ゴテチアとは
学名 | Godetia amoena (Clarkia amoena) |
和名 | イロマツヨイグサ(色待宵草) |
分類 | アカバナ科 |
開花時期 | 5〜6月 |
原産地 | 北アメリカ |
ゴテチアは、秋に種をまくと春から初夏にかけて花を咲かせる一年草です。そのため、Farewell to spring(春よさらば)とも呼ばれています。原産地は北アメリカで、アメリカ西部のカリフォルニア州に多く自生します。華やかな見た目と、育てやすい丈夫さ、多様な種類が魅力的な花です。
ゴテチアの別名
ゴテチアは別名ゴデチア 、ゴテチャともいわれます。ニュアンスの違い、なかなか紛らわしいですね。ちなみにゴテチアの和名はイロマツヨイグサ(色待宵草)といいます。これは、同じアカバナ科のマツヨイグサ(待宵草)に花は似ているけれど、イロマツヨイグサのほうが花の色が多彩で豊かなことが由来だといわれています。
学名の由来
ゴテチア(Godetia)の学名の由来はシャルル・ゴデ(Charles Henri Godet)という19世紀のスイスの植物学者の名前からきているといわれています。また、クラーキア(Clarkia)の由来はアメリカの生物学者のウィリアム・クラーク(William Clark)です。ちなみに『少年よ大志を抱け』で有名なクラーク(William Smith Clark)博士とは名前が似ていますが、別人です。
花言葉
ゴテチアの花言葉は「変わらぬ熱愛」「お慕いいたします」です。春から夏へと季節が変わっても、ゴテチアの花は変わらず美しく咲いていることからきているといわれています。素敵な花言葉ですよね。
ゴテチアの特徴
特徴①紙細工のような花びら
ゴテチアは思わず目をひくような華やかな花で、花びらは通常4枚の4花弁になりますが、この花びらがとても美しく特徴的です。透き通るような薄さに、サテンのような光沢があります。また、紙細工のようだと比喩されることもあるほど繊細です。花は2週間ほど咲き続けます。開花期間は長くありませんが、ボリュームも華やかさもあるので見栄えします。
特徴②豊かな品種と色彩
ゴテチアの花の色は赤、ピンク、白、オレンジ、紫、複色など鮮やかなものが多く、品種によって多種多様な色彩になります。自分がイメージした花壇や鉢植えに合うように、種類を選べるので個性が出せますよね。色味が違うだけで、まるで違う花のように雰囲気が変わります。
ゴテチアの種類
ゴテチアは元々ゴテチア・アモエナとゴテチア・グランディフローラの交雑によって多くの品種がうまれており、その数は約20種類ほどにもなります。品種は草丈で区別される高性種、矮性種の他、花の咲き方が異なる一重咲き、八重咲きや大輪などがあります。
種類①高性種
高く育つ高性種は切り花向き
例えばジューン、旭盃(きょくはい)、ミス長崎などが高性種になります。高性種の草丈は50〜80cmほどにまで成長するので、切り花に利用するのに適しています。特にゴテチアは花もちも良く、切り花にしたあとの管理をきちんと行えば、小さな蕾(つぼみ)まで花が咲くというお楽しみもあります。
高性種は支柱が必要
- 高性種の場合、茎が長く育つため、どうしても育つ過程で茎が倒れやすくなります。支柱を立てて支えてあげましょう。
種類②矮性種
低く育つ矮性種は花壇や鉢植え向き
矮性種にはドワーフゼム、サティンシリーズなどがあります。矮性種は花壇、鉢植え用に品種改良されたもので、こちらの草丈は15〜20cmほどに成長します。摘心すると分枝するので、ボリューム感たっぷりのかわいい花壇、鉢植えになります。こちらは支柱を立てなくてもすむため、自信がない初心者や手間を減らしたい方には矮性種のほうが育てやすいでしょう。
ゴテチアを育てる前に
育てやすさ
ゴテチアは寒さに強く、耐寒性があります。また、やせた土地でも育つ丈夫な花なので、比較的育てやすいでしょう。ただし、特に冷え込む時期や場所では霜除けをして、肥料のあげすぎにも気をつける必要があります。
環境
ゴテチアは水はけが良い土地、日当たりの良い場所を好みます。土は乾き気味のほうが良いので、ジメジメしているようでしたら、腐葉土を混ぜるなどして対処してください。ゴテチアは連作障害(立枯病など)が出る可能性があるため、2年連続で同じ場所で育てることは避けたほうが良いです。また、酸性土を嫌うので、石灰などで中和しましょう。
病害虫
ゴテチアは病害虫には強く、それほど神経質になる必要はありません。しかし、全く病害虫にかからないわけではないので、大事な点はおさえておきましょう。
立枯病(たちかれびょう)になれば抜いてしまうしかない
立枯病とは、カビの一種が原因菌である病気です。根が土壌感染し、生育不良となり、しおれて枯れてしまいます。治療法はなく、立枯病になった場合は諦めて抜いて処分するしかありません。まず予防が大切なので、種や苗を植える際は清潔な土壌を選ぶようにしましょう。また、同じ場所での連作を避けるのも立枯病の予防になります。
病害虫の定番アブラムシにも注意
アブラムシといえば、道端の雑草にもよく群がっているのを見かけますよね。植物の新芽や葉、茎に集まり、汁液を吸いにくる虫です。
植物の成長を阻害したり、モザイク病などのウイルスを媒介したりします。小さいですが、繁殖力も高く厄介な病害虫なので、見つけたら大量発生するまえに早めに駆除しましょう。手で取り除くか、もしくは有効な薬剤を使うと良いでしょう。
ゴテチアの育て方
育て方①種まき
種まきなら直まき!移植するなら早めに!
ゴテチアは秋まき一年草のため、9月中旬〜10月上旬に種まきをします。まき方は土に直まきが無難です。ゴテチアは根が枝分かれしない直根性なので、移植を嫌います。若い苗であれば植え替えもできますが、植え替えをするならば早い時期にし、くれぐれも根を傷付けないように気を付けましょう。
ボタニ子
直根性とは根がまっすぐ伸びていく性質のこと!大根やゴボウのような感じだね
育て方②水やり
ゴテチアに頻繁な水やりは必要ありません。ただし、花壇、鉢植えともに、植え付け直後は土が乾かないように注意して水を与えてください。その後は花壇ならば雨に任せて大丈夫ですが、雨が降らない日が続くときは水を与えたほうが良いでしょう。鉢植えの場合は、土が乾けばそのつど水やりをしてください。
ボタニ子
こまめな水やりをしなくてもいいなんて楽ちんで素敵!でも乾燥しすぎないようにしなきゃね!
育て方③肥料
元肥に緩効性化成肥料を少し混ぜておけば、通常、追肥は必要ありません。苗の成長具合を見て、3月頃、必要ならば液体肥料を与えるといいですね。むしろ、肥料を与えすぎると、育ちすぎて倒れやすくなるので、与えすぎに注意してください。
ゴテチアの管理
前述した通り、ゴテチアは育てやすい花ですが、やはり管理は必要です。きれいな花がたくさん、長い期間見られるように、しっかり手入れをしてあげましょう。
管理①置き場所
ゴテチアの特徴である薄い花びらは雨に弱く、濡れると傷んでしまいます。せっかく咲いた花が枯れてしまうと悲しいですよね。鉢植えやプランターなどの場合、可能ならば、開花後は雨に濡れない場所に移動してあげるといいでしょう。また、水やりや肥料をあげるときは花びらにかからないように気をつけてくださいね。
管理②摘心(摘芯)
しっかりした花をたくさん咲かせるためにも、適度に摘心を行いましょう。新芽をカットするのはもったいなくて、少し抵抗があるかもしれませんが、そのほうが生育も良く、多く分枝します。咲き具合を左右するとても大切な管理です。
ボタニ子
摘心とは植物の新芽を摘み取ったり、茎をカットしたりすることだよ!これをやると花や実がたくさんできて、発育も良くなるよ!
管理③花がら摘み
ゴテチアは種がつきやすいため、種が不要の場合、枯れ始めた花は早めに摘みとってください。種をとりたい場合は、そのままにしておいて大丈夫です。
まとめ
ゴテチアは、育てやすさからは想像できないほど豪華な花を咲かせます。種類も多く、たくさんの鮮やかな花を咲かせたその姿は圧巻です。管理も専門的なことは必要ありませんし、病害虫にも強いので、おすすめです。水やりや肥料の頻度が少なく、手間がかからないのも助かりますよね。まずは種の直まきから始めてみませんか。
出典:写真AC