パクチーの花とは
パクチーの花を見たことはありますか。パクチーは別名をシャンツァイとも言い、一大ブームとなった野菜です。独特の強い香りの愛好家は多く、専門の料理店ができたりフェスが開かれたりと、日本でもすっかりおなじみになりましたが、話題にされるのは主に葉の部分です。今回は、パクチーの花の部分に焦点を当ててご紹介します。
パクチーの基本情報
- 名称:パクチー(別名はシャンツァイ)
- 科属:セリ科 コエンドロ属
- 形態:一年草
- 花期:初夏(5~7月頃)
パクチーの花の形状
パクチーの花は一つ一つがとても小さく愛らしい形をしており、いくつかの花が小枝の先に丸く固まってついています。清楚な白色ですが、よく観察すると中心部分が薄く紫色がかっているものもあります。家庭菜園で育てている方は、葉の収穫後の株に無数の小花が群生する美しい光景を見たことがありませんか。
パクチーの花の時期
パクチーは春蒔きと秋蒔きができる一年草で、花は5~7月頃に咲きます。栽培が比較的簡単なことやパクチーブームに後押しされて、家庭菜園で栽培することが増えていますが、葉の収穫を目的とするケースがほとんどなので、パクチーの花が咲く前に根ごと抜いてしまうことも多いです。
パクチーの種蒔きと開花
パクチーの春蒔きは4月頃に行います。春蒔きの生長は早く、葉が育ってから夏に花が咲くまでが葉の収穫期です。一方、秋蒔きは9月頃行い、極寒期まで収穫します。秋蒔きの株も生長は止まるものの枯れずに冬を越せれば、また春から収穫できます。春蒔きでも冬蒔きでも、バクチーの花が見られる時期は一般的に5~7月頃になります。
パクチーの花は食べられるのか
結論から言うと、パクチーの花は食べられます。料理に使うとすれば、やはりやわらかい葉の部分が一般的ですが、毒性の有無で見ると、食用に育てて収穫したパクチーは、葉、茎、根、花、それからコリアンダーと呼ばれる種まで、全草を食べてよい野菜です。
パクチーの花に特別な毒性はない
食用の野菜でも、花や種子など、一定の部分に毒をもつものがあり、家庭菜園で栽培するときにも注意喚起されている種類があります。例えばモロヘイヤはサヤや種子には毒があり、ひどい中毒を起こすことが知られています。体質やアレルギーへの配慮は必要ですが、パクチーは花を含めどの部分にも特別な毒はもっていません。
パクチーの収穫のタイミング
家庭菜園でパクチーを育てる場合、パクチーのどの部分を重点的に収穫したいかによって、管理や収穫のタイミングが異なります。やわらかい葉を長期間モリモリ収穫したいならば、できるだけ花を咲かせない管理が大切ですし、香辛料になる種(コリアンダー)を収穫したいならば、結実のために花を咲かせ、葉の収穫は一定のタイミングでやめることになります。
- 葉をたくさん収穫したいなら→花を咲かせない
- 種まで収穫したいなら→花を咲かせる
パクチーの花芽がポイント
小規模な家庭菜園でパクチーを育てる場合、根は残したまま、大きくなった葉から除々に摘んで収穫し続けるのがおすすめです。とはいえ、葉の収穫を始めて1~2カ月すると株が熟し、パクチーは花芽をつけ、いわゆる薹(とう)が立った状態になります。花芽は違う植物のような細長い形の葉をつけているので見分けられます。
花芽を摘み花を咲かせない
出てきた花芽をそのままにしておくと、パクチーは根から吸い取った養分を開花と結実に集中して使っていくので、食べるのに適した新しい葉っぱが出てこなくなってしまいます。長期間続けて葉を収穫したいなら、できるだけ早いタイミングで花芽を見つけて摘み取り、花を咲かせないことが重要です。
花芽を残し花を咲かせる
逆にパクチーの花自体を収穫し鑑賞したり、花のあとにできる種(コリアンダー)を取りたい目的があるならば、出てきた花芽を大切に残して育て続け、花を咲かせることが重要です。葉っぱの収穫は残念ながらこのタイミングでストップすることになります。
パクチーの花が咲いたら
家庭菜園のパクチーに花が咲いてしまったら、もう葉の収穫は望めないので、がっかりしてしまいますが、引き抜くのは少し待ってください。パクチーの花が咲いたら、対処法として、花そのものを鑑賞する、花のいろいろな食べ方を試してみる、種を取るなど、楽しみ方がたくさんあります。
花を飾って見て楽しむ
花そのものがパクチーは可憐で美しいので、しばらくそのまま咲かせて鑑賞するのがおすすめです。畑から刈り取り、切り花として飾ったり、他の花とアレンジしてみたりすると部屋の彩りになります。今まで大切に育ててきたパクチーなので、今度は目で見て楽しみましょう。
花のさまざまな食べ方を堪能する
パクチーの花は食べられることを既にご案内しましたが、花が咲いたら、いろいろな食べ方を試してみてはいかがでしょうか。花を生のままサラダに加えたり、他の料理やフルーツにトッピングする食べ方がよく紹介されています。見た目にこだわらないなら、火を通す食べ方もよいでしょう。
種(コリアンダー)を取るまで育てる
パクチーの花が咲いたら、種を収穫するのも一つの楽しみです。花が終わり結実し、全体が茶色く枯れたら刈り取ります。さらにカラカラに乾燥させて種を取り、湿気の入らない瓶などに保存します。種はコリアンダーという名前のスパイスになりますし、次のシーズンにまた蒔くこともできます。
まとめ
パクチーは日本の食卓によく登場するようになった野菜ですが、花としても、とても可憐で魅力的です。家庭菜園の場所が確保できなくても、プランターや鉢で、比較的簡単にパクチーの栽培はできます。葉を収穫し、花を咲かせ、コリアンダーを取るところまで育ててみるのも楽しいですよ。
出典:写真AC