フジバカマとは?
フジバカマはキク科ヒヨドリバナ属の多年草です。秋の七草として知られており、川沿いの草原に野草として自生することが多いです。しかし、現在野生のフジバカマは姿を消しつつあります。
基本情報
学名 | Eupatorium japonicum |
分類 | キク科ヒヨドリバナ属の多年草 |
分布 | 関東地方以西、四国、九州 |
別名 | 蘭草(らんそう) |
花期 | 8~9月 |
花の特徴
フジバカマは、8~10月の秋にかけて淡い紫紅色を帯びた白い花を咲かせます。茎の先端に散房状に小さな花が群がって付くのが特徴で、10cmくらいの花冠を作ります。また、雄しべが糸のように突き出しているため目立ちます。野生のフジバカマは、基本の花の色は白が多いですが、園芸品種では藤色ものもあります。
花がヒヨドリハナにそっくり!
ヒヨドリバナは、キク科ヒヨドリバナ属に属する多年草で、花がフジバカマによく似ています。両種を花で見分けるのは難しいことから、ヒヨドリバナとフジバカマは葉で見分けることが多いです。葉が裂けないものがヒヨドリバナ、葉が裂けるものがフジバカマです。しかし、まれにヒヨドリバナで葉が裂けてるものがあるため注意が必要です。
葉の特徴
葉は対生し、3つに裂けるのが特徴です。フジバカマの葉は、下部・中部・上部に分かれ、下部の葉は花が咲くころには枯れてしまいます。下部・中部・上部に分かれる葉ですが、この葉の共通点はすべて鋸歯があるというところです。上部の葉以外に深い切れ込みが入ります。上部の葉は、ほかの葉よりも小さく切れ込みが入りません。中部の葉は、切れ込みがある真ん中の部分が大きくなることがあり、ツヤがあります。
フジバカマの名前の由来と花言葉
なぜ、フジバカマは藤袴という名前になり、ラン科の植物ではないのに「蘭草」と呼ばれているのでしょうか。ここでは、名前の由来と花言葉を紹介します。
名前の由来
フジバカマは漢字で書くと「藤袴」です。「フジバカマの花びらの色が藤色の袴に似ている」ということが由来します。藤色といえば、植物の「フジ」の色を指します。その色とフジバカマの花びらの色が似ていて、また花の形が袴に似ているため「藤袴(フジバカマ)」という名前がつけられました。
別名の由来
フジバカマの別名に「蘭草(らんそう)」というものがあります。原産地でもある中国では、古来、フジバカマのことを「蘭」と呼び、日本でも「蘭」と呼ばれていました。現代の「ラン科の植物」と区別するために「草」を加え、「蘭草」になったとされています。
蘭草となった理由
フジバカマを乾燥させると、葉や茎からいい匂いがします。花ではなく、一般的に草と見なされる部分です。一方、ラン科の植物は花からいい匂いがします。これらのことから、フジバカマは蘭草、ラン科の植物は蘭花となったといわれています。
フジバカマの花言葉
フジバカマの花言葉は「ためらい」「遅れ」です。これらの花言葉は花の咲き方が由来するという説があります。フジバカマの花は多数の小さい花を付けますが、開花するときはこの花は一斉には咲きません。徐々に咲いていく様子が「ためらっている」ように見えたことから、これらの花言葉がつけられたとされています。ほかにも「あの日のこと思い出す」「優しい思い出」といった花言葉もあります。
フジバカマの伝説が由来する
このような伝説があります。「秋の夕方、雨の中お姫様が涙を流し野山をさまよっていました。お姫様があまりにも美しいため、誰も声をかけられません。翌朝、雨がやみ野山に行くとお姫様の姿はなく、藤色の花が咲いていました。村人はお姫様が花になったと思ったのです。花の色が彼女が穿いていた藤色の袴と同じ色だったため、花を”藤袴”と呼ぶことにしました」というものです。花言葉の「あの日のことを思い出す」「優しい思い出」、また名前の由来といわれています。
次のペーシから秋の七草や消えたフジバカマについて紹介します!
こちらの葉は、上部の葉まで裂けているので明確にはフジバカマではなく「サワフジバカマ」という品種です。下部・中部の葉は写真のフジバカマも裂けています。