせる植物として人気が高いようです。切り花では、蒸し暑い季節に涼を感じさせる茶花として使われる一方で、洋風のフラワーアレンジメントやブーケに動きを与える花材としても扱われます。和洋どちらの雰囲気にもマッチする植物です。
オカトラノオの特徴
オカトラノオの名は、漢字では「丘虎の尾(岡虎の尾とも)」と表記され、丘に咲き、花序が虎の尾のようにしなやかに波打つ姿から名付けられました。英名は「Gooseneck loosestrife」で、その花序の形状と白さをガチョウの首(Goose neck)に例えています。特徴的な花序が人々の印象に残ることは洋の東西を問わないようです。
花の特徴
開花時期は7〜8月
オカトラノオの開花時期は7月〜8月です。開花時期になるとまっすぐ立った茎の先端に花序を出し、1cmくらいの小さな星のような白い花をたくさんつけます。花は花序の下のほうから順番に咲き始め、途中から横に流れるような印象的な円錐形になります。花序の長さは大体15cm前後で、大きいものだと30cmくらいになることもあります。
美しい群生風景
前述の通り、オカトラノオは地下茎を伸ばして繁殖するため、群生します。同じ場所に生えるオカトラノオの花序は皆同じ方向を向くという特徴があり、白く波立つような美しい群生風景を見られます。
蜜を求めてチョウの姿も
オカトラノオの花の季節には、蜜を求めてチョウやハチがやってきます。そのため、チョウを呼ぶためのバタフライガーデンで、夏の吸蜜源として植えられることがあります。大きなアゲハチョウから小さなシジミチョウまで、さまざまなチョウがこの花の蜜を好みます。ちなみにこの花を好むのは成虫であるチョウのみで、幼虫が食べるのは別の植物です。
葉の特徴
葉の形も涼しげ
オカトラノオは葉も美しく、先端がすっと細くなった長楕円形で、葉茎の元は赤みを帯びています。枝分かれしないまっすぐな茎に互い違いに生え、葉の両面と茎には細かな柔らかい毛があります。
秋には紅葉も楽しめる
夏には白い花と涼しげな葉で楽しませてくれるオカトラノオの2度目の見頃は秋です。オカトラノオは草花ながら11月ごろに紅葉し、夏とは違った美しさと季節感を感じさせてくれます。黄色に赤く斑が入ったように紅葉するもの、オレンジ色や真っ赤に染まるものなど、生育環境によりさまざまに紅葉します。
オカトラノオの種類と似た植物
桃花や斑入りの葉も
オカトラノオの花は基本的には白ですが、ごく淡いピンク色の花を咲かせ、紫がかったピンク色の蕾とのグラデーションが美しい、桃花と呼ばれる珍しい花もあります。また、花は通常の白い花で、葉に白色や黄色の斑が入ったものもあります。
トラノオと名の付く植物
花序を持つ植物にトラノオと名付けることは多く、たくさんの◯◯トラノオがありますが、オカトラノオと同じサクラソウ科のトラノオに、ヌマトラノオがあります。オカトラノオとよく似ていますが、ヌマトラノオの花序はまっすぐで枝垂れることはありません。イヌヌマトラノオは、オカトラノオとヌマトラノオの交雑種で、両方の特徴をあわせもっています。
いよいよ次のページからは、育て方をご紹介します。
出典:写真AC