びわの葉エキスの作り方
びわの果実は初夏の恵みとして重宝されますが、びわの葉も焼酎漬けにすることで貴重なエキスを摂ることができます。びわの葉にはインドの経典「大般涅槃経(だいはつねはんぎょう)」に「大薬王樹」「無憂扇」と記載され、古の時代から民間療法において効能・効果のある木として知られていました。
びわの葉の収穫時期
びわの葉エキスを作るために葉を収穫する時期は、1月から2月の「大寒」が最適です。1年の内で最も寒い時期である大寒に葉を収穫する意味は、寒さの厳しいこの季節にびわは花を咲かせる力を持っているので、一番びわの葉の栄養成分が濃縮されているためです。まだ若い葉ではなく、緑色の濃い厚みのある葉を採りましょう。
びわの葉を洗って干す
びわの葉を収穫したら、つぎは流水で洗います。そのまえに厚手のびわの葉には細かな毛がびっしりと生えているので、貯め水のなかでたわしやスポンジの硬い側を使い、丁寧に取り除いてください。きれいになったら乾いた布で水分を取り、葉脈を断ち切るようにして2cmくらいに細かく切り刻み、ざるなどに乗せて天日で3日程度干します。
びわの葉エキスの抽出方法(煎じる)
びわの葉エキスの作り方には、鍋で煮出す方法と焼酎漬けにする方法があります。葉酒となる焼酎漬けはエキスが完成するまで早くて3ヶ月ほど掛かりますが、鍋で煮出すエキスはその日にでき上がります。
びわの葉エキスの作り方
びわの葉を煮出すには、折角のエキスが酸化したり変色しないようにできるだけ金属製の鍋ではなく、ガラスやホーロー・土鍋などを使って煎じてください。用意できる量のびわの葉と水を鍋に入れて、水の量が3分の1ほどになるまで煮詰めて行きます。目安としては濃い紅茶のような茶色になったらできあがりです。びわの葉エキスの材料はシンプルで以下を基本としましょう。
- びわの葉(乾燥したもの100gから200g)
- 水2リットル
びわの葉茶を利用
もしもびわの葉が手に入り難い場合は、市販されている「びわの葉茶」を利用してください。健康療法のひとつとして薬局や通販などでも手軽に購入することができ、乾燥も済んでいるのでそのまま煎じたり葉酒として使えます。保存する場合は消毒した瓶に入れ、冷蔵庫にいれましょう。
びわの葉エキスの抽出方法(焼酎漬け)
びわの葉を焼酎漬けにする葉酒には、35度以上のアルコールを使った方がエキスを十分に引き出せます。消毒した保存用のビンに乾燥したびわの葉を3分の2ほど入れ、焼酎をびわの葉全体が被るくらいに注ぎます。直射日光の当たらない場所で3ヶ月ぐらい置き、びわの葉からエキスが染み出しアルコールが茶色に変色して来たら、葉だけを瓶から取り出せばエキスの完成です。
びわの葉エキスの活用方法
煎じたものや葉酒でびわの葉エキスが完成したら、さまざまな使い方をしてみましょう。傷口に湿布すれば殺菌になり、湯船に入れたり化粧水として活用すれば、アトピーやシミの改善に一役かってくれます。
びわの葉エキスの使い方(湿布)
びわの葉エキスを湯船に加えることで、身体の芯から温められ湯冷めをしないばかりか、同時にエキスを染ませたタオルを肩に湿布しておけば、肩こりにも効果が現われます。湯船にびわの葉エキスを入れる使い方は、あせもなどを改善する民間治療法として古くから知られており、アトピー性皮膚炎にも効果が期待できます。
びわの葉エキスの化粧水
化粧水としてびわの葉エキスを使う場合は、葉酒として作ったものより水で煎じたエキスのほうがアルコールフリーとなります。エキスは精製水で5倍に薄め、グリセリン(全体の10分の1程度)を加えれば保湿効果も高められます。保存料など添加していないので肌に刺激もなく、アトピーの方でも安心です。
1週間で使い切る量を
びわの葉エキスを化粧水として使う場合、例え葉酒であっても希釈するので防腐作用が弱くなります。そのため冷蔵保存するとしても、小さめの容器に1週間で使いきれる量を作ってください。
気になるシミにも
夏の日焼けを放置しておくと皮膚の炎症によってシミになります。このシミにびわの葉エキスの化粧水を使うと、炎症を抑え皮膚の血行もよくなり新陳代謝を上げる効能でシミにしない、または薄くすることができます。ただし、シミを消す薬のようにすぐに効能が現れることはないので、気長に使うことが大切です。
パッチテストは忘れずに
びわの葉の化粧水の使い方で注意すべきことは、アトピーなど肌が弱い方は特に、パッチテストで肌に合うかどうかを必ず確かめましょう。目立たない腕の内側部分にびわの葉エキスの化粧水を絆創膏などに付けて、一定時間湿布しておき赤みや痒みが現れないかを確認してください。
まとめ
びわの葉エキスはびわという身近な植物で作ることができる上、作り方も煎じたりアルコールに漬けておくだけで完成させられます。医者や薬が現代ほど流通していなかった時代には、民間療法として大切な薬でもあったくらいです。これを切っ掛けにびわの木を育てたり市販のびわ茶などを利用して、びわの葉エキス作りに挑戦していただければ幸いです。