フジバカマは秋の七草
フジバカマは秋の七草の1つです。秋の七草は春の七草ほど有名ではありません。ここでは、秋の七草の特徴と、フジバカマ以外の6種を紹介します。
秋の七草とは?
秋の七草は、万葉集にある歌から始まったものです。秋に咲く花は7種類あると歌われています。七草といえば、春の七草のほうが有名で、無病息災を祈り1月7日に七草がゆにして食べますが、秋の七草は食べません。秋の七草は美しい花を見て楽しむものとされています。
秋の七草の種類
フジバカマ以外の、残りの6種を紹介します。春の七草のように食べられるといった共通点はありませんが、薬効成分があるとされています。
萩(はぎ)
マメ科ハギ属の落葉低木で、夏から秋に花を咲かせます。万葉集の頃からすでに日本人に親しまれ、よく歌にも登場していました。十五夜にススキと一緒に飾ることがあります。
葛(クズ)
マメ科クズ属の多年草で、つる性で群生して生える傾向があります。クズの根は「くず粉」として利用され、身近な植物といえるでしょう。
女郎花(オミナエシ)
オミナエシ科オミナエシ属の多年草です。秋にたくさんの黄色い花を咲かせます。万葉集にもよく登場し、昔から親しまれてきた植物の1つです。
撫子(ナデシコ)
ナデシコ科ナデシコ属の多年草で、秋の七草の「撫子」は「カワラナデシコ」を指しています。夏から秋にかけて淡い紅色の花を咲かせます。
薄(ススキ)
イネ科ススキ属の多年草です。夏から秋にかけて、花穂をつけます。十五夜に萩と一緒に飾ることがあります。別名は「尾花」です。
桔梗(キキョウ)
キキョウ科キキョウ属の多年草です。梅雨時期から秋にかけて、青紫の星形の花を咲かせます。現在、日本では絶滅危惧種に指定されていて、野生ではなかなか見られません。
姿を消したフジバカマ
現在、野草として自生しているフジバカマを見つけることは難しいといわれています。フジバカマが姿を消した理由と、現在フジバカマと間違えられている植物を紹介します。
消えるフジバカマ
フジバカマは万葉集に歌われるほど、古くから親しまれている植物です。川沿いの草原に自生していることが多かったようですが、近年は自生しているフジバカマを見つけるのは難しいとされています。フジバカマが自生していたところは、たびたび洪水になるようなところでした。川が氾濫しないように護岸工事をしたことにより、乾燥した土壌になってしまったのです。
外来種の影響もあり
フジバカマが生えていた場所には外来種であるセイタカアワダチソウがはびこっています。フシバカマは、セイタカアワダチソウなどの外来種の侵入で、外来種との競争に負けてしまい、姿を消したともいわれています。
ボタニ子
現在フジバカマは環境省で「準絶滅危惧」に指定されています
間違えやすい植物
野草として自生しているフジバカマは見つけるのは難しいです。しかし、フジバカマに似ている植物がそれらに間違えられることがあります。なかでもヒヨドリバナ、サワヒヨドリ、サワフジバカマはどれもフジバカマと同じ仲間で、特に間違えられやすい植物です。
ヒヨドリバナ
フジバカマと花が似ています。花での見分け方は難しいとされ、葉で見分けることが一般的です。ヒヨドリバナの葉は、下部や中部の葉が裂けていないことから、フジバカマと見分けられます。
サワヒヨドリ
名前のとおり、ヒヨドリバナにもよく似ています。ヒヨドリバナよりも小さいく、葉は裂けません。ヒヨドリバナとの見分け方は、葉の鋸歯で見分けることです。サワヒヨドリの方が鋸歯が深いです。葉に注目してみましょう。
サワフジバカマ
サワフジバカマは自生種ではなく、園芸種です。「フジバカマ」の名前での流通が多いですが、明確にはフジバカマではありません。サワフジバカマはフジバカマとヒヨドリバナを掛け合わせて作られたものです。フジバカマとの見分け方は、上部の葉が裂けている、茎が赤色を帯びているかで見分けられます。
まとめ
フジバカマは秋の七草の1つであり、昔はいたるところで見かけられた野草でした。しかし、近年は自生しているものはほとんど見られません。野生でフジバカマを見つけたら、大変貴重なことです。「本当にフジバカマか?」と、似た植物でないか、よく観察してみてください。
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これら6種はすべて日本原産ですが、フジバカマは中国原産です。