半夏生(ハンゲショウ)とは
ハンゲショウは本州より南の広い地域に分布する多年草です。水辺や湿った土地を好む性質があり、庭や植物園、お寺などで栽培されているほか、池や川のほとりに自生し群落をつくっていることもあります。ハンゲショウの草丈は比較的高く1mくらいになりますが、目につくのは花の時期の7月前後です。花は小さく目立ちにくいのですが、この時期に白く色を変える葉に大きなインパクトがあります。
ハンゲショウの基本情報
名称 | ハンゲショウ(半夏生) |
別名 | 半化粧 片白草 |
学名 | Saururus chinensis |
科属 | ドクダミ科ハンゲショウ属の多年草 |
原産地 | 日本、朝鮮半島、中国、フィリピンなど |
草丈 | ~1mくらい |
開花時期 | 6月~8月 |
日本での分布 | 本州以南 |
生育場所 | 水辺や湿った土壌 |
ハンゲショウの名前について
もともと「半夏生」という言葉は日本の古い暦の中にある雑節の一つを意味し、節分や彼岸などと同じく季節の節目を表します。今でも、この時期にタコやサバを食べる風習が残っていますね。半夏生がいつなのかといえば、夏至(6月21日頃)から11日後の7月2日頃を指し、昔は田植えを完了させなければいけない時期の目安にしていたそうです。
名前の由来は半夏生の頃に咲くことから
今回ご紹介している植物のハンゲショウの名前は、暦の半夏生の時期に花が咲くことに由来するといわれています。暦の雑節がそのまま植物の名前としてつけられたのですね。半夏生が生け花の花材などでよく使われているのは、季節の節目を感じさせてくれる植物だからなのでしょう。
ハンゲショウの特徴
特筆すべきハンゲショウの特徴といえば、なんといっても白い葉です。まるで絵の具で塗られたような、またはそこだけ漂白されてしまったかのような葉の状態を実際に目にすると、驚くこともあるでしょう。また、穂にたくさんついて開花する半夏生の花や、たくましい地下茎や根など、他にも特徴がいろいろありますので、それらについて紹介していきます。
葉の特徴
葉の一番の特徴は、花期にあわせて花穂に近い上部の葉だけが白くなることです。半夏生・半化粧という名前からは、半分だけが白くなるようにも思えますが、1枚の葉の全体が白くなる場合もあります。葉の長さは10cm前後で、楕円形または長めの卵型をしており、葉脈がくっきりしています。
花の特徴
6月~8月頃に、ハンゲショウは15cm前後になる花穂を出し、無数の細かい花をつけます。花穂ははじめはお辞儀をするような形ですが、下から除々に白っぽい花を咲かせながら伸び、直立します。個々の花は直径2mm程度と小さく、花びらがないのが特徴です。細かいつぶつぶのようなものは、中心の雌しべと、それをとり囲む6本の雄しべです。
地下茎と根の特徴
ハンゲショウは多年草で、湿った土壌に丈夫な地下茎を広げて増えていきます。冬には、葉や茎といった地上に出ている部分は枯れてしまいますが、地下茎とそこから生えている根はしっかり生きていて、春になると芽を出します。地下茎は旺盛に生長しますので、特に鉢での栽培の場合は、株分けや植え替えをして根詰まりを防ぐことが大切です。
葉が白く変化する理由
白い葉があることがハンゲショウの際立った特徴ですが、葉色が白くなる理由について気になりませんか?ハンゲショウは雑節の半夏生の時期、つまり7月上旬前後が開花時期です。その時期に合わせて花に近い上方の葉の一部が白く変色しますが、花の時期が終わると、また緑色に戻ります。葉が白くなる現象の原因と目的を説明します。
葉が白くなる原因
ハンゲショウの葉が白くなる原因は、葉の葉緑体が葉緑素を作らなくなるためです。お化粧のように上から何かを塗ったようにも見えますが、実際には葉緑素が作られなくなり、緑色の色素が抜けてしまうのです。そして花期のあとに緑色に戻るのは、また、葉緑体が葉緑素を作りはじめるからだということです。
葉を白くする目的
では、何のために葉緑素が抜け落ちる現象が起きるのでしょうか。ハンゲショウが花の時期にのみ上方の葉を白くする目的は、花の近くの葉を目立たせて受粉を担う虫を呼ぶためだといわれています。花が小さいうえに花びらがないので、葉を白い大きな花びらのように見せかける効果があるようです。お化粧をして虫をひきつけていると考えると、すごい戦略だと思いませんか。
ハンゲショウの花言葉
ハンゲショウの花言葉の代表的なものは「内気」と「内に秘めた情熱」の2つです。相反する言葉としても解釈できますが、「内気」に見える人も、心の奥に「内に秘めた情熱」を持っていると解釈すると、非常に深みがあるように思えませんか。清楚で、おとなしそうでありながら、凛と立つハンゲショウの姿にぴったりの花言葉ではないでしょうか。
まとめ
葉を白く変化させ、花穂を風に揺らすハンゲショウは、夏を感じさせてくれる植物です。ハンゲショウは水際や湿地を好んで自生するので、池や川の近くで探してみてはいかがでしょうか。ハンゲショウの名所となっているお寺や公園もありますので、花の時期をねらって見に行くのもいいですね。しかし、最近は生息数が減り絶滅が危ぶまれている地域もありますので、大切にしていきたい植物ですね。
出典:BOTANICA