アッケシソウ(厚岸草)とは?特徴や見分け方・群生地などをご紹介!

アッケシソウ(厚岸草)とは?特徴や見分け方・群生地などをご紹介!

アッケシソウ(厚岸草)は、さんごそう(珊瑚草)という別名もある日本では希少な塩性植物です。北海道の卯原内などに群生地があり、美しい紅葉が見られます。今回はアッケシソウの特徴や分布、紅葉の時期、近縁種との見分け方などについて解説します。

記事の目次

  1. 1.アッケシソウ(厚岸草)とは
  2. 2.アッケシソウの特徴
  3. 3.アッケシソウの見分け方
  4. 4.アッケシソウの群生地
  5. 5.まとめ

アッケシソウ(厚岸草)とは

Photo by Akuppa

アッケシソウは海外では日常的に野菜として食べられていることもある植物で、生息地は海の波打ちぎわや塩水を含む湖の岸辺などです。日本では生息数や分布、群生地が限られている希少な塩性植物で、絶滅危惧種にも指定され、採取が禁止されています。身近ではなかなか見られないアッケシソウの魅力について紹介していきます。

アッケシソウの基本情報

出典:写真AC

名称 アッケシソウ(厚岸草)
学名 Salicornia europaea
日本での別名 さんごそう(珊瑚草)
海外での別名 シーアスパラガス、パスピエール、サムファイアー等
分類 ヒユ科アッケシソウ属の一年草(塩性植物)
日本での分布 北海道~四国地方
海外での分布 ヨーロッパ、北米、アジア地域
生息環境 海岸、干潟、塩分の多い湖沼のほとり

アッケシソウの名前について

アッケシソウはヨーロッパや北米にも分布し、シーアスパラガス、パスピエール、サムファイアーなどの名称がありますが、和名の由来はどうなっているのでしょうか。アッケシソウは、1891年に北海道の厚岸町にある厚岸湖内の牡蠣島で最初に発見されたため、町の名前に由来して厚岸草という名がつけられました。残念ながらこの牡蠣島は現在は水没してしまっています。

アッケシソウの特徴

出典:写真AC 

アッケシソウはヒユ科アッケシソウ属の一年草で、海岸や塩分の多い湿った土地に生息する塩性植物です。草丈は30cm程度で、多くの節をもち、多肉植物に似た少しムチムチした見た目がユニークです。また、秋に赤く紅葉する姿から、さんごそう(珊瑚草)という別名もつけられています。アッケシソウは、茎も葉も花も大変風変わりな形をしていますが、それぞれの特徴について解説します。

アッケシソウの茎と葉

Photo by Macleay Grass Man

アッケシソウの多肉植物のように見える主要な部分は、葉ではなく茎に分類されています。この茎にはいくつもの節が形成され、節の接合部から枝が出ており、その枝にも節があります。節の近くの少し色が異なる帯のような部分が退化した鱗片状の葉だということですが、見分けるのが難しい形状ですね。

アッケシソウの花

Photo by gertjanvannoord

アッケシソウは8~9月頃に変わった形状の花をつけます。花は非常に小さいので、見落としてしまいがちです。写真で白っぽい粒状に見えるのものが、じつは花なのです。節の境目に3個ずつセットになった形で花をつけているのが分かりますか?真ん中の花は大粒の種子を作り、両側の花は小さい種子を作るのが特徴です。

アッケシソウの見分け方

出典:写真AC 

アッケシソウと同じヒユ科の植物で、似ているものとしてはシチメンソウやハママツナがあります。これらも塩分の多い湿った土壌に生息し、秋に紅葉します。見分け方の大きなポイントは茎や葉の形の違いです。アッケシソウは、葉のように見える茎に節があり、ボコボコした形状になっているので、この特徴を知っていれば比較的容易に見分けがつくでしょう。

シチメンソウ

出典:写真AC 

シチメンソウという植物も、主に海岸の干潟に生息し、秋に赤く紅葉します。草丈は40cm程度。葉はソーセージやジェリービーンズのような形状で断面は円形。葉の先端は丸みがあり、表面はなめらかです。佐賀県の東与賀海岸などが有名で、群生が見られます。やはり希少な植物であることから、保護活動が進められています。

ハママツナ

ハママツナも同じく海岸などに生息しています。草丈は50cm程度。アッケシソウやシチメンソウが直立するのに対し、地面に沿って広がる形で成長するのが特徴です。マツナの名前のとおり葉の形状は松葉に似ていて、断面は三角形っぽい半月状です。葉先は少し尖っており、表面は滑らかです。こちらも秋の時期に赤く紅葉します。

アッケシソウの群生地

出典:写真AC 

アッケシソウは群生する特徴がありますが、群生地は限定されており、そのために逆に有名な観光スポットにもなっています。かつては塩田の跡地などに一般的に自生していたアッケシソウですが、現在ではレッドデータブックに掲載され、絶滅が危惧されています。そのため群生地は自生に任せているのではなく、人的な保護によって維持されています。

北海道:卯原内サンゴ草群生地

出典:写真AC 

北海道網走市の卯原内サンゴ草群生地(群落地)は、日本で最も規模の大きいアッケシソウの群生地帯といえます。卯原内という地域は能取湖畔に位置するので、能取湖サンゴ草群生地というなど、呼び方はいろいろで、9月中旬の紅葉真っ盛りの時期に「さんご草まつり」が開かれます。こちらのアッケシソウは自生しているものもありますが、地域の手厚い保護により守られています。

岡山県:寄島アッケシランド

岡山県浅口市寄島町の干拓地にも、寄島アッケシランドという名称のアッケシソウ群生地があります。この地域のアッケシソウも大切に保護され、市で天然記念物に指定しています。10月中旬の紅葉の時期にアッケシソウ祭りが行われるなど、美しい観光スポットとして有名な群生地です。

まとめ

出典:写真AC 

個性的な見た目と真っ赤な紅葉が美しいアッケシソウ。興味を持たれた方は、アッケシソウの群生地を目指して、紅葉の時期に旅行をするのもおすすめです。ご紹介した有名な群生地のほかにも各地にアッケシソウが見られる地域はありますので、調べてみるのも楽しいかもしれません。アッケシソウの魅力的な姿をいつまでも見られるよう、保護活動を見守りたいですね。

koke_dama
ライター

koke_dama

見る人の心を癒やす植物の力。偉大ですね!

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