ハナニラとは
育て方も増やし方も簡単
ハナニラは植え付ける場所をほとんど選ばない丈夫な植物です。道端や日陰でも元気に育ち増えていきます。ハナニラという名の通り茎を折ったり球根を傷つけたりするとニラと同じ臭いがします。南アメリカ原産の多年草で草丈は10cm程度です。日本へは明治時代に観賞用として輸入されました。ネギ科ハナニラ属です。
どんな花を咲かせるの?
ハナニラは春先から晩春まで一株から次々と花を咲かせます。六枚の花弁と中心の丸い穴からのぞくおしべとめしべが印象的です。水色の花が主流ですがピンクや黄色の花もあります。近年になって出回るようになってきた白いハナニラは秋に花を咲かせる珍しい種類です。
別名ベツレヘムの星
3cmの小さな花弁を正三角形に三枚、逆正三角形に三枚の計六枚つけるハナニラ。まるで星のような姿をしていることか別名の由来です。ベツレヘムの星はキリストが生まれたときに空に輝いた星。クリスマスツリーで馴染み深いですね。
日の光が大好き
日当たりに関係なく栽培できるハナニラですが実は日の光が大好きなんです。太陽のある方向に向かって花開き追いかけるように向きを変えます。したがって夜や雨の日は花が閉じているんです。
臭いや毒性はあるのか
ニラの臭いがすることが名前の由来となったハナニラ。葉や茎はニラと同じ臭いですが、不思議なことに花の香りはスミレのような甘い匂いがします。開花時期が長く花数も多いので花壇や鉢植えで育てて切り花にするのもおすすめです。
毒性に注意
ハナニラは有毒です。ハナニラの葉はニラととてもよく似ていますが、ニラはハナニラ属ではないため分類上は別の植物です。食用の花ニラも存在しますがこれもまた違う植物です。間違っても口にしないようにしてください。下痢や吐き気を引き起こします。
ハナニラと花ニラ
前述のとおりハナニラには毒性があります。しかし同じ響きの花ニラには毒性がありません。わかりにくいですね。というのも花ニラは食用のニラの花なんです。ニラの花が食用として出回るようになりまぎらわしくなってしまいました。
ハナニラの育て方
育て方はとてもシンプル
球根や種、苗で購入可能なハナニラはとても初心者向けの植物です。地植えの場合、植え付け後は手をかける必要がありません。日当たりも適当で大丈夫。鉢植えでも水やりさえすれば簡単に花を咲かせてくれますよ。
植え付けの時期と場所
秋に球根を水はけのよい場所に植え付けます。日当たりが良いほうが増えやすいですが日陰でも十分育ちます。乾燥にも強く鉢植えでの栽培も可能です。土質もこだわる必要はなく市販の培養土で大丈夫です。ポット苗で購入した場合は春先にそのまま植え付けるか花後に球根を掘り上げて秋に植えます。
鉢植えの育て方
苗や球根を鉢植えにする場合は園芸用培養土に植え、土の表面が乾いたら水やりをします。毎年植え替える必要はありませんが、鉢から葉があふれるようになった場合はひとまわり大きい鉢へ植え替えましょう。
水やりも手間いらず
庭や花壇に植えた場合は雨だけで十分な育ちます。鉢植えでも2日に一回程度の水やりで大丈夫です。非常に乾燥に強く、耐寒性や耐暑性もある初心者向けの植物です。
肥料は植え付け時だけ
肥料もほとんど必要としないハナニラ。球根や苗で植え付けるときに周りへ化成肥料をまくだけで充分です。できるだけゆっくり効果があらわれる緩効性の化成肥料がおすすめです。
ハナニラの増やし方
分球での増やし方
特に鉢植えの場合は秋の植え替え時に球根を掘り上げ分球して別の鉢へ植え替えましょう。春の花後、早めに花を刈り取り球根に養分を送ります。掘り上げた球根は子球をもぎ取り植え直します。植え直したハナニラはなるべく日当たりの良い場所で管理しましょう。
種で増やす
地植えの場合は種がこぼれて自然に広がっていきます。意図的に増やしたい場合は分球か、花後の5月に種を採取して目的の場所へ植え付けましょう。
増やし過ぎに注意
とても丈夫なハナニラは害虫や病気の心配もありません。それゆえ増えすぎてしまうこともしばしば。地植えだと特に広がりやすいので適度に間引きましょう。
ハナニラの種類
ハナニラは原産国では25種類確認されていますが園芸植物として日本で流通しているものは主に青、藤色系とピンク系、黄色系、白系に分けられます。一般的には球根や種で販売されています。
青・藤色系
ロルフフィドラー
青みがかった藤色に丸みをおびた花弁が特徴です。
ウィズレーブルー
白みがかった紫色にとがった花びらが特徴です。
ピンクスター
鮮やかな桃色と花びらの中心の線が印象的なハナニラです。
黄花ハナニラ
近年までハナニラ属に分類されていたこともありハナニラとして販売されています。厳密にはセロウィアナム種に属しますが形態はハナニラと同じです。繁殖力は少し弱いので手をかけてあげましょう。暖かい地域では2月から咲き始めます。
イフェイオン・パルビフローラ
ハナニラ属ではなくトリスタグマ属に分類されますが秋に咲く白いハナニラとして流通しています。11月に咲き始めることが特徴です。
まとめ
ハナニラは初心者でもとても育てやすい植物です。植えっぱなしで増えていってくれるのがありがたいですよね。春のグランドカバーにもぴったりです。日陰に植えたハナニラは開花時期が遅れるので長く楽しむことができるのも魅力だと思います。春先から初夏まで庭に可愛い「星」を咲かせて見ませんか?
出典:筆者撮影