はじめに
ニオイバンマツリ(匂蕃茉莉)という植物は「ブルンフェルシア」や「アメリカジャスミン」、「イエスタデイ・トゥデイ・トゥモロー」とも呼ばれます。特徴ある花を咲かせることで知られ、人気があります。ここでは、ニオイバンマツリの特徴や注意するべき点、花言葉をご紹介します。
ニオイバンマツリの特徴
ニオイバンマツリは木の仲間
ニオイバンマツリは木の仲間です。常緑中木で、高さ約2~3mほどになります。葉の色は濃い緑で、2~4cmくらいの花が咲きます。原産国は中南米ですが、寒さにも比較的強い傾向があります。葉が落ちることがありますが、霜が降りるほどの寒さでなければあまり寒さ対策をせずに簡単に育てられます。温室や室内などで観賞用に育てている方も多い植物です。
挿し木で増やす
梅雨頃から9月頃までに挿し木で増やせますが、根がでてくるのが1か月くらいかかるので、枯れたかな?と思ってもしばらく処分しないで様子をみましょう。
ニオイバンマツリの花の色
ニオイバンマツリは1つの株に紫と白の花が咲くことで有名です。紫色に咲いた花の色が数日かけて少しずつ白色に変わります。花が咲いてから散るまでの期間が長く、同時期に紫と(途中経過で薄い青)白の花が咲きみだれます。
ニオイバンマツリの花の香り
ニオイバンマツリはジャスミンの花とよく似た、甘くてかなり強く香る花を咲かせます。昼間よりも夜の時間帯のほうが強い香りで咲くといわれています。
花の咲く時期
ニオイバンマツリの花がよく咲く時期は4~7月頃です(地域によっては時期が前後に少しずつずれたり、春と秋に2回咲く場合もあります)。中南米原産の植物なので、温度を高めに保って栽培するとより長い間咲き続けます。
ニオイバンマツリの毒性
強い毒性を持つニオイバンマツリ
実はニオイバンマツリは毒性があるので、栽培には注意が必要です。「アルカノイド」という神経性の毒で、体に吸収されるととても危険です。木全体に毒を含んでおり、特に種や実に強い毒性があります。
アルカノイドの中毒症状
ニオイバンマツリの種や実に含まれるアルカノイドが体に吸収されると1時間もしないうちに嘔吐や眼球の激しい揺れ・ふらつきなどの中毒症状がでて、死という最悪の事態を招くこともあります。小さな子供や犬・猫などのペットがいる場合、強い毒があることを知らずに口に入れてしまわないよう、栽培する場所などには特に注意が必要です。
ニオイバンマツリとジャスミンとの違い
香りがよく似ているニオイバンマツリとジャスミンですが、花びらには違いがあります。ニオイバンマツリは短めで丸みを帯びた花びらで、ジャスミンは細長い形の花びらです。また分類もそれぞれ違います。ニオイバンマツリはナス科ブルンフェルシア属、ジャスミンはモクセイ科ソケイ属です。
名前の由来
ニオイバンマツリ
ニオイバンマツリ(和名)は漢字での表記は「匂蕃茉莉」です。「匂」は強く香る状態、「蕃」は外国からもたらされた植物を示しています。「茉莉」はジャスミンの中でもソケイ属という分類の植物に使われる漢字です。ニオイバンマツリの花の香りがジャスミンの花によく似た香りなので、分類は違いますがこの漢字があてられています。総合すると「外国からきた、強い香りで、ジャスミンに似ている香りの花」という意味になります。
ブルンフェルシア
ブルンフェルシア(別名)は「ブルンフェルシア・アウストラリス」ともいいます。ブルンフェルシアの属しているブルンフェルシア属という分類名が、16世紀ごろのドイツに活躍した植物学者ボックやフックスと共に「ドイツの植物学の父」といわれる「オットー・ブルンフェルス」(医師、植物学者、神学者)から名前がついています。
アメリカジャスミン
アメリカジャスミン(別名)は原産国の中南米から由来してつけられています。日本には明治末期頃に入ってきたといわれています。
イエスタデイ・トゥデイ・トゥモロー
イエスタデイ・トゥデイ・トゥモロー(英名)は、紫で咲き始め花が2~3日かけて毎日少しずつ白へと変化していく様子からつけられています。
ニオイバンマツリの花言葉
ニオイバンマツリの花言葉には「浮気な人」「情熱」「熱心」「幸運」があります。花の色が少しずつ紫から白に変わっていく様子から「浮気な人」という花言葉がついています。花の名前の由来にもなっている「オットー・ブルンフェルス」が植物の研究に大変熱心で、「情熱」「熱心」は彼をイメージさせる花言葉ですね。
ニオイバンマツリの名所
ニオイバンマツリの名所として有名な場所の1つに南伊豆下田にある了仙寺(別名:ジャスミン寺)があげられます。寺の敷地内にはニオイバンマツリが1000本以上も植えられており、大体5月中旬から下旬が見ごろです。その頃になるとところ狭しと咲き乱れ、とてもよい香りでいっぱいになります。ぜひ一度、ご訪問・ご堪能下さい。
まとめ
紫から白へのグラデーションのニオイバンマツリは、大きな株になればなるほどが見ごたえがありますね。あまり手をかけなくても大きく育ちやすいので、注意点に気をつけながら、上手に育てて花の色と香りを楽しみましょう。
出典:写真AC