アキニレとは?その特徴や見分け方をご紹介!ハルニレとの違いは?

アキニレとは?その特徴や見分け方をご紹介!ハルニレとの違いは?

アキニレという樹木をご存知ですか。漢字で書くと「秋楡」です。北海道の有名なハルニレのことでしょうか。アキニレは河原などに自生し、公園樹や街路樹、盆栽にも利用される樹木です。意外と知られていないアキニレの特徴やハルニレとの見分け方、利用方法ついてご紹介します。

記事の目次

  1. 1.アキニレとは
  2. 2.アキニレの特徴
  3. 3.アキニレを見に行く
  4. 4.アキニレとハルニレ
  5. 5.アキニレの利用方法
  6. 6.まとめ

アキニレとハルニレ

出典:写真AC
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アキニレとハルニレ、同じような名前の樹種ですが、どのような違いがあるのでしょうか。名前の由来は開花時期です。ニレ属の樹木は世界中にありますが、そのうち3種類しか秋に開花する種類はありません。そのひとつがアキニレです。開花時期以外の見分け方をご説明します。

ハルニレの特徴

出典:写真AC
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日本で「楡の木」とは主に「ハルニレ」を指すようです。ハルニレの特徴はどんなものでしょうか。ご紹介します。

分類 ニレ科ニレ属
学名 Ulmus davidiana var.japonica
別名 アカダモ、エルム
分布 中国東北部、朝鮮半島、日本(東日本〜北海道)
成長 早い
樹高 15m〜35m
開花 3〜5月
用途 公園樹、街路樹、木材

日本でのハルニレ

日本では北海道など気温が高くならない北日本でよく育ち、高さが20mを超え、枝を大きく広げた大木となることが多いです。暖かい地方でも成長しますが、アブラムシなどの虫害に合うことが多いです。秋の紅葉は寒い地域の方が美しいです。

アイヌの神様

アイヌの人々はハルニレを天地創造のとき、最初に地上に現れた精霊としています。アイヌの神話ではハルニレは雷神との間に子供を産みますが、産んだ後に6日間、燃え続け消えたそうです。アイヌの人々はハルニレを火を起こすときや接着剤に利用していました。

エルムの杜

北海道大学の札幌キャンパスにある「エルムの森」は100年以上の樹齢のあるハルニレの樹林となっています。北海道大学の札幌キャンパスは「エルムの杜(もり)」とも呼ばれ、ハルニレはシンボル的な存在です。

豊頃町のハルニレ

出典:写真AC
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北海道中川郡(十勝地方)豊頃町のハルニレの木は有名です。2本のハルニレが一体化して、まるでひとつの木のように見える樹形となったものです。推定樹齢は約140年になり、ずっと寄り添い続ける2本の樹木が恋人の象徴として人気があります。

アキニレとハルニレの見分け方

アキニレとハルニレの主な違いをご紹介します。すぐに分かる見分け方は、花の開花時期の春と秋の違い、葉っぱの大きさや樹皮の状態を見ることでしょう。名前は似ていますが、葉っぱの形や樹皮の状態ですぐに見分けることができます。

  アキニレ ハルニレ
葉っぱ 3cm 8cm
開花時期 9月 3〜5月
樹皮 うろこ状 縦に割れる
樹高 15m 30m
主な分布 西日本 北日本

アキニレの利用方法

「石ゲヤキ」の由来にもあるように、硬いとされるアキニレですが、現在、材木としてはあまり使われていないようです。主な用途としては、街路樹や公園樹、盆栽などです。

街路樹としてのアキニレ

 出典:写真AC
 

アキニレは春の新緑、秋の黄葉が美しく、大気汚染、乾燥、病気や害虫、そして剪定に強いことが街路樹や公園樹として選択される理由です。

盆栽としてのアキニレ

アキニレは葉が小さいことと、樹齢を経ると幹に独特の模様が出ることから、盆栽木として好まれる良い特徴を持っています。盆栽の世界では、葉や樹皮が「ケヤキ」に似ていることから「ニレゲヤキ」と呼ばれています。

ニレゲヤキ盆栽

ニレゲヤキの特徴は剪定に強いため、さまざまな盆栽樹形を楽しめることにあります。ニレゲヤキ盆栽の樹形は幹が左右に曲がりながら立つものや、大きく傾いて植えられたものなどさまざまです。丈夫なので初心者でも剪定や葉刈りの練習をすることができます。斑入りの葉っぱのものも多く作られています。

ケヤキ盆栽とニレゲヤキ盆栽の見分け方

ニレゲヤキと似ていると言われている「ケヤキ」はどのような樹木でしょうか。ご説明します。
 

分類 ニレ科ケヤキ属
学名 Zelkova serrata
別名 ツキ(槻)
分布 日本の本州、四国、九州
成長 早い
樹高 20〜30m
開花 4〜5月
用途 家具、建築用材

Photo by norio_nomura

ケヤキはアキニレと同じニレ科ですが、ケヤキ属です。ケヤキの葉っぱや冬芽などはニレゲヤキによく似ていますが、比べてみるとすぐに見分け方がわかるようになります。

  ニレゲヤキ ケヤキ
葉っぱの厚み 厚い 薄い
葉っぱの形 丸みがある 先が尖っている
葉っぱの表面 やや光沢がある 光沢はない
冬芽の色、形 赤みがあり丸みがある 茶色で先が尖っている

ケヤキの盆栽樹形

けやき盆栽は一本の幹がまっすぐに立つ「直幹」、箒を逆さまにしたような「ほうき立ち」と言う樹形で作られます。さまざまな樹形で作られるニレゲヤキ盆栽との大きな違いです。

まとめ

いかがでしょうか。アキニレは樹木が育ちにくい環境でも丈夫に育ち、街路樹や公園樹として私たちの身近に存在していました。春や夏には小さくて美しい緑葉、冬には可愛らしい冬芽、虫や野鳥を呼び、盆栽としても私たちを楽しませてくれる樹木でした。機会があれば散歩する公園などでアキニレを探してみてはいかがでしょうか。

green baggage
ライター

green baggage

マンションのベランダでミニ盆栽を20数年育てています。日本の春夏秋冬のイメージが地球温暖化で変わってきていると実感しています。そんな状況を乗り越え一緒に年月を過ごしてきた盆栽たちは人生の伴走者と思えます!

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