ヒメジョオンとは
帰化植物
ヒメジョオンはキク科ムカシヨモギ属の一年草です。学名はErigeron annuus、別名では柳葉姫菊(やなぎばひめぎく)とも呼ばれます。明治のころに渡来し、帰化した植物で、現在では道端や公園などあらゆる場所でみられます。
筒状花と舌状花からなる
ヒメジョオンの花は頭状花序(とうじょうかじょ)といって、小さな花が集まっているものです。中央の黄色い部分は筒状花(とうじょうか)または管状花(かんじょうか)、その周りの白い部分を舌状花(ぜつじょうか)といい、キク科の花の多くはこの二つで構成されています。
漢字で書くと姫女苑
ヒメジョオンの漢字の由来は、中国産の野草を意味する「女苑」に、小さくて可愛いという意味の姫を加えて、「姫女苑」です。また、別の花の「紫苑」に似ており、同じように「姫紫苑」と名付けようとしたけれど、先に日本にはヒメシオン「姫紫苑」が存在していたためともいいます。
ヒメジョオンに適した環境
植物にとって育つ環境や育て方はとても大切ですよね。育て方を間違ったり、適した環境ではなかったりした場合、きちんと育たないことも多いです。しかし、ヒメジョオンにはそんな心配はいりません。雑草なので基本的にどんな場所、どんな環境でも育つ特徴をもちます。だからこそ、ヒメジョオンの置き場所には注意が必要です。他の植物の生育に影響が出るおそれがあります。特にヒメジョオンと同じ置き場所で他の植物を育てるのはやめましょう。
ヒメジョオンの育て方
育て方①置き場所
ヒメジョオン自体は、先述したようにどこでも育ちます。そのため、ヒメジョオンのみを育てたいなら置き場所はどこでも大丈夫です。しかし、注意が必要なのは他の植物と一緒に育てたり、周囲に他の植物を育てていたりする場合です。とても頑丈で、強い繁殖力を持つので、他の植物の生育を妨げてしまいます。共存は無理だと考えたほうがよいです。また、管理の容易さから、庭よりもプランターで育てたほうがよいでしょう。
育て方②水やりや肥料
道端でも育つヒメジョオンは他の植物のように、育て方に気を使わなくても大丈夫です。水やりの回数や肥料の回数を考えることもありません。なぜならば、水やりが適当でも、特別な肥料を与えなくても育つからです。根さえ残れば勝手に育つとまでいわれています。
育て方③病気や害虫
ヒメジョオンは病気や害虫にも強いです。病気になっても、害虫に寄生されても枯れることはほとんどありません。とてもタフな植物で、ヒメジョオンを雑草としてみた場合、完璧に駆除するのは難しいでしょう。根が残っていればまた生えてくるので、駆除には除草剤を用いることもあります。むしろ、在来種などの他の植物からしてみれば、ヒメジョオンも病気や害虫と同じく注意が必要な存在です。
ヒメジョオンの管理
ヒメジョオンは順応性が高く、道端から亜高山帯まで場所を選ばず広く自生します。さらに繁殖力も高いので、要注意外来生物に指定され、日本の侵略的外来種ワースト100にも選ばれました。在来種にとっては脅威で、それほど危険視されています。
管理①増やし方
繁殖力の強いヒメジョオンは増やし方を考えなくとも、自分で勝手に増えていきます。受粉しなくても種子をつくり、その種子にはタンポポのように冠毛があるので、その毛をいかして風にのり、広がっていきます。また、1株あたりの種子が50000個に及ぶこともあるほど生産量は高く、種子の寿命も35年と長いです。ヒメジョオンの場合、増やし方よりも管理するほうが難しく、重要でしょう。
管理②栽培範囲
ヒメジョオンは雑草にしては小さく可愛らしい姿ですが、増やし方を間違えると、周辺一帯がヒメジョオンに占領されてしまう危険性もあります。一度生えると気付けば群生しており、不要になっても完全除去は難しいです。ヒメジョオンを育てるならば、必要以上に広がらないように栽培範囲を管理しなければいけません。
ヒメジョオンとハルジオンの違い
ヒメジョオンと似た花として、よくハルジオンがあげられます。開花時期の特徴で区別すればハルジオンは春に咲き、ヒメジョオンはそれ以降から9月頃まで開花しますが、開花時期は前後することもあります。見た目はそっくりな二つの花ですが、違いが分かれば簡単に区別できます。それぞれの特徴をみていきましょう。
ハルジオンとヒメジョオンの外見の違い
- 花びらはハルジオンの方が細い
- ヒメジョオンは葉を茎にピッタリつけ、ハルジオンは茎を包むようにつける
- ヒメジョオンの蕾は上向きにつき、ハルジオンの蕾はお辞儀するようにつく
さらに外見の特徴で区別が難しければ、茎を切って、断面をみることでも違いがわかります。ヒメジョオンは中に白いもの「髄(ずい)」が詰まっています。それに大してハルジオンは何も入っておらず、空洞です。
まとめ
雑草なので水やりや肥料などの手間がかからないヒメジョオンですが、その丈夫さや繁殖力の強さは目を見張るものがあります。だからこそ、他の植物と同じ土壌に生えていたら注意してください。ときには駆除対象としてみる必要もあります。ヒメジョオンを育てるだけなら、コツも条件も必要ありませんが、管理は簡単ではありません。ヒメジョオンを育てるなら、その後のことも考えてチャレンジしましょう。
出典:写真AC