ヤマハギ(山萩)とは?特徴や見分け方から育て方までご紹介!

ヤマハギ(山萩)とは?特徴や見分け方から育て方までご紹介!

ヤマハギ(山萩)は、蝶形の可憐な花をつけて、クローバーのような葉が特徴です。秋の七草の1つで、古くから親しまれています。夏から秋にかけて花期が長く、「散り零れる」という雅な言葉がふさわしいヤマハギの特徴や見分け方、育て方を詳しく紹介します。

記事の目次

  1. 1.ヤマハギ(山萩)とは?
  2. 2.ヤマハギ(山萩)の特徴
  3. 3.ヤマハギ(山萩)の見分け方
  4. 4.ヤマハギ(山萩)の育て方
  5. 5.まとめ

ヤマハギ(山萩)とは?

出典:BOTANICA

ヤマハギ(山萩)は一般的に「ハギ」と呼ばれている落葉低木で、日本全国の山野で見かけます。秋の七草の1つであり、中秋の名月にススキと一緒にハギを生ける風習があります。「ハギ」は品種名の1つではなく種類全体を指す言葉で、一般的に「ハギ」と呼ぶ場合はヤマハギやミヤギノハギのことを指します。

基本情報

名前 山萩(ヤマハギ)
学名 Lespedeza spp.
分類 マメ科 ハギ属
別名 ハギ/エゾヤマハギ
鹿鳴草(シカナクサ)
秋知草(アキシリクサ)他
形態 落葉低木
分布 日本全国、東アジア
草丈 2m~3m
開花時期 7月~9月

名前の由来

出典:写真AC

ハギの名前の由来は諸説ありますが、古い株の根元から新しい芽が出てくるため「生芽(はえき)」という意味からきています。万葉集の中で一番多く詠まれている植物で、「芽」「芽子」の字を「ハギ」と詠んでいる句があります。

ヤマハギ(山萩)の特徴

出典:BOTANICA

ヤマハギ(山萩)は、ハギの種類の中でも古くから日本に自生して、枝が細めで高く伸びます。枝を束ねて作った生け垣は「萩垣(ハギガキ)」と呼ばれ、冬の寒さをしのぐために一時的に設置する冬の風物詩として見かけられます。ヤマハギは自然の樹形に見どころがあり、花期から紅葉まで美しさを堪能できるでしょう。

特徴①花

Photo by harum.koh

ヤマハギ(山萩)の花は明るい紅紫色で、直径1cmくらいの小さな蝶の形をしています。ハギ類の特徴でもありますが、花期が長く満開の時期がはっきりしないまま花が散ります。散り方は花弁ごとポロポロ落ちて絨毯のように積もるので、「零れ萩(こぼれはぎ)」と表現され、俳句の季語にもなっています。

特徴②葉

出典:写真AC

ヤマハギ(山萩)の葉は、クローバーのように丸みがあり、英語名はBushCloverです。葉にギザギザはなく、3枚の楕円形の葉が複数ついて、厚みはありません。葉の下面に伏毛(ふくもう=茎や葉の面にピッタリ付着して寝ている毛)が多く生えていますが、時間がたつとなくなります。

ヤマハギ(山萩)の見分け方

出典:BOTANICA

ヤマハギ(山萩)の見分け方は、枝の垂れ具合や葉の形、花の色をみるとよいです。ヤマハギは枝があまり下に垂れず、横方向またはまっすぐに伸びます。他の種類より枝が細身で、背丈が高くなりやすいため、野山で見かけると株が広がっていることが多いでしょう。自然の中で見かけるヤマハギの控えめな素朴さが、古くから親しまれています。代表的な種類を紹介しましょう。

ミヤギノハギ

ミヤギノハギは別名「センダイハギ」や「ナツハギ」と呼ばれます。赤紫色の花が美しく垂れるのは枝にやわらかさがあるからです。ヤマハギとの見分け方は、枝の垂れ方や葉の先が尖った形をしているかどうかです。

ツクシハギ

ツクシハギは本州から九州にかけて自生する日本固有種です。ヤマハギとの見分け方は、花の色が淡い紅紫色で白さが目立ち、ツヤが出ていることと、葉がすこし細身で厚みがあることです。名前の由来は、初めて発見された場所が福岡県であることからきています。

ボタニ子

ボタニ子

次ページからはヤマハギの育て方を紹介するよ!

ヤマハギ(山萩)の育て方

出典:写真AC

ヤマハギ(山萩)は自生していることが多いですが、他の種類と同様に庭木や鉢植えで育てられます。株の生長がよく背丈が伸びやすいので、毎年剪定して適度な大きさを保つようにしましょう。あまり余計な手を掛ける必要はないので、育て方はシンプルです。

場所

出典:写真AC

ヤマハギ(山萩)は日当たりがよくて水はけのよい場所を好みます。日あたりが悪いと花芽が付きにくいです。マメ科の植物と共生する根粒菌が根にいるため、栄養分のチッ素を十分吸収して、痩せた土地でも問題なく生育します。水はけが悪いと周囲に水たまりが多くなったり、鉢底から水が落ちるまでの時間が普段より長くなります。

用土

Photo by yto

ハギは根に根粒菌がいるため、痩せた土地でも育ちます。適度な環境を作るには、赤玉土5:鹿沼土2:腐葉土3の割合で配合するとよいでしょう。鉢植えにする場合は、赤玉土の小粒や中粒が使いやすく、一般的に販売されている草花用の土で問題ありません。腐葉土は通気性や保水性、保肥性があり使い勝手がよいです。

植え付け

Photo by yosuke watanabe

ヤマハギ(山萩)の植え付けは、苗から育てます。種を蒔くこともできますが、一般向けに販売されていないので手に入れにくいです。庭植えの場合は、株より一回り大きい穴を掘って植え付けます。鉢植えの場合は鉢底石を敷いて苗は浅めに入れ、土は山高になるように入れ込みます。水をあげて固定して、背が高くなってきたら添え木で倒れないようにします。

水やり

Photo by sorarium

庭植えの水やりは、夏場の乾燥に気をつける以外は降雨のみで問題ありません。鉢植えの場合は、表面の土が乾いたらたっぷりと水を与えます。水の量は、受け皿に水がたまるぐらいを目安にしましょう。生育期(4月~7月頃)に水が足りないと葉が枯れてしまうので注意が必要です。

肥料

出典:BOTANICA

ヤマハギ(山萩)は根粒菌からチッ素を得ているので、肥料をあまり与えなくても育ちます。株を小さめに育てたい場合や鉢植えの場合は、肥料は与えずに育てましょう。庭植えで大きく生長させたい場合は、1月~3月に寒肥(かんごえ)として緩効性肥料や油かすを与えるとよいです。チッ素分は足りているため施す必要はありません。

剪定

Photo byCarlottaSilvestrini

剪定は、ヤマハギ(山萩)を育てる過程で一番大切です。ヤマハギは生長が早いため、手を加えないと株が広がります。剪定に適している時期は、落葉期の11月~3月と新梢が伸びる5月~6月です。1回目は、11月~12月または1月~3月の間に株元から15cm前後に切り戻します。古い枝に花芽は付かず、枝を放っておいても寒さで枯れるため、剪定は必須です。

出典:写真AC

2回目の剪定は、株の大きさの調整や花付きを良くすることが目的で、春に新しく伸びた枝を好みの長さに切りそろえます。この時期の剪定は、遅くなると花付きに影響がでますので、花芽が付く前のタイミングが重要です。ヤマハギ(山萩)は自然形に趣があり枝の長さも特長の1つのため、この時期の剪定はお好みで大丈夫です。

病害虫

ヤマハギ(山萩)は丈夫で、あまり病気や害虫がつかない植物です。しかし新芽が伸び始めるころ、アブラムシが発生する場合があります。アブラムシは短期間で大量発生しやすいので、見つけたらすぐに駆除しましょう。葉の裏側に防虫として薬剤を吹き付けておくと効果があり、共存するアリの駆除や反射板で光を当てる方法も防虫対策になります。

増やし方

Photo by frontriver

ヤマハギ(山萩)を増やす方法は、種まきや株分け、挿し木の3つです。種まきは、採取した種の表面に傷をつけて一晩水に浸したあと、約1.5cmの深さの土に重ならないように蒔きます。薄く土をかぶせて、水を切らさないように明るい日陰で発芽まで育てます。

ヤマハギ(山萩)の株分けは、落葉期に枝を切り戻しをしたあと根を深めに掘りおこして、株を縦に割るように地中の新しい芽を2~3個まとめて一株にします。挿し木をする場合は、2月頃に前年の枝の中から少し太めで枯れていない枝を20cm程度に切って、枝の下2/3が入るよう深めに土に入れます。

まとめ

Photo by houroumono

ヤマハギ(山萩)は蝶のようなかわいい花がたくさんつけます。派手さはない植物ですが、クローバーのような葉も品があり、伸びやかな枝は一緒に生ける他の花と調和しやすいです。葉の紅葉も見事で、夏から秋にかけて茶花としてもよく使われます。中秋の名月と、月見団子にススキとハギは定番です。ヤマハギを育てて季節を感じてみてはいかがでしょうか。

buusencho_sunu
ライター

buusencho_sunu

分かりやすい文章を書きたいと心がけていますが、まだまだ修行中です♪

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