はじめに
九条ネギと聞くと高級料理店を思い浮かべる方もいるでしょう。実際に九条ネギは他のネギと比べて高い値段で売られていることが多いです。今回はそんな九条ネギの家庭菜園での植え方や育て方、そして干し方などを紹介します。
九条ネギとは
特徴
九条ネギとは京都の伝統的な野菜のひとつです。やわらかくて葉っぱの内側には甘みのあるぬめりがあります。九条ネギには浅黄種と黒種の二種類があります。特に有名なのは黒種のほうで、浅黄種に比べてふとく色が濃いのが特徴です。甘みと香りが強く、癖が少ないので料理に幅広く使えます。
栄養素
青い部分
九条ネギの青い部分にはビタミンAやビタミンB1、ビタミンC、カロチンが多く含まれています。それぞれの成分について簡単にご紹介します。ビタミン類は肌を綺麗に整えたり、健康を維持したりする効果があります。カロチンも風邪や病気に対する抵抗力を高めてくれます。
白い部分
白い部分には硫化アリルという成分が多く含まれています。硫化アリルはつんとした匂いや辛味が特徴です。これには消化管の動きを良くする働きがあります。他にも血液をさらさらにする効果も持っており、摂取すると動脈硬化の予防に効果があるとされています。
九条ネギの干し方
干し方①干す際のポイント
九条ネギを干す場合には根元までしっかり引き抜いたものを使います。引き抜いた九条ネギを1日天日干しします。その後は束ねて軒下に吊るしましょう。そのまま1ヶ月ほどしっかり干せたら根元から15cmほど残して切ります。上の部分は料理に使い、根元の部分はまた植えられます。
干し方②干す理由
九条ネギを干して根元のみにしたものを「干しネギ苗」といいます。わざわざ九条ネギを干す理由は、成長がとても早くなるからです。十分に干すと植え付けから20日前後で収穫ができるほどに成長します。また、乾燥したぶん発根がよくなるので、ネギ自体がふとく大きくなりやすいです。
干し方③干しネギ苗の植え方
干しネギ苗の植え方は、まず10cmほどの植え溝を作ります。そこに15cmほどの間隔をあけて苗を置きます。茎の頭が少し出るようにしつつ土をかけてください。植えてから4日ほどしてから水をあげます。乾燥した苗にすぐに水をやると腐るため注意が必要です。干しネギ苗を植えることを二度植えといいます。
九条ネギの育て方
育て方①環境
九条ネギは暑さや寒さには比較的強いのであまり場所を選びません。しかし日光がきちんと当たらないと育ちにくいです。そのため日当たりが良く風通しの良い場所に植えます。また、九条ネギは鉢植え、プランター、地植えどれでも育てられます。
育て方②植える時期
九条ネギの適切な生育温度は20度です。発芽温度は15度〜20度となっています。そのため種まきの時期は4月〜5月がおすすめです。種からではなく苗を植える場合には、種まきより少しだけ時期をずらし、5月〜6月が良いです。
育て方③種まき
土に1cmほどの溝を作ります。その溝に0.5〜1cmくらいの間隔をあけて種をまいて、その上から土をかぶせます。発芽までは土を乾かさないように水やりが必要です。発芽後には芽と芽の間隔が2~3cmほどあくように間引きをします。
育て方④育苗
苗が10cmほどになった後は5〜10cmほどの間隔があくよう間引きます。7日〜10日に一回ほど液体肥料を与えてください。九条ネギは長ネギとは違って茎に土をかぶせる必要はありません。しかし肥料を与えるときに軽く株元に土をかぶせて株を支えると、ネギが倒れずに育ちます。干しネギ苗を使って二度植えをした場合にも同じように育ててください。
九条ネギの注意点
注意点①水やり
発芽するまでは乾燥しないよう水やりが必要です。しかし芽が出た後は風通しの良い状態のほうが良いため、頻回な水やりは必要ありません。土が乾いたときに水を与えます。水やりは朝か夕方に行います。理由は日中気温の高い時間帯に水をあげると水蒸気で傷んでしまうからです。
注意点②病気
九条ネギがなりやすい病気として「さび病」というものがあります。名前の通り、葉にさびてしまったような茶褐色の斑点ができるのが特徴です。病気の理由は湿度の高い状態が続いていることが挙げられます。早めに病気の株を抜き取って薬を散布してください。他にも様々な病気があるので、病気に合った薬剤を使用します。
九条ネギの収穫方法
収穫目安は植え付け後50〜70日です。草丈でいうと40cm〜70cmほどになります。根元を手で掴んで周囲の土を掘り、引き上げるようにして収穫します。根元より少し上の部分を切って収穫すると、何度か繰り返し収穫できます。その際は忘れずに肥料を与えます。
九条ネギの増やし方
九条ネギの増やし方ですが、特別なことは必要ありません。自然と根元で分けつし、株が増えていきます。根元から抜いたときに株を分けつに合わせて切り分け、それを植え替えることで増やせます。受粉させる増やし方もありますが、花をつけたままだと苗が疲れやすいです。そのため、あまりおすすめではありません。
まとめ
高価な印象とは裏腹に九条ネギは早いペースで何度も栽培することのできる野菜です。水やりも最小限でよく、増やし方も簡単です。全体的にあまり手がかからないので家庭菜園で育てやすいといえるでしょう。栄養もあって料理での使い勝手も良い野菜ですので、栽培してみてはいかがでしょうか。
出典:写真AC