キヅタとは?つる植物としての特徴や用途・利用法をご紹介!

キヅタとは?つる植物としての特徴や用途・利用法をご紹介!

キヅタはウコギ科キヅタ属の常緑つる性植物です。キヅタは日本原産で各地に自生し、他の樹木や壁を登り、深緑色の葉を茂らせていきます。そんなキヅタの葉、茎、気根、花、果実にはどんな特徴があるのでしょうか。キヅタの用途や利用法、キヅタとツタの違いも含めご紹介します。

記事の目次

  1. 1.キヅタとは?
  2. 2.キヅタの特徴
  3. 3.キヅタとツタと違い
  4. 4.キヅタの用途・利用
  5. 5.まとめ

キヅタとは?

Photo by norio_nomura
ボタニ子

ボタニ子

樹木や壁を覆う、つるのような植物。よく目にしますよね。今回はその中でも、つる植物のキヅタをご紹介します!

キヅタの基本情報

名称 キヅタ(木蔦)
学名 Hedera rhombea
別名 ユフヅタ(冬蔦)
科属 ウコギ科 キヅタ属
性状 常緑 つる性
原産・分布 日本 朝鮮半島 台湾など
用途 ガーデニング 地面・壁面の緑化など
育てやすさ 特に耐暑性、耐風性に優れ、育てやすい

つる植物とは?

出典:写真AC

つる植物は、自立せず樹木や壁面などに寄り添い、登りながら成長します。「つる」というのは茎の部分ですが、柔軟性があり、細い割に強いという特徴があります。栄養を得るためには日光が必要なので、他の樹木などに取りついて上に伸びていきます。

ボタニ子

ボタニ子

つる植物というと、ぐるぐる巻き付く印象がありませんか?でも、キヅタは巻き付かない種類なんです。

キヅタの生息環境

キヅタは日本原産の植物で、沖縄から北海道の南部まで広く分布しています。森林、野山に自生するほか、植栽にも取り入れられています。基本は樹木や壁を支えに伸び上がりますが、日照が確保できれば地表も這い、環境を選ばない丈夫な植物です。

キヅタの特徴

葉の形は2種類

キヅタの葉には大きく分けて2種類の形があります。個体によって形に差がありますが、苗や樹齢の若いキヅタの葉は3角形または5角形に近い形で葉先が裂けています。一方、成熟したキヅタの葉には裂けめがなく、卵形、またはなめらかなひし形のような形をしています。

若いキヅタの葉

出典:写真AC

ボタニ子

ボタニ子

葉だけを比べると、まるで別の植物みたいですね。

成熟したキヅタの葉

出典: https://item.rakuten.co.jp/engei2/23277/?gclid=CjwKCAjw8ZHsBRA6EiwA7hw_sQak4Fa6GZToicGMJ0SgLh1l5NSy6DfKnRR8X3unZ9XQYGgobBNgDBoCRLwQAvD_BwE&scid=af_pc_etc&sc2id=af_113_0_10001868

気根と茎

キヅタは本来の根の他に、茎から出る気根という器官を持っています。キヅタの気根は付着根という種類になりますが、これを付着させて樹木や壁をよじ登ります。樹齢の古いキヅタはまるで木のように太くなるので「木蔦」という名がついたと言われています。

ボタニ子

ボタニ子

もはやヒゲの生えた木!推定樹齢100年のキヅタもあるそうです。

出典:写真AC

キヅタは10~12月頃、直径9mmほどの黄緑色の花を咲かせます。花が放射状に集まって球形になっている姿はヤツデに似ていて、5枚の花びらが開くと星のように見えます。ちなみに花をつけるのはある程度成長した株のなので、苗や種子から育てる場合、すぐに花は咲きません。

ボタニ子

ボタニ子

小さな花が球形に集まって咲く姿、かわいいですね!よく見ると雄しべが結構長いんですよ。

果実と種子

出典:写真AC

花のあとのキヅタは球形の実を結び、翌年の5月頃に直径7mmほどの黒紫色の熟した果実となります。キヅタは花よりもこの果実のほうが注目されており、フラワーアレンジメントなどに使われています。このキヅタの果実には5つの種子が入っています。

ボタニ子

ボタニ子

キヅタの果実を野鳥が食べて、種子が拡散したりします。

キヅタとツタと違い

キヅタとツタは分類が違う

出典:写真AC

  • キヅタはウコギ科キヅタ属
  • ツタはブドウ科ツタ属

一般にツタ属の植物を「ツタ」と総称することが多いですが、ここでは、ツタ(学名:Parthenocissus tricuspidata)との違いを見ていきます。キヅタとツタは名前や他の植物に這い登る特徴が似ていますが、そもそも植物学上の分類の科が違います。

フユヅタ(冬蔦)とナツヅタ(夏蔦)

  • キヅタはフユヅタ(冬蔦)
  • ツタはナツヅタ(夏蔦)

出典:写真AC

キヅタとツタの最大の違いは、キヅタが常緑なのに対して、ツタは秋になると紅葉し冬には枯れるということです。その特徴から、冬に枯れないキヅタにはフユヅタ(冬蔦)、冬に枯れてしまうツタにはナツヅタ(夏蔦)という別名があります。

ボタニ子

ボタニ子

上の写真は紅葉したツタです。形が似たつる植物は他にも多いので断定はできませんが、冬に青い葉をつけていたらキヅタの可能性が高いということです。

キヅタの用途・利用

出典:写真AC

キヅタは野山に自生していますが、古くから石垣や家壁の彩り、庭のグランドカバーなどの用途に広く使われています。最近では環境保全や装飾といった点で、さらに用途や目的を広げたキヅタの利用がされていますので、その事例を中心にご紹介します。

ボタニ子

ボタニ子

ガーデニングでの利用はもちろんですが、それ以外の用途を中心にご紹介します。

キヅタによる壁面緑化

遮熱のためのキヅタの利用

特に夏場になると壁面緑化や緑のカーテンという言葉を耳にします。建物の壁面にさまざまな植物を配置して、熱を遮る方法です。特に最近の日本の夏は酷暑ですので、ヒートアイランド対策として、自治体が助成金を出すなど力を入れています。ここにキヅタが使われているのです。

ボタニ子

ボタニ子

家庭でできるものから造園の規模まで、いろいろありますね。

装飾としてのキヅタの利用

環境対策に加えて、アートや広告効果を兼ね備えた壁面緑化があります。建物や施設の外壁や通路をキヅタなどの植物で装飾することで、環境に配慮するとともに、施設や企業のイメージづくり、シンボル化に役立てる利用法です。

ボタニ子

ボタニ子

野山のキヅタと街で見るキヅタでは、ずいぶん雰囲気が違うなあ…。

アレンジメント・小物など

キヅタは大がかりな利用だけでなく、日常の中でアレンジメントや小物づくりにも使われています。キヅタの光沢のある葉や個性的な果実は、フラワーアレンジメント、リース、ブーケなどを美しく彩る素材となっています。また、キヅタで作った小物を見かけることもあります。

ボタニ子

ボタニ子

植えて楽しむだけでなく、ほかにもいろんな用途があるんですね!

キヅタを利用したリース

キヅタを利用したハーバリウム

まとめ

出典:写真AC

野山や公園、住宅地、商業施設などで、ぜひキヅタを探してみてください。形が似ているつる植物はたくさんありますので少し難しいかもしれませんが、キヅタは常緑の葉と果実が特徴ですので、冬場には見分けやすいかもしれません。

koke_dama
ライター

koke_dama

見る人の心を癒やす植物の力。偉大ですね!

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