トチノキの利用法
トチノキは食用のほか、木材としての利用など、人間の生活の中でさまざまな形で利用されてきました。ここでは、トチノキの利用について詳しく解説していきます。
材木として利用
トチノキは昔から木材として利用されており、高木で直径が大きくなることから、大きな一枚板を取ることができます。変化に富んだ美しい木目が特徴です。また、材質が軟らかく加工が容易なことから、楽器などにも多く利用されてきました。しかし、戦後の拡大造林による乱伐で良質なトチノキの木材が入手しにくくなっており、現在では希少で高価な木材です。
食料として利用
種子をアク抜きをして食用される
トチノキの種子はデンプンやたんぱく質などを豊富に含むのが特徴です。「サポニン」という有害物質も含まれるため、リスなどの小動物にはあまり食べられることはありませんが、流水や灰汁に漬けてアク抜き(渋抜き)をすることで食用とすることができます。トチノキの種子は「とちの実」として古来より食用されてきました。種子縄文時代の遺跡からもとちの実を食べていた痕跡が発見されています。
栃餅の原料として利用される
灰汁などでアク抜きした栃の実をもち米と一緒に、蒸してからついて、餅状にしたものを栃餅といいます。昔から農山村で食用されてきましたが、現在では主にお土産やお茶菓子として製造販売されています。普通の餅よりも褐色を帯びた色の餅になり、粘りが少ないのが特徴です。味は、もち米だけの餅とくらべると若干渋みがあり、砂糖や飴と絡めたりして食べます。
良質なハチミツの原料として利用される
トチノキの花はミツバチが好んで訪れ、良質なハチミツの原料として利用されています。トチノキの花の花粉は紅色をしているため、花粉がまざるとハチミツが赤みを帯びることが特徴的です。戦後の拡大造林で多くのトチノキが伐採されたことは養蜂家にとっては大打撃となりました。
街路樹として利用
トチノキは街路樹としても人気のある樹木です。街路樹にはセイヨウトチノキと米国産のアメリカベニバナトチノキを交配したベニバナトチノキなどの品種がよく使われています。トチノキを「県木」にしている栃木県ではトチノキの街路樹がさまざまな場所で見られます。
まとめ
日本の各地に自生し、古来より食用や材木として利用されてきたトチノキ。まさに人々の暮らしとともにあった樹木であるといえます。現在の生活の中での利用は減ってきているかもしれませんが、今なお、街路樹などとして人々に親しまれる魅力的な樹木ではないでしょうか。