トキソウとは?
トキソウ(朱鷺草)とは、主に北海道から本州、そして四国から九州などの広い範囲で自生する植物です。日当たりの条件がよい湿地に生えているラン科トキソウ属の高山植物です。日本各地の湿原や湖沼などの環境が適している野生の蘭で、海岸に近い場所でも高層湿原でも、群落を形成して自生する植物です。今回は日本でポピュラーなトキソウについてご紹介します。
なぜ朱鷺草なのか?
トキソウはラン科特有の花のかたちをしていて、とげ状の突起が目立っています。優しい色の花を茎先に一輪だけ咲かせる特色があります。主に6株くらいの花立ちになると、その咲いた雰囲気がまるで朱鷺が舞うような姿に見えることから、トキソウという名になりました。
トキソウの花言葉
トキソウの花期は、晩春から初夏にかけてです。細いへら状の葉とまっすぐ伸びた茎先に、淡い紅紫色の花が一輪だけ咲くというその姿が魅力です。花は7~10日間くらい咲き続けます。そんなトキソウの花言葉は「幻の愛」です。この花言葉も絶滅危惧種となった鳥の朱鷺(トキ)から由来し、憂いのある印象を残してくれます。
トキソウの特徴
蘭の品種の一つであるトキソウとは、かつて日本全国にいたるところで見かける花でした。しかし徐々にその数も減りつづけています。ますます謎のベールに包まれていくトキソウとは、どのような特徴や傾向を持っている花なのでしょうか?ここでは、主なトキソウの特徴についてご紹介します。
約40の品種がある
トキソウは原産国は不明ですが、中国や韓国、日本といった東アジアを中心に分布している蘭の品種の一つです。南北アメリカにも同品種が分布されていて、約40種類ほどが認知されています。また日本産のと外国産の交雑した品種も作られています。以前はトキ色だけの花でしたが品種改良により白も登場しました。
一本の茎に一輪だけ咲く花
トキソウは春の芽出しの時期になると、葉に包まれながら花芽を出します。細いへら状の葉は1本の茎に1枚だけつける習性です。葉の展開と同じように花芽が伸びていき、晩春~初夏にかけて桃紫色の花を咲かせます。
花後は地中に根茎が這う
トキソウの花後は、実ができて子房が大きく膨れ種を作ります。地下の根茎の先に花芽と葉芽が半々くらいの割合で作られます。地中に根茎がどんどんはっていき、晩秋の頃に葉が枯れ地上部がすっかりなくなって休眠状態になります。
徐々に数が減っている
トキソウはとてもかわいらしい花を咲かせる蘭の品種です。昔は里山の湿原でも目にした高山植物の一種でしたが、その多くは盗掘や乱獲、土地の開発などで、自生地が激減してしまいました。今では岐阜県などを中心に全国でも絶滅危惧種に指定されています。そのため岐阜県以外でも生産増殖された苗が春に出まわり、人工的に花を咲かせていることも多い希少価値な植物と化しています。
ボタニ子
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