アルカリ性土壌を改良するための資材や土
雨のかからないハウス内の土壌や、石灰分の多い土壌はphが上がる傾向にあります。そのためアルカリ性の土壌を改良するためには、phを下げる処置が必要です。phを下げるためには酸性成分を含んだ改良用土や酸性肥料を畑に混ぜるのが有効です。改良用土は酸性度無調整のピートモス、酸性肥料としては硫安などが一般的に使用されます。
ピートモス
ピートモスは、シダやミズゴケなどの植物が堆積して出来た炭泥を粉砕して作った強酸性用土です。ピートモスは土壌のphを下げるほかに、保水性を上げたり土壌をふかふかにする効果があります。一般に販売されているピートモスには、酸性度が調整されている物と無調整の物があります。土壌のphを改良する場合は、無調整のピートモスを使用してphを下げる処置をします。ピートモスは十分水を含ませてから土に混ぜて使用してください。
酸性肥料
phを下げる酸性肥料としては硫安や塩安などもあります。酸性度調整を行なう場合は、硫安を使用するのが一般的です。硫安は比較安価で、水に溶けやすく速効性も高いため、追肥として使用される場合もあります。ただし、使用しすぎると肥料焼けを起こしてしまいます。
酸性土壌を改良するための資材や土
phが下がり酸性になっている土壌はphを上げる改良を行なう必要があります。酸性土壌の改良は石灰材や草木灰などをまく方法が一般的です。また石灰資材には苦土石灰や消石灰といった種類もあり、それぞれ用法容量がことなるので、よく確認したうえで使用するように注意してください。
石灰
消石灰
消石灰は石灰の中でもph値が12と、強いアルカリ成分を持つ石灰です。そのため、土に混ぜるとphを急激に上げることができます。変化速度が急激なため扱いが難しく、まきすぎると土壌がアルカリ性になってしまう恐れがあります。手早く調整が必要な場面で使用されますが、プロ向けの資材といえます。
有機石灰
有機石灰は卵の殻や貝殻を細かく砕いた石灰です。有機石灰は非常に穏やかに酸性土壌を中和します。こちらの石灰は多少過剰に使用してもデメリットがほぼないため、使用しやすい資材です。しかし、価格が高めで調整に時間がかかるという欠点もあります。
苦土石灰
消石灰に比べてアルカリ成分が少ない石灰です。またアルカリ成分とカルシウムに加えてマグネシウムを含んでいます。消石灰に比べてphが低いため、変化速度は穏やかで比較的扱いやすい石灰資材です。しかし過剰にまくとアルカリ性に偏ってしまい、植物の成長を阻害してしまいます。苦土石灰には粒状と粉状の2種類があり、土の上からまくのであれば粒状の物が使用しやすいです。
草木灰やくん炭
草木を燃やしてできる灰や、お米のもみ殻を燻製にした改良資材が草木灰やくん炭です。植物性の灰にもアルカリ成分が含まれているため、酸性土壌を中和するのに使用することができます。ただし、草木灰にはカリウムが含まれており、根からマグネシウムやカルシウムを吸収するのを邪魔してしまいます。またくん炭も過剰に使用すると、アルカリ成分に偏りすぎるため注意が必要です。
畑を焼く意味
灰に含まれるアルカリ成分は土壌の中和に役立つため、作物が成長中にphが下がることで酸性になってしまった土壌のphを、アルカリ性の灰で中和することなどを目的に行われるのが焼き畑です。畑の上で焼かれた草木の灰がphを上げることで土壌を中和し、肥料にもなるためことから焼き畑を行います。家庭菜園では難しい農法ですが、昔からの知恵ともいえる農法の一つです。
まとめ
野菜をしっかり丈夫に育てるためには、育つための土が重要です。まずは育てたい野菜に適したphを把握し、育てるための土壌のphを理解する必要があります。そしてどの様にphを上げるのか下げるのかを理解すれば、野菜の生育に適した土づくりを行なうことができるのです。家庭菜園で育てた野菜を丈夫に育てるための必要な知識ですので、しっかり確認してから楽しい菜園ライフを送りましょう。
野菜のための土壌づくり
- ph測定器を使用して土壌のphを確認すること
- 育てたい植物の好適土壌酸度を確認すること
- アルカリ性土壌には硫安やピートモスを使用して中和すること
- 酸性土壌には石灰や草木灰などを使用して中和すること
- 改良資材の混ぜすぎに注意