フーチバーの概要
フーチバーとは、南西諸島に自生する「にしよもぎ」を表す沖縄方言です。フーチバーはキク科の多年草植物で、別名を(餅草)といい、沖縄料理では臭み消しとして欠かせない食材です。代表する沖縄料理は、沖縄そば、ヤギ汁、ジューシー(雑炊)、てんぷらなどがあります。
名前の由来
沖縄方言で「フーチバー」と呼ばれる「にしよもぎ」は、病気を意味する沖縄方言「フーチ」を治す、葉「バー」が、名前の由来となっています。薬草や生薬としても知られ、漢方名は艾葉(がいよう)で、「疾患を艾(止める)葉」という意味が名前の由来です。
フーチバーの特徴
フーチバーはどのような特徴がある植物なのかについてをご紹介します。また、フーチバー(にしよもぎ)と、よもぎの特徴の違いについてもご紹介します。
沖縄県で栽培されている
フーチバーは、関東以南に生息する、和名がニシヨモギと呼ばれるキク科の多年草植物です。フーチバーの効能や栄養はヨモギとほぼ変わらないといわれ、薬草として親しまれています。繁殖力の強いフーチバーは、沖縄県地方の庭や道端に生え、畑では主に八重瀬町で栽培されています。
葉が生で食べられる
フーチバーは本土のよもぎの葉より大きく、背丈が20cm~100cmで独特な香りがします。フーチバーの若葉はニシヨモギよりも苦みが少なく、沖縄そばなどにトッピングして生で食されています。若葉の収穫は2月頃から行うとされ、育ったフーチバーの収穫時期は特に決まっておらず、沖縄県各地で一年中収穫されています。
フーチバーの効能
薬草として知られるフーチバーの効能は、風邪などの咳、痰、肺炎、解熱、神経痛、リュウマチ、歯痛、頭痛、生理痛、腰痛、貧血、吐血、子宮出血、皮膚病、水虫、カンジタ、痔、不眠症、消化不良、胃腸、高血圧症、心筋梗塞老化防止、認知症の予防などが報告されています。
フーチバーの効能①デトックス効果
フーチバーは食物繊維が豊富に含まれ、体の余分な水分を排出し便秘予防に役立ちます。フーチバーの香り成分のB-カリオフィレンが有害物質を吸着し取り除く働きをします。フーチバーに含まれるクロロフィルには消臭効果や殺菌作用、体内の有害物を除去する効果があり、体のデトックス効果が期待されてます。
フーチバーの効能②リラックス効果
フーチバーの香りに含まれる精油成分シネオールには、血行をよくし体を温め神経をリラックスさせる効果があり、副交感神経を高める効果があります。よもぎはお灸の材料でもあり、燃やして呼吸や皮膚粘膜から薬用成分を吸収する、アロマにも使われています。
フーチバーの効能③コレステロール排出
フーチバーに含まれるクロロフィルが、体内の悪玉コレステロールを排出し、血中脂質の正常化を促します。フーチバーは塩分排出を促すカリウムや、毒素排出に必要な食物繊維を多み、高血圧予防、心筋梗塞予防に役立つとされています。
フーチバーの効能④ホルモンバランスを整える
フーチバーの香り成分B‐カリオフィレンが、乱れた自律神経に作用し、ホルモンバランスを整えるとされています。食して鉄分を補い貧血予防にも役立ちます。免疫力アップや冷え性の改善に役立つよもぎ蒸しで、皮膚粘膜から香り成分を吸収させ血行をよくし、体を温めてホルモンバランスを整えてくれます。
フーチバーの食べ方
フーチバーは固い茎の部分を避け、柔らかい若葉を食します。フーチバーの若葉の収穫時期は寒い地方よりも早い2月~5月です。フーチバーの食べ方のポイントは、ゆでてアク抜きをすることです。沸騰している湯に塩や重曹を入れ2分湯がき、さっと取りだした後は冷水に20分さらします。
フーチバーの栄養素
フーチバーの主な栄養素は、水分、たんぱく質、食物繊維、脂質、炭水化物、カルシウム、ナトリウム、ビタミンK、ビタミンB1、B2、B6、ビタミンC、葉酸、パントテン酸、鉄、亜鉛、B-カロテン、ナイアシン、カリウム、マグネシウム、リン、クロロフィルです。
フーチバーの活用方法
フーチバーの若い葉や芽は、青汁または干して煎じて飲み、貧血や下痢の改善につなげます。若葉からそれ以上に育ったフーチバーは、アロマやよもぎ蒸しで血行促進、免疫アップさせ、風邪や肺炎の治療にアロマにします。皮膚病、腰痛、痔の治療には入浴剤にして、切り傷には青汁で湿布をします。
保存方法
フーチバーは湯がいた後、水けをきり、真空パックして冷凍保存ができます。使うときは自然解凍し、汁物や和え物などに使います。
フーチバーをつかった沖縄料理
活性酸素除去作用、抗酸化作用に優れたフーチバーをつかった沖縄料理のレシピをご紹介します。
レシピ①沖縄そば
沖縄そば(2人分)の材料は、沖縄そば500g、だし汁(豚または、鰹)、フーチバー(青ネギ)、かまぼこ、紅ショウガ、塩、しょうゆをそれぞれ適量用意します。
沖縄フーチバーそばの作り方
1.鍋にお湯を入れ、だし汁を作り、塩、しょうゆで味を調えます。
2.沸騰した別のお鍋に、そばを一人前入れます。
3.2のそばに、かまぼこ、ネギ、紅しょうがをのせます。
4.3が沸騰したら、1のだし汁をかけ、よもぎを入れます。
5.4を器に移して完成です。
レシピ②天ぷら
フーチバーは沖縄県で人気の食材で、ゴーヤーやポークと一緒にてんぷらなどでよく食されています。フーチバー天ぷらの材料は2人分で、よもぎ2株、にんじん適宜、小麦粉大さじ3、たまご一個、塩適宜、水50cc、油適宜です。
てんぷらの作り方
1.ニンジンを千切り、よもぎ千切りにします。
2.小麦粉、たまご、塩、だしの素、水を混ぜ合わせます。
3.中温の油の中に、衣をお玉ですくって落とします。
4.衣が浮きあがってきたら出来上がりです。
レシピ③フーチバージューシー
フーチバージューシーの材料は、2人分が米2カップ、鰹だし4カップ、豚バラ肉70g、ニンジン60g、乾燥ヒジキ3g、乾燥切りこんぶ適量、干しシイタケ3枚、かまぼこ2枚、よもぎの葉60g、塩小さじ1、しょうゆ小さじ1、お酒小さじ1、鰹だし粒小さじ1、サラダ油大さじ1です。
ジューシーの作り方
1.お米を洗い、30分水に浸しておきます。
2.乾燥ひじき、乾燥切りこんぶを水で戻します。
3.豚バラをゆがき、食べやすい大きさにカットし、残りの具材を千切りします。
4.炊飯器に具材を入れ、調味料とだし汁を混ぜ合わせます。
5.炊き上がったら、10~20分蒸らして味をしみこませます。
6.よもぎを入れて混ぜ合わせたら完成です。
まとめ
今回は、フーチバーの栄養や食べ方についてご紹介しました。薬草で知られるフーチバーの効能は、デトックス効果、リラックス効果、コレステロール排出作用が期待でき、健康によい栄養豊富な食材として注目されています。沖縄そば以外にも焼き肉などに生のフーチバーをトッピングで、ヘルシーな独特な香りと程よい苦みがマッチしておいしいと人気ですので、ぜひ食べてみてください。
出典:写真AC