シャインマスカットの栽培
高級品種のぶどうとして知られるシャインマスカットを、家庭のベランダや軒先で栽培できることをご存知でしょうか。自宅でぶどうを栽培するといっても、広い場所や棚を組み立てる手間は必要ありません。ぶどうを鉢植えでコンパクトに育てる栽培方法をご説明していきます。
1年の作業行程
シャインマスカットを育てる作業行程はつぎのような流れになります。
3月から5月 | 苗木と挿し木の植え付け・植え替え・元肥えを与える |
5月下旬から8月 | 苗木の枝を誘引する・追い肥を与える |
6月から7月 | 病害虫の対策 |
9月から10月 | お礼肥えを与える |
11月から1月 | 苗木の植え付け・植え替え・剪定・挿穂の保存をする |
これはあくまでもこの日程は目安であり、実際はそれぞれの地域によって違う気候や温度変化に合わせる必要があります。
シャインマスカットの育て方(苗の選び方)
シャインマスカットの良い苗木の条件は、幹の断面がきれいな円形のもので、芽も固くしっかりした状態のものを選びます。特に幹の断面が歪な楕円形をしている苗は避けましょう。
苗木の購入時期と選び方
シャインマスカットの苗木を購入する時期は秋(10月から11月初旬)か、早春(3月初旬から4月初旬)の頃が最適です。シャインマスカットなど欧州系のぶどうは枯れ易く、葉や芽がない状態では生きているかどうか判断が難しいので、ぶどう栽培の初心者は春先に強く芽が動いている苗を選ぶと安心です。
秋に苗を購入した場合
シャインマスカットの苗を秋に購入した場合は、弱らせないために寒さ対策が必要です。最低気温がマイナスにまで下がる地域では、土や鉢植えに仮植えしておきます。地面に穴を掘って埋めるなら藁など厚めに敷いて根を保護し、植木鉢では軒下に置いてその周りを発泡スチロールで囲うか、または室内で管理しするようにしましょう。
シャインマスカットの育て方(用土)
ぶどうという植物は石灰分の多い痩せた水はけのよい土壌を好むので、シャインマスカットを植える用土には赤玉土と腐葉土を9対1で混ぜるか、関西方面では赤玉土の代わりに真砂土(まさど)と腐葉土を同割りで使います。これに苦土石灰50グラムとヨウリン(熔燐)25グラムを加えて苗を植えつけます。
シャインマスカットの育て方(植え付け)
シャインマスカットは樹勢が強いぶどう品種なので、露地植えにすると伸びすぎて育て方に慣れていない人には手がつけられなくなります。家庭でシャインマスカットを栽培するならば、管理や手入れがし易い鉢植えが向いています。露地植えにしたい場合は、根が張り過ぎないように不織布のポットごと地面に埋めましょう。
シャインマスカットの植え付け時期
シャインマスカットの苗木を植えつける時期は、休眠期である秋(10月から11月)か春(3月下旬から4月上旬)に行ないますが、冬にマイナスまで気温が下がる寒い地域では春に植えつける方が無難です。苗木は接木がされているのでこの部分が土に埋まらないように注意しながら植えつけます。
植え付け作業
シャインマスカットを鉢植えにするときは根晒しの状態(土を取って根だけ)にして、水を入れたバケツに1時間ほど浸けて置きます。植木鉢はバラ用の6号鉢から12号くらいの深い鉢を用意してましょう。植えつけるときは根をできるだけ広げ、鉢の7割ほどに土を入れた鉢植えに入れて上からさらに土を掛けしっかりと植えつけます。
根の状態を観察
シャインマスカットを植えつける前に、根の状態をよく観察します。もしも弱っていたり傷んでいる根があれば、取り除いておきましょう。
水はけをよくする
シャインマスカットを家庭の鉢植え育てる場合、排水をよくする工夫をします。鉢底に植木鉢の5分の1ほど鉢底石を敷き、そのうえにぶどう用土を入れましょう。露地栽培の場合は水が溜まり易い場所であるなら、砂やバーミキュライトを少し多めに加えます。
水やり
シャインマスカットの鉢植えでは、水やりにも気を配る必要があります。夏場は1日に1回必ず水を遣りますが9月になったら週に2回に減らし、冬は週に1回で十分です。
シャインマスカットの育て方(肥料)
シャインマスカットの休眠期には、鶏糞や魚粕などを団子状にしたものを土の上に施すとゆっくりと溶け出し、根に負担を掛けません。ほかには液肥や葉に散布する与え方もあります。
肥料を与える時期
肥料は植えつける3月ごろに元肥を、シャインマスカットの実が大きくなる6月に追い肥を与えます。その後、お礼肥えとして9月から10月に肥料を施します。露地植えの場合は2月に根に触れない場所を掘り、肥料を埋めましょう。鉢植えは露地よりも根鉢が小さいので、可能であれば1ヶ月に1度の割合で有機肥料を与えます。
出典:写真AC