ジンジャーリリーってどんな植物?
ジンジャーリリーとは
学名 | Hedychium coronarium |
別名 | ハナシュクシャ(花縮砂) ハナショウガ(花生姜) バタフライリリー |
属性 | ショウガ科ヘディキウム(シュクシャ)属 |
分類 | 半耐寒性多年草(春植え球根植物) |
草丈 | 1~2m前後 |
耐寒暑性 | 耐暑性:強い 耐寒性:やや弱い |
ジンジャーリリー(ハナシュクシャ)の原種は40種。園芸品種は70~80種にものぼるとされています。その原産地は東南アジアからインドにかけてといわれ、日本には江戸時代末期に伝わってきました。日本在来の植物とは大きく違い、漢方としての効能を持ち、エキゾチックな雰囲気と芳香を放つジンジャーリリーは、その後日本でも品種改良され、たくさんの園芸種が生み出されてきました。
ジンジャーリリーの名前と別名
ジンジャーリリーの名前の由来
ジンジャーリリーは『ジンジャー』と呼ばれることもありますが、一般的な食用の生姜とは全く違います。ジンジャーの名前は同じショウガ科の植物であるところからきています。生姜との大きな違いは薬味として使用できないことでしょう。根からはほのかに生姜のような匂いがしますし毒性はありませんが、食用ではありません。そして『リリー』は芳香と花の姿がユリを思わせるところからきています。
和名:花縮砂(ハナシュクシャ)
ハナシュクシャ(花縮砂)とはどういった由来でついた名前なのでしょう。まずは『縮砂』という植物があることからご説明しましょう。縮砂の果実の外見は表面が縮んでシワになり、中には砂粒のような種が詰まっていたことからこの名がつきました。そして乾燥した種子が縮砂によく似ているジンジャーリリーは、花の咲く縮砂というところからハナシュクシャの名がつけられたとされています。縮砂と花縮砂。名前は似ていますが植物としては全く違います。
別名:バタフライリリー
バタフライリリーの『バタフライ』の由来は、ジンジャーリリーの花の形を見れば一目瞭然でしょう。蝶が羽を開いたような形の花弁はなんとも華麗です。白い花色のハナシュクシャの場合、モンシロチョウが驚きそうなかなり大きなバタフライとなりそうですね。
ジンジャーリリーの効能
ジンジャーリリーには漢方ハナシュクシャとしての側面もあり、その種子の効能は消化器系に働きかけ、整腸や消化剤として用いられます。また別の効能として、地下茎の精油成分が鎮痛の役割を持つともいわれています。そして漢方としての効能はすばらしいのですが、ジンジャーリリーの場合、なによりもその芳香が精神を和らげる癒しの効能となっているのではないでしょうか。
ジンジャーリリーの生態
ジンジャーリリーの花
ジンジャーリリーの開花期は8月~10月末頃までと長く楽しむことができます。花の形は非常に複雑で、花弁のうち外花弁3枚は付け根が合わさった形状になっています。同様に内花弁3枚も付け根がくっつき合い、その先端は3つに分かれています。そしてもう1枚大きな花弁がありますが、これは雄しべが変化したものです。雌しべは長くせり出した雄しべの先端についています。
ジンジャーリリーの葉
ミョウガやショウガによく似た葉は長い楕円状で、互生(葉軸に対して互い違いにはえる)しています。花やつぼみのない葉だけの状態でしたら、巨大化したミョウガに見えてしまうかもしれませんね。
ジンジャーリリーの実
ジンジャーリリーは、花のあとにオレンジ色の実をつけます。この中には粘り気のある赤い種子が入っているのですが、鳥が好んで食べることによってさまざまな地域へと運ばれ、大繁殖する要因となっています。そしてその繁殖力の強さから、国連保護連盟や日本においてもジンジャーリリーは有害植物として指定されています。
ジンジャーリリーの根茎(球根)
ジンジャーリリーは基本的に根茎で増えていきます。外見はどちらかというと、生姜というよりは横に伸びた里芋といった感じでしょうか。それでも食用ではありませんのでご注意ください。地中に埋まった細長い根茎についた芽は、南をめざして真横に伸び、その下に根が伸びていきます。
写真:生姜の根