簾(すだれ)とは
簾(すだれ)の意味とは?
さて、これまで葦簀(よしず)の説明でしたが、同じような素材で出来ている簾(すだれ)との違いはどこにあるのでしょうか。簾(すだれ)の漢字を辞典で調べると、「日よけや虫よけ目隠し以外にも室内で部屋の間仕切りやインテリアとしても使われています。」とあります。
簾(すだれ)が古文に描かれている意味
百人一首にも簾(すだれ)
簾(すだれ)の歴史は古く伝統工芸品の一つです。万葉集でも簾(すだれ)が和歌に読まれているので、奈良時代にはすでに身近にあったことがわかります。
伝統文化としての簾(すだれ)
また、平安時代の公家が描かれている絵にはたびたび「御簾(みす)」と呼ばれる簾(すだれ)の縁に布が付けられたものが登場します。当時から公家の住居では部屋の間仕切りや日よけとして使われていました。
簾(すだれ)5種類を紹介
素材の違い、簾(すだれ)5種類
①天津すだれ
一般的に使われているすだれです。値段もお手頃でサイズも豊富、耐久性はあまりないですが毎年買い替えを予定される方にはとても便利です。
②蒲芯(がましん)すだれ
「蒲(ガマ:湿地に生息する植物)」を素材にしたすだれ。ガマには竹やヨシのような節がなく、すっきりとした見た目と高級感が特徴です。比較的ガマは太く光を遮ることができるので西日が入るベランダや窓に適しています。
③竹千鳥すだれ
選別された竹からヒゴを作り、そのヒゴを素材としてヒゴの内側と外側を一本一本千鳥交互に編み、竹の節を揃えて作る高級すだれです。
④太葦すだれ
葦(ヨシ)を素材としているすだれです。節がなく茎が太いヨシは部屋全体が重厚感と高級なイメージを演出します。
⑤経木(キョウギ)すだれ
経木とは木の板を薄く削ったもので、経木すだれとは木を素材としたすだれ。主にシナの木が使われています。
葦簀(よしず)と簾(すだれ)違い
では、最後に、違いについてご説明します。似ている、もしくは役割として同じ部分もありますが、葦簀(よしず)と簾(すだれ)の違いは、目的、設置場所、大きさなどでわけることができます。
葦簀(よしず)
目的は?
すでに紹介の通り、葦簀(よしず)は、基本的には簾(すだれ)を利用するときと同じく、遮光、通気、遮熱を目的として使われます。ただし、葦簀(よしず)の特徴はヨシを素材とするため、植物の長所が特徴づけられます。例としては湿地で育つ植物の水に対する耐久性や茎の中が空洞ならではの冷却作用と断熱構造が挙げられます。
設置場所は?
玄関先やベランダ、縁側など大きなスペースに立てかけて使います。また、簡易な建物や露天風呂の脱衣所など、アウトドアで塀として設置することもあります。葦簀(よしず)を立てかけることで縁側や窓との間に空間ができ、雨水が入ってくるのを防ぎながら、ヨシとヨシの隙間から自然の風を室内に取り入れることができるというわけですね。ヨシの一本一本の微妙な変化から、暮らしの中にやすらぎを得られることが、大きな特徴といえるでしょう。
大きさは?
また、葦簀(よしず)は尺の単位で計り幅は6尺(約180センチ)で統一され、高さは6尺(約180センチ)〜9尺(約270センチ)とかなり大きいです。(1尺は約30センチ)
簾(すだれ)
目的は?
一方、簾(すだれ)を求める一番の理由は日よけとしての利用が多いです。夏の日差しを遮光し風の通気、外気熱の遮熱、虫の侵入を防ぐことが一般的です。その他にも、部屋の間仕切りや、ふすまの替わりなど。室内インテリアとして、またベランダや庭など外部からの目隠しに使われます。
設置場所は?
主に窓やベランダの外側や内側、玄関先など室外と室内との境に設置されます。また、自然の風合いを持つすだれならではの美しさで、和風やアジアンテイストの部屋飾りとして利用することが増えています。
大きさは?
また、住宅や部屋の様式が多様化している現在、簾(すだれ)の大きさはバリエーション豊かです。一般的に幅は88センチものが多く、長さは窓やベランダの大きさに合わせて選ぶことができます。
まとめ
いかがでしたか? 多種な素材が選べる簾(すだれ)や、ヨシの茎を利用した葦簀(よしず)など、それぞれ特徴がありましたね。皆さんも、目的に合わせて、簾や葦簀を活用してみてくださいね。
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出典:写真AC