ブラックゴジベリーとは?
中華風デザートや漢方薬に用いられる「クコ」は朱色に近い赤ですが、実は黒いクコも存在します。黒クコ「ブラックゴジベリー」は赤クコと同じく、入手できる形は主にドライフルーツです。豊富な栄養素を含み、「究極のスーパーフード」「サプリメントの黄金」「アンチエイジングの救世主」など、さまざまに呼ばれています。
黒クコ「ブラックゴジベリー」は水やお湯に入れて飲むのが一般的です。黒クコに大量に含まれている「アントシアニン」が溶け出し、水がすぐに鮮やかな青色や紫色に変化します。水が酸性なら紫色、アルカリ性なら青色になりますが、時間が経つと次第に赤紫色になります。
基本情報
別名 | 黒枸杞、ブラックゴジベリー |
学名 |
Lycium chinense |
科 | ナス科クコ属 |
産地 | 中国雲南省、青海省、チベットの高地 |
収穫時期 | 9〜11月 |
希少な漢方食材
黒クコは、モンゴル高地や中国雲南省などの厳しい自然環境の下収穫されますが、その生産量は非常に少なく黄金に例えられるほどです。黒クコの灌木の開花は6月で、9月に4〜10mほどの黒い果実ができます。実ができるのは1年に一度だけです。成熟した果実は非常に柔らかく、傷つけないようにヘタや柄がついたまま収穫し、乾燥させます。希少な上取り扱いに注意が必要な果実です。
ボタ爺
希少なため黒クコは高価じゃ。現地では黒クコでない果実を染めた粗悪品もあるそうじゃ。
ボタニ子
日本で黒クコが販売されているお店は信頼できるけど、あんまり安価なのは避けたほうがいいわね。
ボタ爺
ヘタや柄の部分まで全部黒いのは、黒クコでない実を収穫後に染めた可能性があるそうじゃ。
赤クコとの違い
杏仁豆腐などでおなじみの赤クコも、栄養のあるドライフルーツです。赤クコも黒クコもナス科クコ属の果実ですが、黒クコの栄養成分ははるかに優れています。黒クコはビタミン類やアミノ酸、ミネラルなどを豊富に含んだスーパーフードです。
味の違い
ドライフルーツの赤クコも黒クコも、口に入れたときにそれほど味は強くなく、ベリー系のようにフルーティーではありません。噛むと、赤クコは温かみのある自然な甘さと、ほのかな酸味を感じられます。黒クコは、赤クコと似た甘味と酸味に加え、香ばしさに似たかすかなほろ苦さもある味わいです。
加熱に適しているか
黒クコに含まれるアントシアニンは熱に弱く、加熱によりせっかくの抗酸化作用が損なわれてしまいます。赤クコの栄養は加熱で大きく変化せず、棗と煮出して飲んだり、お粥や参鶏湯に入れたりできます。黒クコを水やぬるま湯に入れて飲む場合、お湯の温度は高くて60℃までに抑えましょう。
ブラックゴジベリーの栄養
栄養①アントシアニン
アントシアニンとは、花や果実に含まれるフラボノイドと呼ばれる天然色素成分の一つです。ブルーベリーやシソ、紫キャベツなどの紫色の濃い果実や野菜に多く含まれています。アントシアニンには、抗酸化作用、視機能改善、血小板凝集阻害作用、肝機能改善など多くの健康効果があるとされます。
栄養②ポリサッカロイド(多糖類)
赤クコや黒クコには、ポリサッカライドという成分が豊富に含まれています。番茶などにも含まれていますが、摂取により血糖値を抑えることが可能です。そのため糖尿病や腎不全、緑内障などを防ぐ効能が期待されます。ポリサッカライドに含まれるアラビノースは消化酵素を調節し、体脂肪を燃焼させるといわれています。ポリサッカライドは加熱により効果が失われます。
栄養③ビタミンやアミノ酸
小さな黒クコには、量も種類も豊富なビタミンやミネラルが凝縮されています。ポリフェノールは赤ワインの20倍、ビタミンCはオレンジの500倍の含有量です。また13種類のミネラルと17種類のアミノ酸などの成分も確認されています。カルシウムや鉄、タウリン、ナイアシンなどの含有量も、ラズベリーやクルミなどの健康食品をはるかに上回る数値です。
ブラックゴジベリーの効能
効能①美白・美肌効果
美肌づくりは、コラーゲン生成が大きなカギです。黒クコの豊富なビタミンは質のよいコラーゲンを生成し、アントシアニンがコラーゲンを保ちます。さらに各種ミネラルが代謝を促し、肌のターンオーバーをサポートします。優れた黒クコパワーで、シミ、シワが少ない透明感のある白い肌を目指せるかもしれませんね。
効能②アンチエイジング
アンチエイジングのケアには、抗酸化作用を含む食品の摂取が欠かせません。黒クコの抗酸化力は赤クコの14倍です。またエルダーベリー、アロニア、くるみなど、エイジングケアに秀でた食物と比較しても、黒クコは数倍の抗酸化力を誇ります。黒クコにはアンドロゲンなどのホルモンを分泌する働きもあるとされます。強い抗酸化力が、性力増強や健康維持に役立ち、若々しい体づくりをサポートしてくれるのです。
効能③目の働きをサポート
赤クコは中国で「明眼子」と呼ばれ、目の健康を促進する生薬として親しまれています。黒クコのアントシアニンやポリフェノール、ベタインも、効果の高いアイケア成分です。デジタル時代に多い、目の疲れやかすみ、老眼などの悩みをサポートします。特にスマホやタブレットをよく使うなら、目をケアできる栄養素を意識したいですね。
効能④内臓機能向上
黒クコは、腎臓や肝臓を強める生薬としても用いられ、血圧を正常にする働きが期待できます。血流を改善に役立つとされ、不整月経、生理が止まるなどの婦人科系の症状にも効果的です。歯肉出血、尿道結石などの治療にも黒クコは有効とされています。ほかにも、神経の高ぶりを抑える、安眠、悪玉コレステロールを減らすなどの多くの健康効果が知られています。
効能⑤免疫力向上
黒クコには、白血球の数を増やす働きもあるといわれます。血液循環の正常化や、タンパク質の活性化が可能になり、治癒力および身体機能を高める作用が期待できます。また黒クコに含まれるビタミンCや鉄、セレニュウムや亜鉛などの微量ミネラルも、免疫力向上に役立つ栄養素です。病気に負けない強い体づくりに、黒クコを役立てたいですね。
出典:筆者撮影