ボタンヅルとは
ボタンヅルは、キンポウゲ科センニンソウ属の植物です。本州、四国、九州に分布し、日当たり、風通しのよい草原や草原などで、他の木や草などにからんで自生します。花期(8月〜9月)になると白く小さい花が固まって咲きます。花後はふわふわした羽のような種がつき、最後は風で飛ばされてしまうのも大きな特徴です。見た目の美しさから鑑賞用に栽培されることもあります。
基本情報
学名 | Clematis apiifolia |
和名 | ボタンヅル |
分布 | 本州・四国・九州 |
つるの長さ | 2m〜4m |
名前の由来は牡丹と葉形が似ているため
ボタンヅルは「牡丹蔓」と書きます。葉の形が牡丹に似ていて、ツルを伸ばして花を咲かせることが語源になっています。長さ約3㎝〜6㎝ほどのギザギザした葉の形をしています。1回3出複葉ですが、コボタンヅルなど他の種類によっては2~3回出複葉のこともあります。花が咲いていない葉だけの姿も緑が爽やかで様になるため、庭の塀などに伝わせてグリーンカーテンのように楽しむことも多いようです。
ボタンヅルの花について
花期について
花期は8月〜9月で、1cm〜2cmの小さいクリーム色の花をたくさん咲かせます。固まって咲くため、白い花の塊がよく目立ちます。一見4枚の花びらのように見える十字形のものはがくです。中央から長い雄しべが伸び、花後は綿毛のようにふわふわとした花柱が長く伸びて残るのが特徴です。
花言葉は「心地よい空気」
10月26日の誕生花であり、花言葉は「心地よい空気」です。小さい白い花がまとまってふんわりと咲いている様子は涼しげで、真夏に風通しのよい林や草原など爽やかな場所につるをからめて伸びることから、この花言葉が名付けられたのであれば納得ですね。
ボタンヅルの種は綿毛で飛んでいく
ボタンヅルは花が終わった後の様子が特徴的です。まず、がくが落ちた後、卵形の実とそこから出た花柱が残ります。そして実が熟すと花柱は綿毛のような形態になり開いていきます。この時の綿毛をまとったボタンヅルの実はまるでもう一度花が咲いたようで、とても印象的です。このように白い綿毛のような姿になることで、風に乗って種を運ぶことができるのです。
ボタンヅルはクレマチスの原種
クレマチスとは
クレマチスとはセンニンソウ属の植物の中で、花が美しく鑑賞に適したものの総称です。和名ではテッセン(鉄線)と呼ばれます。夏に旬を迎え、色や形の多彩なことから園芸種として高く評価され、根強い人気があります。観賞用に品種改良を重ね現在では数多くの品種が存在しています。
ボタンヅルはクレマチスの原種
クレマチスは中国や日本をはじめ世界各地に分布し、約300種もの原種が存在します。その多くは中国に分布していますが、日本産のボタンヅルもクレマチスの原種といわれています。日本産のクレマチスには、ボタンヅル、センニンソウ、カザグルマ、ハンショウヅルなどがあります。
綺麗な花には毒がある
プロトアネモニンという毒性成分
ボタンソウは可愛らしい花ですが、実は有毒植物です。葉や茎をすりつぶしたり傷ついたりした際にプロトアネモニンという毒性の成分が生じ、汁などを素手で触れるとかぶれたり皮膚炎を起こすことがあります。また、食すことはないでしょうが、万一食べてしまうとおう吐や下痢などの症状を起こすことがあるので注意が必要です。
有毒植物である一方、薬としても用いられる
ボタンヅルはこのような毒性がある一方、薬としても用いられることがあり、リュウマチなどに効果的とされる説もあるようです。しかし民間で服用するのは危険なので絶対にやめましょう。
ボタニ子
次ページからはボタンヅルの育て方を紹介します。
出典:写真AC