ラムズイヤーとは
ラムズイヤーは、原産地のトルコやイランに分布し、学名Stachys byzantinaというシソ科イヌゴマ属の多年草の植物です。やや厚みのある、楕円形の白いふわふわの毛に覆われた葉が特徴的で、見た目、手触りともに人気を集めています。
ボタニ子
実はラムズイヤーは、ほのかな香りのあるハーブなんだよ!
かわいらしい羊の耳!
ラムズイヤーは、もふもふとした白い毛の生えた葉の形状が「羊の耳」に似ていることから名付けられました。根付けばお手入れも簡単で、グランドカバーにも向く植物です。開花時期の5~7月には、約30~80㎝の花茎が直立して伸び、先端部分に階層状の小さな紫色の花を付けます。
ボタニ子
春になれば、たくさんの花姿を見ることができるんだね!
ラムズイヤーの育て方
個性的な特徴を持つラムズイヤー。春には、花茎が立ち上がり紫色の花とシルバーグリーンの葉の調和が魅力的です。近年、日本でも観賞用としてよく見かける注目度の高いハーブです。それでは、ご家庭でのラムズイヤーの育て方や増やし方のポイントをご紹介します。
育て方①ラムズイヤーが好む環境
ラムズイヤーは、耐寒性のある植物ですが高温多湿には弱いため、風通しと水はけのよい環境が欠かせません。夏場の日照りが強過ぎる場所、また梅雨の時期など雨にあたり過ぎる場所は避けて、植え付けには明るい半日陰の場所を選びましょう。
ボタニ子
猛暑、梅雨の時期は、蒸れや根腐れに気を付けて育てよう!
育て方②ラムズイヤーに適した土壌
ラムズイヤーは、酸性の土壌を嫌います。地植えにする場合には、1週間程前に適量の苦土石灰を混ぜ込んで土壌を中和させてください。また、根腐れを防ぐため、赤玉土や軽石を培養土や腐葉土と一緒に混ぜ込んで水はけをよくしておきましょう。
ボタニ子
苦土石灰は、消石灰や有機石灰と比べて扱いやすく、値段も一般家庭向きなんだよ。
土の配合と中和の度合い
土の配合は「赤玉土や軽石7:培養土や腐葉土3」程度の割合で用意しましょう。鉢植えの場合は、苦土石灰はほんの気持ち程度かなくても問題ありません。地植えの場合は、中性~弱アルカリ性の土壌になるように調節して、苦土石灰をすき込みましょう。
ラムズイヤーの植え方①広めに間隔をとろう!
ラムズイヤーは、横に茎を伸ばし根を張る傾向があるため、地植え・鉢植えともに今後の広がりを考えた植え方が必要です。30~40㎝程の間隔をとって定植位置を決めましょう。
ラムズイヤーの植え方②深めに耕そう!
水はけをよくするために定植の間隔と同様に40㎝程深めに掘って耕し、赤玉土や軽石を混ぜ込んでおきましょう。今後ラムズイヤーの範囲を広げる予定であれば、その辺り一帯を事前に耕しておくといいかもしれませんね。
ラムズイヤーの植え方③根をほぐそう!
ポット内で根がよく張っている場合、密集した根を優しくほぐしましょう。傷めないように気を付けて、詰まった土を軽く落としてから植え付けると、根が伸び伸びと根付きやすくなります。また、この作業によって水はけもよくなり、根腐れを防げます。
肥料と水やり
ラムズイヤーは、特に肥料を必要としない植物ですが、成長不良時には緩効性の肥料を与えるとよいでしょう。鉢植えの場合は、3~5月の間と9~10月の間に液体肥料を施すと安心です。また、ラムズイヤーは乾燥気味の環境を好むため、水やりは土が乾いてからするようにしましょう。
育て方③ラムズイヤーの病気や害虫
湿度の高い状態が長く続くと「うどんこ病」「根腐れ」「葉の変色」を起こします。また、風通しが悪くなるとアブラムシが発生するため注意が必要です。夏場は、バッタによる食害によって、あっという間に見た目が悪くなることもあります。見つけ次第対策するようにしましょう。
ラムズイヤーの植え替え方法
ラムズイヤーの適温時期である4~5月や9~10月に、あらかじめ準備しておいた土壌に定植しましょう。鉢植えの場合は、苗よりもひと回り以上大きな鉢を選びます。鉢の幅にゆとりを持たせて、鉢の中央に植え付けましょう。
鉢植えでの管理は植え替えが必要!
ラムズイヤーはよく広がって成長するため、1~2年に1度は成長した苗よりもさらに大きな鉢に植え替える必要があります。後述の重要なお手入れ「株分け」も兼ねて、成長に合わせた植え替え作業が必要です。
ラムズイヤーの増やし方
ラムズイヤーの増やし方には、種まき・株分け・挿し木があります。今回は、「株分け」と「挿し木」の方法をご紹介します。この2つは、ラムズイヤーにとって快適な環境を整え、苗の病気や害虫を防ぎ、より花茎の成長を促す効果があります。積極的に取り組みたい作業です。
株分けで増やそう!
まずは、苗を土から根を傷めないように掘り上げます。次に、分ける株ごとに新芽や茎、新しい根が均等に分かれるよう地下茎をハサミで切り分けます。分ける際に無理に根を引っ張らないよう、分かれやすい場所を探り分けてください。最後に、それぞれの株を新しい場所に優しく定植し、たっぷりの水をあげましょう。
挿し木で増やそう!
- 元気のある茎選んで、先端から10㎝程の長さに切ります
- 先端の葉を5枚程残し、土に挿す部分の葉を落とします
- 大きな葉がある場合は、半分~2/3程切り落とします
- 30分程水揚げして、切り口をよく切れるハサミなどで斜めにカットします
- 挿し木用土や赤玉土に挿し穴を開けて、茎が痛まないように挿込みます
- 茎が倒れないように優しく水やりをします
- 直射日光の当たらない明るい日陰にて管理します
根が張るまでは根気よく水やりを!
挿し木から根が出で、新芽が成長するまでの1カ月程は、日陰での管理を徹底します。また、この1カ月間は、土が乾かないよう毎日様子を見ながら水やりを欠かさないことが重要です。気になって挿し木を動かしてしまわないよう、根気のよい水やりと苗の状態チェックを行いましょう。
ボタニ子
株分けも挿し木も苗の生育が活発な春か秋にすると成功しやすいよ!
ラムズイヤーの剪定
ラムズイヤーは、生育が盛んな時期になるとよく葉も茂り、丘のように広がります。この時期に、湿度がこもってしまわないよう、増えすぎた茎を剪定して風通しをよくしましょう。また、開花時期には、花への栄養が優先されるため株が弱りやすくなります。種の採取をしない場合は、蕾の段階で剪定するのが理想的です。
ボタニ子
剪定した葉や蕾は、ドライにして楽しむことができるよ!
枯れた葉を取り除こう!
夏場の蒸れが原因で根元の方の葉が枯れて残ったままになってしまうことがあります。見た目が悪いことはもちろん、根元の蒸れや害虫のすみかになってしまう可能性があります。こまめに手で優しく取り除くお手入れをするようにしましょう。
ドライフラワーにする方法
剪定した葉や花茎を風通しのよい日陰に、紐などを使って逆さ向けに1~2週間吊るしておけば完成します(ハンギングドライ法)。葉は柔らかいうちに形を整えておくとよいでしょう。シルバーグリーンの色や産毛のようなふわふわな毛質がほぼ変わることなく、可愛らしく仕上がります。
まとめ
ラムズイヤーは、基本的に蒸れや水はけには注意が必要です。しかし、地植えにするば、ほぼお手入れいらずでよく広がって成長します。美しいシルバーグリーンのカーペットに成長すれば、お庭に出るのも楽しみになりそうですね。また、ラムズイヤーのユニークな葉質を利用して、おしゃれなドライフラワー作りにも挑戦してみてください。
出典:筆者撮影