ミヤマキンバイとは?
ミヤマキンバイ(深山金梅)は、日本でも自生している高山植物です。厳しい山の環境で色鮮やかな黄色い花を咲かせるミヤマキンバイは、登山客からも人気があります。
バラ科の植物
ミヤマキンバイはバラ科キジムシロ属の植物なので、園芸種として人気が高いバラの仲間にあたります。花の形だけを見ると同じ仲間と気がつきにくいのですが、葉の形などに注目するとバラとの共通点がみられます。
日本でメジャーな高山植物
高木が生育できない森林限界よりさらに標高の高い場所に生えている植物を、一般的に「高山植物」と呼びます。風雨や強い紫外線にさらされるなど厳しい環境の中で育つ高山植物には様々な種類がありますが、そんな高山植物の1つにミヤマキンバイが含まれます。
岩場でも育つ
高山植物の一種であるミヤマキンバイが生息するのは、標高2,500m以上の山です。森林限界を超えると高木がみられなくなるため、岩肌がむき出しになった場所も多くなります。そんな過酷な環境でも育つのがミヤマキンバイの特徴です。
寒さに強い
ミヤマキンバイは亜高山帯(標高2,500m未満の高山)高山帯(標高2,500m以上の高山)に自生するため、寒さに強いです。なお日本では、本州中部以北から北海道までの亜高山、高山で広く分布しています。
八ヶ岳はミヤマキンバイの名所
日本百名山の1つである八ヶ岳(山梨県・長野県)は、登山シーズンになると様々な種類の高山植物が花の見ごろを迎えます。なお同じ時期に開花時期を迎えるミヤマキンバイは八ヶ岳にも生育しているため、ミヤマキンバイの名所としても知られています。
長い学名を持つ
植物には一般的に知られている名前とは別に、世界共通の名前「学名」がつけられます。学名はラテン語でつけられるため、通常使われている名前よりも長い傾向があります。ちなみにミヤマキンバイの学名は「Potentilla matsumurae」です。
ミヤマキンバイの特徴
過酷な高山の環境にも適応するミヤマキンバイは、標高2,500mを超える山の短い夏を彩るかわいい花を咲かせます。そんなミヤマキンバイの特徴をまとめてみました。
特徴①葉
バラ科の植物であるミヤマキンバイは、葉に特徴があります。葉の形はイチゴの葉によく似ていますが、バラ科の植物なので葉は3枚葉です。
葉のふちが特徴的
花だけに注目するとバラ科の植物と思えないミヤマキンバイですが、葉に注目するとバラ科の仲間であることがわかります。ちなみにミヤマキンバイの葉のふちは、バラ科植物の特徴であるのこぎり歯をしています。
特徴②花
色鮮やかな黄色い花を咲かせるミヤマキンバイですが、生育域が同じ高山植物の中には、ミヤマキンバイのような黄色い花を咲かせる植物もいます。そのためミヤマキンバイを見分けるには、花に注目することも重要です。
開花時期は夏
ミヤマキンバイは、標高2,500m級の高山の夏登山シーズンに開花時期を迎えます。地域や亜高山帯では5月に開花することもありますが、北海道や標高2,500メートル以上の高山帯では7~8月が開花のピークです。
白い毛がまだらに生える
ミヤマキンバイには、まだらに白い毛が生えます。正確には「茎に白い毛が生える」なのですが、ミヤマキンバイの花は茎の先端につくため、茎の先端に白い毛が生えていると花に毛が生えているように見えます。
花弁の付け根がオレンジ色
ミヤマキンバイのもう1つの特徴が、花弁の付け根の色です。ミヤマキンバイの花は色鮮やかな黄色が特徴なのですが、花弁の付け根だけはオレンジ色をしています。この色の違いを知っておくと、似た植物と見分けるときに役立ちます。
花言葉
厳しい環境にも負けず、夏にはひと際鮮やかな黄色い花で見る人に元気を与えてくれるミヤマキンバイは、「幸せ」という花言葉を持っています。
特徴③実
ミヤマキンバイは多年草なので、他の多年草と同じく実をつけます。ただし園芸用として栽培するには向いていないため、実や種が市場に出ることはあまりありません。なお北海道では、エゾシマリスがミヤマキンバイの実を食べることがあります。
ボタニ子
次ページからはミヤマキンバイに似た植物の特徴について紹介します!