オオアレチノギクの特徴
基本情報
学名 | Conyza sumatrensis |
和名 | 大荒地野菊 |
区分 | キク科イズハハコ属 |
原産地 | 南アメリカ |
生息地 | 荒地・空き地・道端 |
開花時期 | 8~10月頃 |
オオアレチノギクの原産地
原産地は南アメリカ
オオアレチノギクはパナマ海峡より南側に位置した南アメリカ原産の植物で、日本に入ってきたのは昭和初期以前。海外からほかの植物と共に人間の手によって持ち込まれて野生化し、昭和の始めに帰化植物と認定されました。
オオアレチノギクの花の特徴
花の直径3~3.5cm、長さは5~6センチ
無数に枝分かれした茎の先端ひとつひとつに花芽をつけ、つぼみは円錐形で成長するにつれ下ぶくれ状に膨らみ、花が咲く頃になると上部が開いて円筒形になります。花の直径は3~3.5cmで、付け根から花の先までの長さは5~6センチほどになります。
花びらは白や淡褐色で舌状花
ガクに隠れてあまり目立ちませんが花びらの色は白や淡褐色で、形はキク科の植物によく見られる舌状花になっています。たくさんの花びらがあるように見えて、じつは数枚がくっつき1枚の花弁になっている花びらのことを舌状花と言います。
オオアレチノギクの茎と葉の特徴
茎の高さは1~2m
灰みがかった緑色の茎は成長すると高さが1~2mになり、上部になるほど枝分かれしますが葉の数は少ないです。地表からまっすぐに伸びる茎には細かな短毛があり、短毛は虫の食害や外的損傷から茎を守る役目をしています。
葉は灰みがかり、びっしりと短毛がある
葉も茎と同じうっすらと灰色をおびた緑色で、葉の両面には茎の短毛より短い毛がびっしりとはえています。地中に近い根葉はロゼット状(円を描くよう)にはえ、切れ込みが浅く数も少ないギザギザ(鋸歯)が葉の縁にありますが、茎上部の小さな葉や生えたばかりの葉にはギザギザがありません。
オオアレチノギクの綿毛の特徴
綿毛は風に乗って種を運ぶ
ガクの中で育つ1~1.5mmほどの果実から、長さ約4mmほどの冠毛が数十本はえています。開花時期のガクはあまり開きませんが、花が枯れてからガクが開き冠毛も広がって丸い綿毛状になります。綿毛はすっかり乾燥すると風に乗って飛び、種を運ぶ役目をはたします。
オオアレチノギクの生息地
生息地は荒地・空き地・道端など
オオアレチノギクは荒地や空き地、道端などに多く生息し、野生化したものが東京で確認されたのは1920年頃。今では本州から九州地方の広い範囲でみられ、旺盛な繁殖力で農作地や牧草地にも自生し、在来植物を駆逐する恐れがあることから問題となっています。
オオアレチノギクは要注意外来種
日本の侵略的外来種ワースト100に選ばれている
「侵略的外来種」とは動植物の生態系や人間の活動に対して害となる影響を与える植物や生物のことで、オオアレチノギクは日本の侵略的外来種のワースト100に選定されています。法律によって輸入や栽培が規制され、必要に応じて防除される外来生物法のリストにも入っています。
オオアレチノギクの仲間
オオアレチノギクの仲間には「ヒメムカシヨモギ」や「アレチノギク」などがあります。同じキク科で見た目もだいぶ似ていますが、それぞれのポイントとなる特徴とオオアレチノギクとの見分け方を解説していきます。
①ヒメムカシヨモギの特徴
基本情報
和名 | 姫昔蓬 |
区分 | キク科ムカシヨモギ属 |
原産地 | 北アメリカ |
生息地 | 荒地・道端・線路沿い |
開花時期 | 8~10月頃 |
別名 | 鉄道草 |
原産地は北アメリカ
北アメリカ原産のヒメムカシヨモギは日本全土に生息し、おもに荒地や道端などで見られます。名前の由来は「ヒメ=姫(花が小さいため)」、「ムカシ=昔(明治維新の頃もたらされた植物)」、「ヨモギ=葉がヨモギの葉に似ている」ことからつけられました。
ヒメムカシヨモギの見分け方
見分け方のポイントは花の色と毛の長さ
ヒメムカシヨモギは花びらの色が白く、舌状花はオオアレチノギクよりもガク片からでていて花びら1枚1枚が確認しやすくなっています。茎や葉など全体にある毛の長さはオオアレチより長く、まばらに生えているため葉を触るとざらつきを感じます。
②アレチノギクの特徴
基本情報
和名 | 荒地野菊 |
区分 | キク科イズハハコ属 |
原産地 | 南アメリカ |
生息地 | 荒地・空き地・道端 |
開花時期 | 4~6月頃 |
明治中期頃に日本へ渡来
明治時代の中期に日本へ入り帰化植物となったアレチノギクは、しばらくのあいだ日本全国で盛んに繁殖しましたが、最近では仲間のオオアレチやヒメムカシが増えてアレチノギクは少なくなりました。成長しても茎の高さが30~50cmと低く、花全体が寸胴で樽のような形をしています。
アレチノギクの見分け方
アレチノギクの花は大きめでずんぐりしている
アレチノギクは花の直径が4.5cmとオオアレチノギクより大きめで、花びらがガクからほとんどでないためずんぐりしています。オオアレチは夏のおわりから秋にかけて咲きますが、アレチノギクの開花時期は4~6月で春咲きの花です。
オオアレチノギクの駆除の仕方
荒地や道端などさまざまな土壌や環境に適応する性質を持ち、光や養分・水分に対して競合する力も強いため、畑の作物や在来植物の害になっている植物。1株辺りの種の数は10~11万個と言われるオオアレチノギクの駆除には、つぎの3つの方法があります。
駆除方法①刈り取り
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草刈カマを使って駆除する
草刈カマを使って葉や茎を地表近くで刈り取り駆除する方法です。根に対して効果がないため、とりあえず葉や茎だけを取り除く作業になります。草刈カマには柄の長いものと短いものがありますが、初心者は柄の短いものが使いやすくおすすめ。
駆除方法②抜き取り
根っこを抜き取り株全体を駆除する
根っこの対策として有効なのが抜き取り作業。刈り取りでは根が残りそこから新しい芽がでてきますが、根っこをすべて抜くことで全体の駆除ができます。ただし根の駆除は株が小さいほど効果的で、株が大きくなると根も複雑に伸びて抜き取りが困難に。株が小さいうちに専用の草取り器具を使って抜くと、比較的簡単に抜くことができます。
駆除方法③除草剤
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除草剤で広範囲に駆除する
広範囲に自生するオオアレチノギクを、地表部だけでなく根までしっかり枯らすために効果的なのが除草剤を使った駆除方法です。除草剤には地表部だけを枯らすタイプや、根も一緒に枯らすタイプなど種類がたくさんあります。除草成分の「パラコート」に対して耐性がある植物なので、パラコートが入っていないものを選ぶようにしましょう。
オオアレチノギクにおすすめの除草剤
土壌や環境への適応性が高く繁殖する力も強いオオアレチノギクをしっかり枯らすには、刈り取りや抜き取りでは時間がかかってしまいます。茎や葉だけでなく根っこも枯らすために、おすすめの除草剤を3つ紹介します。
おすすめの除草剤①サンフーロン
サンフーロンは水で希釈してから使用するタイプの除草剤で、ジョウロなどで希釈したものをオオアレチノギクに直接散布して使います。散布は雨の日を避け、晴天であれば6時間ほどで吸収されて根っこまで強力に枯らします。
おすすめの除草剤②バスタ
バスタの大きな特徴は、散布後2~5日ほどで枯れはじめる効き目の速さと、長期間効果が持続する点にあります。効き目が強いので散布するさいは枯らせたくない植物にかからないよう、ジョウロの「はすのみ(水がでる部分)」の両脇にテープを張り、出口を狭めて撒くようにします
おすすめの除草剤③ラウンドアップマックスロード
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ラウンドアップマックスロードは速効性と持続タイプの除草剤で、散布後は葉から取り込まれ根まで枯らします。散布のさい土に落ちた液には除草効果がなく、落ちた除草液の成分は微生物が分解します。ボトルの口がシャワータイプになっているので、希釈せずにそのまま散布できます。
まとめ
荒地や道端に自生するオオアレチノギクは日本に帰化した植物で、花弁があまり目立たない小さな花をつけます。花が小さくても花数は多く、1株が持つ種の数は10万以上と非常に繁殖力が高いためほかの植物を脅かす存在に。日本では要注意外来種に認定され、国や自治体が必要によって駆除をする植物のリストに入っています。
畑の作物や庭の植物を守るために、効果的な駆除の方法はつぎの3つ。
- 株の刈り取り
- 株の抜き取り
- 除草剤を使う
出典:写真AC