オーニソガラムとは?
オーニソガラムは、星型の白い六弁花をたくさん咲かせる植物です。「Ornirhogalum(オーニソガラム)」の語源は、ギリシア語の「オルニス(鳥)」と「ガラ(乳)」です。英名は「Star of Bethlem(ベツレヘムの星)」、和名は「オオアマナ」、フランスでは「11時の貴婦人」とも呼ばれます。11時に花開き、夜になると閉じるためです。特にオーニソガラム・ウンベラタムの品種が、「ベツレヘムの星」と呼ばれます。
ハナニラと似ている?
オーニソガラムは、同じ白い星型の花を咲かせるハナニラに似ています。オーニソガラムとの違いは、ハナニラは3枚の花びらが三角形に広がる点です。ハナニラもまた「ベツレヘムの星」と呼ばれます。
基本情報
学名 | Ornithogalum |
科名 | キジカクシ科(近年ユリ科から分科、アスパラガス) |
原産地 | 地中海沿岸・西アジア・南アフリカ |
開花期 | 春咲き種4〜5月、夏咲き種7〜8月 |
花色 | 白・オレンジ・黄・ピンク・複色 |
生育適温 | 10〜20°C(耐寒〜半耐寒) |
オーニソガラムの花言葉
オーニソガラムの花言葉は「純粋」「才能」「潔白」「無垢」「希望」です。「純粋」という花言葉は、真っ白な初々しい姿にぴったりといえます。ウエデイング用ブーケに選ばれるのも、オーニソガラムの清楚な美しさが花嫁をイメージさせるからでしょう。
オーニソガラムの特徴
オーニソガラムには、多様な特徴を持つ種類が豊富にあります。種類の違いで、見た目がはっきりと異なります。園芸で耐寒性の高い品種(ヨーロッパ・アジア原産)は露地植えもでき、庭に魅力的なスポットを作れます。半耐寒性(南アフリカ産)の品種ならば、鉢植えや日当たりのよい場所に植えるのがおすすめです。花の美しさや、1週間程度開花を楽しめる花もちのよさから切り花としても人気があります。
葉の特徴
オーニソガラムの葉は、線形か、先がとがって平たく細長い形(披針型)です。葉は球根から直接伸び、特に南アフリカ産の品種の葉は、肉厚で長く伸びます。また、種類によって草丈も異なります。ウンベラタムは10〜20㎝、シルソイデスやダビウムは20〜50㎝、サンデルシーは100〜150㎝です。
花の特徴
オーニソガラムの和名は「大甘菜(オオアマナ)」です。チューリップにも似た「甘菜(アマナ)」に花の形が似ていることから付けられました。春先から花が下から上へと花が咲き、品種によって白から透きとおるような乳白色・黄色・オレンジなどが楽しめます。色だけでなく品種の違いで花姿も異なる点も魅力の1つといえるでしょう。
球根植物であること
オーニソガラムは原産地により「耐寒性の高いタイプ(ヨーロッパ・西アジア)」と「半耐寒性のタイプ(南アフリカ)」に分けられますが、どちらも繁殖力の強い球根植物です。球根植物の特徴として、寒さに耐える時間が必要です。球根植物は寒さに耐える期間がないと、きれいな花が咲かず、葉だけ茂る結果になってしまいます。気温にも考慮して植えましょう。
オーニソガラムの主な4品種
オーニソガラムは、明治時代にヨーロッパや南アフリカから渡来し、栽培されるようになりました。大きく分けて4種類あります。南アフリカ原産の「サンデルシー」「ダビウム」「シルソイデス」、ヨーロッパ原産の「アラビカム」です。この4種類のオーニソガラムは、日本で生産・流通もしています。ここでは、それぞれの品種について詳しく見てきましょう。
オーニソガラム・サンデルシー
花の形に丸みがある
夏咲きの「オーニソガラム・サンデルシー」は、別名「オーニソガラム・ミルクスター」とも呼ばれます。花の中心にある濃緑色のめしべを6本のおしべが囲んでおり、中央につぼみが集まっているように見えます。原産地は南アフリカ、草丈は80〜100㎝にもなるため、大型のフラワーアレンジメントができます。
オーニソガラム・ダビウム
オレンジの花を咲かせる
「オーニソガラム・ダビウム」は、愛らしく生気にあふれたオレンジ色や黄色の花を数輪〜数10輪咲かせます。アフリカ原産のため半耐寒性で、草丈も20〜30cmと高くなく、鉢植えがおすすめです。白い花を咲かせる品種が多いなか、鮮やかな色は目立ちます。10月上旬に植え付けるとよいでしょう。
オーニソガラム・アラビカム
花を手まり状に咲かせる
「オーニソガラム・アラビカム」は、花をてまり状に咲かせます。花色は、乳白色で芳香のある種類です。和名では「クロボシオオアマナ」と呼ばれていますが、これは花弁の中に黒い芯があるからです。草丈は最大50cmにまで成長します。アラビカムはヨーロッパから西アジア原産で耐寒性が高いため、地植えでの栽培を楽しめます。
オーニソガラム・シルソイデス
星型の花を穂状に咲かせる
「オーニソガラム・シルソイデス」は、真っ白の星型の花をびっしり穂状に30輪前後咲かせます。シルソイデスの原産地はアフリカで半耐寒性のため、地植えは向きません。草丈は30〜50cmくらいまで成長します。花もちがよく、ウェディング用のブーケとして人気です。
その他の品種
紹介してきた以外にも、オーニソガラムには有名な品種もあります。たとえば、詩的な雰囲気で「ガラスの花」と呼ばれるヌタンスは、独特の魅力で、人々の心をとらえています。ここでは、特に目を引く品種をチェックしていきましょう。
オーニソガラム・コーダツム
コモチランの名前でも知られている
「オーニソガラム・コーダツム」は「コモチラン」の名前でも知られています。原産地は南アフリカで、半耐寒性ですが育てやすい品種です。コーダツムの葉は、幅広で線形・肉厚で長く伸びます。白に緑のラインが入ったつぼみが開花すると、花びらにも緑のラインが入っていておしゃれです。コーダツムは常緑多年草で、鉢植えを室内に置いておけば冬場も緑が見られます。
オーニソガラム・ヌタンス
ガラスの花とも呼ばれる
「オーニソガラム・ヌタンス」の原産地はヨーロッパ・西アジアです。草丈は25㎝くらいで、やや細長い白い花を咲かせます。花びらの裏が灰緑色の色味をしているため、ほかにはない透明感があります。ヌタンスが「ガラスの花」と呼ばれるのも、そのためでしょう。ヌタンスは「垂れ下がったベツレヘムの星」の別名もあります。花が垂れ下がったように咲くからです。
オーニソガラム・バランサエ
白い花びらと緑色のアウトラインが特徴
「オーニソガラム・バランサエ」の原産地はトルコです。草丈は10㎝と小ぶりな種類で、3月初めには開花する早咲きです。バランサエは小さくて乾燥に強いため、鉢植えに向いています。バランサエのつぼみはとても愛らしく、緑のラインに包まれたつぼみには目を奪われることでしょう。
オーニソガラム・ウンベラタム
耐寒性があり、初心者向け
別名「ベツレヘムの星」です。ウンベラタムはヨーロッパ・西アジアが原産で、耐寒性があります。古くから日本でも栽培されており、よく見かける品種といえます。草丈は15〜20㎝と低く、星型の白い6弁の花を10〜20輪くらい咲かせます。花びらの裏はグリーンです。鉢植えにも地植えにもできて育てやすく、初心者にはおすすめでしょう。開花時期は、春先から4月頃です。
ベツレヘムの星
キリスト誕生の夜に光り輝いて、その誕生を知らせたとされるお星さまが「ベツレヘムの星」です。星型の白い清楚な6弁の花を咲かせるオーニソガラムが、このベツレヘムの星にたとえられています。クリスマスツリーのてっぺんに飾られているのもこのベツレヘムの星です。オーニソガラムに似ているハナニラにも、この呼び名が使われています。
まとめ
オーニソガラムのさまざまな種類を知っていくほど、それぞれの魅力がわかり、自分の好みに合ったオーニソガラムを選べます。耐寒性が高い種類は地植え、半耐寒性の種類は鉢植えにしましょう。球根から育てて、魅力的なお庭を目指してみてください。
出典:写真AC