ニワゼキショウはどんな植物?
芝生やちょっとした草むらなどに生えている、小さな赤紫や白の花をご存じでしょうか。花の名前はニワゼキショウといいます。漢字で書くと「庭石菖」です。気を付けていないと見逃して踏んでしまうほど小さな花です。今回はそんなニワゼキショウの生態や特徴から育て方までを詳しく解説します。興味が出たらぜひ、育ててみてくださいね。
ニワゼキショウの基本情報
科 | アヤメ科 |
属 | ニワゼキショウ属 |
原産地 | アメリカ |
高さ | 10cm程度 |
別名 | ナンキンアヤメ |
ニワゼキショウの特徴
ニワゼキショウはそのかわいらしさからもともと観賞用にと明治時代にアメリカから輸入されました。とはいえ現在雑草として扱われ芝生などに群生しているものは輸入された花が野生化したわけではなく、本来の雑草のような種類が帰化した、いわゆる帰化植物になります。花弁は6枚あり、中央が黄色いのが特徴です。
ニワゼキショウはアヤメに似てる?
こう見えてニワゼキショウはアヤメの仲間です。一見すると似たところなどまるでないようですが、分類上はアヤメ科になります。アヤメの特徴と似ているのは茎や葉、おしべなどになります。割と細かいところにアヤメ科の特徴が出ているようです。ちなみに夏には少しだけ弱く冬には強い植物で、一年草のものと多年草のものとがあります。背丈はアヤメとは似ても似つかぬ小さいもので、わずか10cm程度しかありません。
名前の由来
日本にはセキショウという名前の植物があります。薬効があり畑で栽培されていて、漢方薬としてよく利用されています。そんなセキショウと似ているという理由でニワゼキショウと名付けられた植物ですが、特に薬効はありません。由来となったセキショウに姿かたちは似てはいますが、そもそも全く違った植物であり、ニワゼキショウには薬効も毒性もありません。花びらは小さく可憐で観賞用になりますね。
ニワゼキショウの種類
アイイロニワゼキショウ | ・多年草 ・ニワゼキショウの中で最も大きくなる ・別名はルリニワゼキショウ ・3本のおしべがくっついて1本になっている ・花びらは青い |
オオニワゼキショウ | ・ニワゼキショウより大きくなるが花は小さい ・果実に産毛がある ・花びらは白い |
ニワゼキショウはオオニワゼキショウとニワゼキショウなどの別の種類が混じって咲いているようなところもあり、交配種も多くあります。近似種類はどれも似たような花のため、混乱もあるようです。
ニワゼキショウの花
ニワゼキショウの花びらは先の方がとがっていて、根本はやや筒状になっています。花の時期は5月~6月です。色は赤紫と白とがあり、白い花色の方が優性遺伝です。とても小さい花を咲かせ、大きさは1~2cm程度です。たまにちらほらとしか見かけないこともありますがニワゼキショウは群生する生態です。
ニワゼキショウの実と種
原産地では実に100種類以上もあるといわれるニワゼキショウは、花が終わった後には小さな実をつけます。乾燥することによって種を出すことができます。実はとても小さく、丸い形をしており大きさはせいぜい3mm程度です。種もまた小さく黒色をしていますが時間はかかるものの発芽しやすく、こぼれた種からどんどん増えていくのが特徴です。
ニワゼキショウの花言葉
ニワゼキショウの花言葉は「繁栄」「豊かな感情」「豊富」「愛らしい人」「きらめき」です。たくさんありますがどれも前向きで明るい気分にさせてくれる素敵な花言葉です。小さい花束にして贈り物にするのもいいのではないでしょうか。特に繁栄という言葉はニワゼキショウの強い繁殖力からきています。出産祝いなど小さい花束をそっと添えておくとにいいかもしれませんね。
ニワゼキショウの育て方
ニワゼキショウは雑草でもあるため生命力が高く丈夫で育てやすい花です。白や赤紫の花を咲かせるので目にも楽しくかわいらしい植物です。増やし方は種と株分けがあります。多年草であるため、株分けをした方が簡単に増やせるかもしれないですね。庭で育てるときには種はできるだけ取ってしまうようにしましょう。種がたくさん地面に落ちるとどんどん数が増えていってしまいます。
ニワゼキショウの育て方①植え付け
ニワゼキショウは種からもよく発芽します。その旺盛な生命力が雑草と分類されてしまう理由となっています。種を取ったらすぐにまいてしまうといいでしょう。春や秋の暖かい日であればいつでも問題はありません。真夏や冬は避けるようにします。種をまいたら水切れを起こさないように水の管理には気を付けます。約半月~1ヵ月ほどで発芽します。発芽が遅いからといって芽が出ないとは限らないため、気長に待ちましょう。
ニワゼキショウの育て方②用土
水はけがよく通気性のいい土であれば特に土は選びません。市販されている草花用の土で十分です。とはいえ、常に湿った状態であるのが望ましいので、市販の草花用の土に細かくした水苔などを混ぜるといいでしょう。乾燥に気をつければあとはそこまで手間をかけることもありません。
ニワゼキショウの育て方③水の管理
ニワゼキショウは常に湿った状態を好む植物なので、水切れには注意しましょう。乾いてきたなと思ったら水やりをします。冬の休眠期間にも乾燥だけはしないように注意が必要です。乾燥してしまうと元気がなくなります。庭植えの場合は雨だけで十分です。見た目は弱弱しいですが、丈夫な植物なのでそこまで気にすることはありません。
ニワゼキショウの育て方⑥肥料
ニワゼキショウに肥料はほとんど必要ありません。なぜなら雑草と思われるくらいに強い植物だからです。あえて肥料をあげるとするなら春と秋に1回ずつ緩効性の化成肥料を少量あげるといいでしょう。薄めた液肥でも問題はありません。鉢植えの場合はコバエなどの虫が来る心配があるため有機肥料はやめておくことをおすすめします。
ニワゼキショウにつく害虫
ニワゼキショウにつく害虫はアブラムシやネジラミなどがいます。雑草なんだから放っておいても大丈夫と思ったら大間違いです。この二つの害虫はとても危険です。放っておくとせっかく育てたニワゼキショウを枯らされてしまいます。見つけたらすぐに駆除するか予防しましょう。
アブラムシ
春先になると出てきて植物を枯らしてしまう害虫がアブラムシです。アブラムシは植物の汁を吸い、病気も媒介します。さらにほとんどの植物にとって天敵ともいえる虫です。そのため放っておくとニワゼキショウだけでなく近くにあるほかの植物まで枯らしてしまいます。アブラムシを見かけたらすぐに箸などでつまんで捨てるか、歯ブラシでこすり落としましょう。
ネジラミ
もう一つ危険な害虫がネジラミです。株の根元につく白い綿毛のような虫です。土の中で発生する虫のため気が付きにくく、それでいてこの害虫は発育に影響を及ぼします。ネジラミがついてしまったら発育不良になってしまいます。ネジラミはそもそも予防が大切な害虫です。年に1度など定期的な植え替えをして、土を清潔に保つことによって予防できます。
ニワゼキショウを育ててみよう!
かわいらしいニワゼキショウは鉢植えでも庭でも簡単に育てられる、丈夫な植物です。赤紫や白、種類によっては青いものなどもあるため育てがいもあるのではないでしょうか。毒もなく、管理も簡単な多年草で、翌年に植えなおす必要もありません。興味が出たらぜひ、育ててみてくださいね。
出典:写真AC