盆栽の歴史
植物を鉢植えして楽しむ趣味は古くからありました。日本ではどのようにしてそれが盆栽へと形を変え、楽しまれてきたのでしょうか。
中国の文化
鉢に植物を植えて鑑賞することは、中国で古くから楽しまれていたようです。唐の時代、則天武后(624年〜705年)の王子の墓に木や花を植えたお盆のようなものを持つ人物が絵描かれています。そのような鉢に植物を植える文化が日本にも伝わったとされ、室町時代の記録に「盆山(木などを鉢やお盆に植えたもの)」が出てきます。
江戸時代
江戸時代は、大名から庶民までが園芸を楽しんでいました。庶民を描いた浮世絵に盆栽の描写も見つけられます。現在の皇居には「三代将軍」という銘の五葉松があります。徳川幕府三代将軍家光が所有していたといういわれのある盆栽です。幕末に流行した煎茶道により、1つの鉢に1本の木を植える現在の盆栽のスタイルができあがってきたと考えられています。
明治以降
明治〜昭和初期は、政治家、財を成した実業家などが盆栽を愛好し競うように所有しました。所有することはステイタスでもあったのです。昭和9年、松平頼寿伯爵を初代会長に設立された国風盆栽会は、現在まで続く日本最高峰の盆栽展「国風展」を開催しています。しかし太平洋戦争中や戦後の混乱の中で多くの盆栽の行方が分からなくなるなど、盆栽文化の存続が困難な時代が続きました。
現在の盆栽趣味
戦後、住宅事情やライフスタイルの変化に伴い、大型の盆栽を所有するのは難しく、古木感は年寄りくさいセンスと捉えられるようになり、従来の盆栽趣味は廃れていきました。
盆栽も新しさを求められるようになりました。例えば、上の写真のような紅白梅のおしゃれな寄せ植えです。お正月向けの盆栽は松、梅、竹に見立てた笹などを寄せ植えにして、年末から多く販売されています。寄せ植え盆栽はまだ若く細い木を樹形にこだわらず、苔や草花と一緒に小さな鉢に植えて楽しめます。このような新しい盆栽が人気を集めるようになりました。
盆栽はBONSAI
盆栽は海外でも「BONSAI」として知名度があり、外国人観光客がツアーバスに乗って盆栽園に見学に来たり、多くの外国人が盆栽園に弟子入りしたりしています。またSNSで外国の盆栽も簡単に見られるようになりました。日本の伝統的な盆栽とは違う、その土地に自生する樹種や樹形にお国柄を感じられるでしょう。
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