カタバミとは
カタバミの基本情報
学名 | Oxalis comiculata L. |
分類 | カタバミ科カタバミ属 |
形態 | 多年草 |
草丈 | 10~30cm |
花の色 | 黄色 |
花期 | 4~10月 |
生息場所 | 畑、庭、道端 |
分布 | 日本全国 |
利用の可否 | 可 |
カタバミの特徴
カタバミは5枚の花弁からなる黄色い小さな花をつけます。数本の茎を根元からだし、地面を匍匐しながら節から根と茎を生やします。葉は片側が欠けたハート型をしており、葉の数は3枚です。葉の片方が欠けていることが、片方を食む(片喰)とカタバミの由来となっています。カタバミの葉の付け根に葉には、托葉(たくよう)という小さな葉がついており、裏面には毛が薄く生えています。
カタバミの花言葉
カタバミの花言葉は「喜び」「輝く心」「母のやさしさ」です。西洋では、カタバミの開花時期がキリストの復活祭(イースター)の時期と重なることから、めでたいということでカタバミを「ハレルヤ(歓喜)」とよび、花言葉にもその思いが込められています。また、カタバミに含まれるシュウ酸を用いて、金属の家具や鏡を磨いていたことが「輝く心」の由来となっています。
ボタニ子
カタバミの生態
生息場所
かわいらしい花をつけるカタバミですが、適応域が広く、庭や畑、道端などあらゆるところで生育できます。日当たりのよい場所を好みますが、半日蔭でも生育できることがよく見る雑草の要因になっています。一方で、庭に入り込むと少しずつ生息域を拡大し、草取りしてもすぐ再生してしまう厄介な雑草です。
繁殖方法
カタバミは種と根から繁殖します。カタバミの実は逆さにしたオクラや剣のような形をしており、熟した実は刺激が加わると勢いよく種を飛ばし範囲は1mほどです。しかし、種に粘着性があるため、人や動物についてさらに遠くに移動できます。カタバミの地下部には球根と大根のように太い主根があるため、地上部だけを抜き取っても、すぐに再生し横に広がります。
生育カレンダー
カタバミの防除・駆除方法
カタバミによる被害
カタバミは草丈の低い植物のため、作物の栽培の邪魔にはなりませんが、うえの画像のように石畳みの隙間や塀の下など、家のまわりによく生えます。放置すると生息域を拡大するため、景観を損なうだけでなく、太い根が地面に深く入っていくことで構築物を傷めます。
ボタ爺
ほかにも温室やハウス内にカタバミが発生すると、害虫の温床になるので注意するんだぞ。
農薬による防除
家周りのカタバミを除草剤で駆除する場合は根まで枯らすグリサホート系除草剤がおすすめです。草丈の低い雑草なので、200倍に希釈したものを散布するとよいです。芝生にカタバミが生えている場合では、「シバゲンDF」を1,000㎡あたり10gの薬量を100~200Lに希釈して散布、もしくは「MCPP液剤」を200倍に希釈して散布してください。
資材による防除
カタバミは地上部を除草しても再生してしまうため、完全に駆除する場合は土を掘り、おおきな球根まで取り除く必要があります。何回か繰り返せば完全に駆除できるでしょう。また、グランドカバーなどの被覆材で日光を遮ってもよいです。
防除適期は?
カタバミは根から再生をする雑草で、そのたくましさから武士の家紋にされるような植物です。一度の除草作業で退治できたと判断せず、継続した防除が必要です。芝生に生えている場合は高温期に除草剤を使用すると芝生も弱ってしまうため、5~6月と9月~10月と期間をあけてください。
カタバミの活用方法
栽培種
カタバミの栽培種にオキザリス(和名:ハナカタバミ)という種類があり、観賞用として栽培されています。カタバミと異なり、株を形成するものもあり、花の色も黄色だけでなく白、ピンク、紫とさまざまな色があります。開花時期は4季咲きのものと、秋から冬に開花するもの、春から夏に開花するものがありますが、いずれも満開のときは、株を覆うように咲くため見事です。
利用方法
カタバミは、その強い生命力や旺盛な繁殖力から家の繁栄を願う縁起のよい植物とされています。そのため、縁起担ぎの家紋として「酢漿草紋(かたばみもん)」は十大家紋の一つとされており、その中でも特に人気の高い家紋でした。ハートのようにかわいらしい葉ですが、武士に愛用された剣をつけた剣酢漿草紋というものもあります。
ボタニ子
剣以外の片喰紋には、円で囲ったり四つ葉にしたりしているね。
食用方法
カタバミの属名Oxalis(オキサリス)は古代ギリシャ語で「酸味がある」という意味であり、その葉や茎にはシュウ酸が含まれています。このことからオクサリスハーブや酢漿草(サクショウソウ)という名前で民間療法として利用されてきました。服用するような利用はされていませんが、虫刺されや疥癬(かいせん:ダニが寄生しておこる皮膚の病気)に効果があるとされています。
開花期に生葉をすりつぶした絞り汁は、疥癬などの寄生性皮膚病にまた、虫刺されに外用される。
カタバミの種類や見分け方
カタバミの種類
ムラサキカタバミ
ムラサキカタバミは草丈は30cmほどで、明るい紫色の小さな花が咲きます。南アメリカが原産で観賞用の園芸品種でしたが、帰化して雑草化しました。カタバミと違って花茎を上に伸ばすのが特徴です。
アカカタバミ
アカカタバミはカタバミより小型で葉が赤紫色をしてます。乾いた場所を好んでおり、アスファルトの隙間に生えているのを見かけられます。開花時期はカタバミと同様で、花の色は黄色です。
イモカタバミ
鮮やかな濃いピンク色のイモカタバミは、園芸用の品種です。流通も多いですが、現在ではあちこちで帰化しています。中心部にある黄色い雄しべが特徴となります。
オオキバナカタバミ
他の種類のカタバミに比べると、花径は4cmほどと大きいのが特徴です。
ミヤマカタバミ
ミヤマカタバミは山地の林のなかで群生しており、カタバミより大きな花を咲かします。花は白色で、薄い紫の筋が放射状に入っているのが特徴です。球根がを形成せず、太い地下茎をはわしたり、果実の形がラグビーボール状だったりと、カタバミと異なる点も多いです。
コミヤマカタバミ
日本だけではなくヨーロッパからアジアまで広く繁殖していて、花の大きさは小さく、白やピンクの色があります。
見分け方
カタバミはクローバー(シロツメクサ)によく似ていますが、よく見ると区別できます。クローバーは葉の表面に白いV字型の模様がついています。また、カタバミは葉はハート形をしていますが、クローバーは丸型です。
まとめ
春先に地面をよくみると、小さなクローバーに似た葉をつけるカタバミをよく見かけます。しぶとい雑草であるカタバミですが、畑や空き地などでは他の雑草に高さで負けてしまい生息することができません。人のまわりこそが、ライバルが存在しないカタバミの適地であり、人との関りの中でしか生息できない意外と華奢な植物といえますね。
カタバミの花言葉は海外のものと同じものが多いんだよ。